第七話 雷光龍 紫電 VS 三つ子の処刑人 清太 ①
今、学校の中には激しい戦闘の音しか聞こえない。
1つは校門前広場。
1つはグラウンド。
1つは屋上から。
そして現在紫電は、フワフワ浮かびながら自分の攻撃を回避する、三つ子の三男清太を校門前広場から、グラウンドに追い詰めていた。
グラウンドにあるステージ前は広く、自分の戦闘スタイルからして広く場所をとった方が戦いやすかったからである。
しかし、それは相手も同じであった。
「アッハハ。どうしたの~何処に打ってるの~?」
「ちっ、このクソガキ。フワフワヒラヒラ避けやがって!」
そう怒鳴りながら、紫電は紫の雷を浴びせようとしている。
しかし清太は、両手を横に広げながらまるで遊んでいるかのようにして避けている。
清太にとっても、このグラウンドの広さはうってつけである。
何故なら回避がしやすい、そしてグラウンドには大量の武器があった。
そう清太の能力は、『物質を動かせる』力。
しかも、加速減速が自由に出来るとあってかそこら辺にある、グラウンドの石を紫電にバシバシと当てていた。
「アッハハ~ほらほら~痛いのいくよ~」
清太はそう言うと、地面に着地しすると今度は両腕を前に伸ばす。そして一際大きな石を浮かせると、加速を付け紫電に当てようとする。
「このっ、クソが!!」
紫電は、腕を横に振り紫の雷で大きな石を炭の様にする。
普通の雷なら出来ない芸当だが、紫電特製の雷はどんな物でも電気を通し、そして消し炭にしてしまうほどの強力さを持っていた。
しかし、それも当たらなければ意味が無い。
「ちっ、どうにかしてとっ捕まえんと」
だが、紫電はどちらかというと頭を使うようなタイプでは無いため、動きを止める為の策がなかなか浮かんでこなかった。
「アハハ。僕達に勝とうなんて100年早いよ~だ」
「あ? たった100年でええんかいな。雑魚いな、おい」
龍は寿命が長く1000年以上は生きる為、単純計算100年は10年程度の感覚であった。
「はぁ? 負け惜しみかい~? 僕より弱いんだから、虚勢を張るなよ~君を倒しても、あんまり経験値手に入りそうにないんだからさ~」
清太が、ケラケラ笑いながら紫電を挑発してくる。その姿はまるで、ゲームの敵キャラと戦っている様であった。
「お前、俺を怒らせたな。覚悟せ~!!」
そう言うと、龍化した両腕の後ろに引くと腕に紫の雷を纏わせると、次に前に突き出す。すると、纏わり付いた紫の雷が細く槍の様になり、清太に向かって2本撃ち出される。
「紫死雷槍!!」
「うわわわ!! 危ないな~」
紫の雷の槍が清太に向かうも、2本共自らを浮遊させ回避させていた。
そして、地面に着地すると再び両腕を前に突き出し、今度は会場にあったパイプ椅子を浮かせると、紫電ににやけた顔を向ける。
「アハハハ、これは更に痛いよ~」
「それより、後ろ見いや」
その言葉に、清太が後ろを向くと先程の雷槍が反転し清太に向かっていた。
紫電が指を動かすと、雷槍は真っ直ぐに加速していく。どうやら、この雷槍は紫電の意志で自在に操れていた。
「ぎゃぁぁぁあああ!!」
そして、2本共清太にヒットすると激しい雷が清太を襲う。
「安心せ~お前は鬼化してへんし、殺しはせん。まぁ、しばらく寝とけや」
紫電は、決着がついたと思い清太に背中を向け、アシエか花凛に助太刀しようと歩き出す。
しかし、その紫電の体が急に浮き上がる。
「んなっ!! 何や?!」
紫電が慌てていると、清太が両腕を伸ばし紫電を浮かしていた。
「何勝手に決着ついたとおもってるの? 僕達に付いてるこの装置は、自然治癒力も上げるし、体もいくらか強化されているんだよ。言ってしまえば、新人類に1番近い人間が僕達なんだよ! 普通の人間と一緒にされちゃ困るね!!」
そう言いながら、次は自分の番だと言わんばかりに紫電を高く高く、空中へと浮かび上がらせる。
「クソが!! この!」
紫電は、何をされるのかに気づきそうはさせまいと次々と紫の雷を浴びせていたが、清太はビクともせず紫電をどんどん空中に上げていく。
