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煉獄の焔  作者: yukke
第五章 学園祭襲撃
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第四話 学園祭開催

 学園祭当日。

花凛は、様々な装飾や案内のチラシ等が張られ一般客も入り混じり、お祭りムードに様変わりした学校内の廊下を、案内の紙を眺めながら歩いている。

今、学校内は様々な人で溢れかえっている。

すると、リエンが昨日の事を口にしてくる。


『結局、花凛のご先祖で怪しそうなのは1人しか出てこなかったわね』


「そうね、でも確信ではないからリエンに探って貰うしかないよね」


 花凛が案内の紙を眺めながら返事をする。

昨日あれから、谷本家に寄り家族に事情を話していた。そして、家系図は無いかと尋ねたが、最近の家には家系図なんて物を大事に保管する家は少ない。

当然ながら谷本家も、家系図等は無かった。


 だが両親が親族から聞いた話では、父の家系の方に駆け落ちをした女性がいたらしい。

その女性は、明治時代初期の貴族であった。

この頃、身分制度は廃止されていたものの、貴族はまだ爵位の等級によって身分を決めていたのだ。

その中でも下の方の身分ではあったが、それでも一般人との結婚等言語道断であった。

だが、2人はどうしても一緒になりたくて駆け落ちをしたらい。

正に、ドラマの様な話しに花凛は聞き入ってしまっていた。


 しかし、その男性に特殊な能力があったかと言われても、何も伝わっていないと言う。だが、それ以外はどれも一般的な家系と何ら変わらないと言われたので、今の所その一般人の男性しかめぼしい人物はいなかった。


『まぁ、善くも悪くもあの3人の加護の力で、邪悪な力の方はよっぽどの事でもない限り暴走する事は無いわよ』


 不安がる花凛に、リエンが安心させようとしてくる。そこまで露骨に態度に出ていたのかと思い、顔を自分の両手でピシャリと叩くと顔を前に向け、廊下を歩いていく。

とにかく、今くらいは学園祭を楽しむ事にしたようだ。




「まずは、クラスの方に行ってみようかな。お化け屋敷どうなっているんだろう?」


 そして、花凛は自分のクラスへと足を向ける。

すると、すれ違いざまに小さな女の子が腰の辺りを通り過ぎる。


「ふぉ~これが、学校の学園祭というやつですか~」


 その髪色にびっくりして花凛は振り返る。そして、それと同時にリエンが声を上げる。


『えっ、さっきの。まさか!』


 すると、その声に反応するかのように女の子が振り向いた。


「およ? この声はまさか……」


 振り向いた女の子は、小学生くらいの背丈でありながらピンク色の髪をしており、地面につくのではないかのかと思うくらいの長いロングヘヤーの先を赤いリボンで結っている。

服装は、綺麗なフリフリの白いワンピースを着ており、くりくりの目と相まって可愛らしい印象を与えていた。


 そして、その少女が何とリエンの方に顔を向けとんでもないことを口にする。


「あ~!! リエンちゃんではないですか?! その姿はどうしたのです?」


『アシエ!! 久しぶりじゃない~あんたの方は相変わらずね~』


「えっと、リエン……この子もしかして」


 リエンが見えているのと知り合いという事で、花凛の頭には既に答えは出ていたが、念のためにと聞いてみる。


「およ? あなた、リエンちゃんの力を?」


『訳あってね、私が魂ごと消滅しそうになった所をこの人の魂が現れてね。何とか助かる為にもと思って、この人の魂と融合したのよ。だから、今はこの人が力を受け継いでいるのよ』