「アハハ、大丈夫だよ~ちゃんとギリギリで止めてあげるよ~ほら、バンジー!!」
清太がそう言うと、急に腕を下に降ろす。すると、紫電は校舎の高さと同じ位の高さから、地面に向けて急降下する。
そして、徐々に加速が付けられる。
「うぐぐ……てめぇ!! 覚悟しとけよ!!」
「え~何言ってんの~?」
清太は、嬉しそうな顔をして紫電を地面に激突させた。もちろん、これっぽっちも止める気はなかった。
大量の土埃が舞う中で、清太の笑顔は更に嬉しそうになっていく。
すると、突然土埃の中から激しい紫の雷が清太を狙って飛んでくる。
だが、清太はギリギリで回避すると紫電を再び浮かび上がらせる。
「げほっ……てめぇ、あんなんで俺がくたばると思うなよ」
「へぇ~、やっぱドラゴンだから相当丈夫なんだね~」
そう言いながら、再び紫電を浮かび上がらせると、加速を付け地面に叩きつける。
これを繰り返していたのだが、実は紫電には全く効いていなかった。
紫電は腕を組みながら、この能力をどう攻略するかを考えていたり
「参ったで~突撃しても、多分この能力で吹き飛ばされるやろな。教室にいた奴らを外に引っ張り出したのもこいつと言うことは、複数動かす事も出来るんか。やっかいやな~」
再び、地面に付けられる。しかし、徐々にそのスピードと高さが上がっていっている。
「げほっ、げほっ。あのクソガキが、調子こきやがって~……って、んん?」
紫電は、何かに気づいた。
「もう、いい加減にしつこいな~とっとと、死ねよ!」
清太は、徐々にイラついていた。紫電がなかなか倒れ無い為にうんざりしていたのだ。
すると、紫電が両腕広げそこから広範囲に大量の紫の雷槍が出現した。
「お前でもこんだけの量はさすがに死ぬやろう!」
「あれ~? 化け物になってなかったら殺さないんじゃなかったのかな?」
これだけの量を前に、清太にも戸惑いの色が見える。これはさすがに受けきれないらしい。
「そんなもん、もう知らんわ」
紫電の目には殺気がこもっており、清太をすくみ上がらせるには十分であった。
「死ねや!! 紫死雷槍《百式》!!」
紫電が、そう叫ぶと広げた両腕を前に出し交差させる。
すると、周りの雷槍が次々と清太に向けて放たれる。
「くっ……!!」
清太は、両腕を広げると自分自身を浮かして大量の雷槍を回避する。
しかし、もちろん雷槍は紫電の意志で自在に動き出す。
四方八方から雷槍が飛び交う。
それを清太はギリギリの所で回避し続けていた。それだけではなく、上手く飛びながら雷槍を誘導させ、雷槍と雷槍をぶつけたり、地面すれすれまで落下してから急上昇で回避し、雷槍を地面に叩きつけたりして数を減らしていた。
そして、遂には雷槍全てを消されてしまった。
「はぁ、はぁ。アハハ、僕をバカにする……あっ!」
「ふん、やっと分かったで。お前の力のからくりがな」
紫電が、いつの間にか清太の力から抜け出して地面に降り立っていた。
そして、強力な紫の雷を身に纏わせ姿を変えていく。
「両腕を、平行にすれば自分を動かせられる。前に突き出せば自分以外を動かせられる。ちゃうか?」
紫電の腕には更にふさふさの毛も生え、頭には角が生え龍化していた。
そんな、紫電の姿を見て少し後ずさりをする清太であるが、まだ強気の姿勢で紫電を挑発してくる。
「ふ、ふん。それが分かったからって何だ!! 変身すれば強くなると思ってるのか!! 力を無駄に放出してバカじゃね~か!?」
「止めときや、今そんなことしても弱く見えるだけやで。弱い犬ほどよく吠えるっちゅ~やろ。強者は、黙って目的を達成するもんや。なぁ、ド三流」
スカジャンは龍化したときに脱ぎ捨てており、現わになった右腕を前に突き出し拳を作る。
「さぁ、タネは分かったで。もうお前の負けや、覚悟せぇよクソガキ!!」
紫電の怒鳴り声に、清太は体を強ばらせていた。
これが、龍。自分達が喧嘩を売った相手。
清太の中に、後悔の二文字が頭に浮かぶ。