 リエンが、アシエと呼ばれた少女にざっくりと説明する。


「ほえ~そうでしたか。リエンちゃんの危機に現れてくれてどうもありがとうです。あっ、自己紹介まだでした。私は“鉄心龍”のアシエと言いますです」


 少女が、頭を下げて礼をしたと思ったら、今度は元気よく敬礼をして自己紹介をしてくる。


「あっ、いえいえ。そんなことないよ。こっちも助けられた様な感じだから」


 そう言いながら、ちょこちょこと落ち着きない子だなと花凛は思った。


「あっ、私は花凛って言います。リエンから受け継いで、煉獄龍となってるの。宜しくね」


 花凛は、笑顔でアシエに自己紹介をした。


「はいです! 宜しくです!! ところで、花凛ちゃんってリエンちゃんの煉獄龍以外の龍も混じってませんか?」


 表情は一切変えずに、じっと花凛を見つめているアシエの言葉に花凛はびっくりしていた。


『そうなのよね、私が今どんな龍なのか探っている所だけどね』


「止めておいた方が良いと思うです。この龍、相当ヤバいです。花凛ちゃん、気づいてませんか?」


 アシエの表情が一切変わらないことの方が怖くなっている花凛は、無言で首を横に振る。


「そうですか。まだ完全に覚醒した状態ではないのですね。なら良かったです」


 そう言うと、アシエの表情が途端に明るくなる。

すると、ぴょんぴょん飛び跳ねる様に花凛に近付くと、花凛の手を引っ張ってくる。


「花凛ちゃんは、この学校の生徒なんですよね? 案内して欲しいです!」


『ちょっと、アシエ。花凛の中の龍の事何か分かったの?』


 リエンの言葉に、アシエは首を横に振っている。そして、その話しは一旦終わりと言わんばかりに、花凛の腕をグイグイ引っ張ってくる。


「ちょっと、アシエちゃん。案内は良いけど、私つい最近転校してきたばっかだし、あんまり詳しくないよ?」


「いいのです!」


 アシエは、またしても元気いっぱいに返事をする。

そして、花凛は自分のクラス1年3組にやって来た。


「ふわぁ~すごく本格的なのです!」


 アシエが、クラスの入り口を見た瞬間テンションが高くなっていた。

それもそのはず、花凛も驚く程に気合いの入った入り口は、血の付け方から飾り付けの仕方までプロ顔負けのレベルである。

誰が、ここまでしたかは分からないが入り口だけで中のレベルの高さが伺える。


「おっ! 花凛! ようやく来たね~」


 小岩さんの様な服装をした、夏穂、美穂、志穂が教室の前で客寄せをしていた。

その隣のラジカセからは、夏穂が作った前ふりの話が流れている。

中身は、『1年3組の七不思議』となっている。普通は、学校の七不思議ではないだろうか。

花凛が、ラジカセから流れる話に盛大に首を傾げている。


「あんまり、真剣に捉えないで下さいね花凛さん。どうせ、適当に作ってますから」


 美穂が、柔らかな笑顔で話し掛けてくる。


「ほぉほぉ、教室の後ろのロッカーで、首を吊った女性徒の幽霊が出るですか。ホントなのですか?」


 アシエが、夏穂の作った話を真剣に聞いていた。


「おぉ、お嬢ちゃん興味あるの?! 実はね~……」


 夏穂が嬉しそうにアシエに話を聞かせている。


「花凛、あの子もしかして」


 志穂が、横から花凛に話しかけてくる。

3人は龍であるかどうかが分かるらしいので、アシエの事も気づいているようである。


「うん、あの子も龍だよ。私は今さっき初めて会ったところだよ。多分、沢山の龍がこの街に集まりそうだね。NECを潰すべく」


 花凛は、アシエがこの街に来た理由もだいたいの予測はついていた。

おそらく、紫電と同じ理由であろう。

夏穂も、気づいてはいるだろうが『神龍の巫女』だとバレないように、普通に振る舞っていた。





「ふわぁ~怖かったです!!」


 クラスのお化け屋敷から出てきた花凛は、胸に手を当てていた。


「ちょ、ちょっとこれ本格的過ぎない? 脅かし役の人達もお化け屋敷でバイトとかしてた? それくらい凄かったんだけど」


「にゃははは、花凛の悲鳴ばっか聞こえてたな~」


 青ざめている花凛を見て、夏穂がからかっている。花凛はお化け屋敷に入った瞬間から、悲鳴ばかりを上げまくっていたのだ。

しかし、アシエの方は終始きゃっきゃ喜んでいたので脅かし役も、さぞつまらなかっただろう。


 すると、またしてもアシエが腕を引っ張ってくる。


「アシエ、おなか空いたです!」


「あ~ちょっと小腹空いたね。じゃ、屋台の方行こうか」


 そう言うと、アシエがキラキラした目をして頷き更に強く引っ張ってきた。


「ちょっと、落ち着いてアシエ。屋台は逃げないから~」


「私達も、交代になったらメッセージ送るので一緒に回りましょう~」


 去っていく花凛に、美穂が声をかけてきたので花凛は手を振って返事をした。


 そして、グランドに出るとそこには大量の屋台がひしめき合い、食欲わそそる様々な匂いを放っていた。


「おぉぉぉ~?! 凄いです! いっぱいあるです!!」


 アシエのテンションが更に高くなっていた。

妹でも連れて回っているかの様な感覚に、花凛は苦笑いしていた。


「お~、これは中々うまいやないか~高校生が作ったとは思えんで~」


 すると、屋台の1つから聞き慣れた聞こえてくる。


「あっ! 紫電。来てたんだ」


 たこ焼きを出している屋台に、目立つ紫の色の髪が見えたので、花凛は紫電だと一発で分かった。


「お~花凛~……っと、アシエか?!」


「お久しぶりです~紫電さん」


 紫電とアシエが挨拶を交わす。当然ながらこの2人も顔見知りであった。


「というか、龍の人達は皆交流あるの?」


『活動場所が近ければね~紫電とアシエは多少離れているから、よっぽど大規模なことが起きないと、会うことが少なかったりするわね』


 花凛の疑問に、リエンが答えるがその後、羨ましそうに紫電のたこ焼きに目を落としていた。


「とりあえず、何か食べよっか~」


 花凛も、良い匂いにつられてお腹が減ってきていた。

花凛達一行は、屋台の立ち並ぶグランドで一旦休憩する事にした。

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