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煉獄の焔  作者: yukke
第四章 動き出す巨悪
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第二話 ~ 怨念の刃 ~ ②

 神田の車は隣の県にある、重要文化財の城にたどり着く。

ここで2件の殺人事件が起きている。警察の見解も2件とも刀で切られたと見ている。


「よし、パトカーも周りを巡回しているらしいからな、俺達は城の周りを見回るぞ」


「へっ、警察に協力するとかほんまはごめんやけどな~」


紫電は、不機嫌そうにしながら歩いている。


「何で、そんなに警察毛嫌いしているの?」


 その様子を不思議に思い、花凛は聞き返した。


「そんなん、気に入らんもんは気に入らんねん」


 まるで小学生の様な回答に、花凛は呆れてため息をついた。


『こいつは、基本的に感情で動く生き物だからね。理由なんてちゃんとしたのは無いわよ~』


「うるさいわ!! 悪いか?! 素直が1番なんや!」


 2人のやり取りをじっと見る、花凛と神田。

どうやらリエンは今姿を見せているらしい。リエンは、事情を知っている人の前では姿を見せるようにしていた。

この紫電の自分勝手な素直さのせいでリエンは体を失っているのだから、紫電に対してこの態度は仕方ないと花凛は思い、気にせずに辺りを警戒する。


「さ~て、時間も丁度良いし。出て来てくれるとええんやけどな~」


 紫電は辺りをきょろきょろと落ち着き無く見渡している。

今回の相手はいつどこから襲うか分からなかった。

何故なら、被害者は皆悲鳴を上げていないからだ。悲鳴を上げる間もなく殺害されたという事だ。


 そして、辺りは徐々に暗くなり始める。それと同時に異様な感覚が花凛の体を襲う。

本能が、逃げろと告げている様である。


「さすがに、お前も気いついたか? 来たで」


 そう紫電に言われて、花凛は精神を集中させ前方を凝視して身構える。

何かが前からやって来る。3人は目を凝らしながら、姿を確認しようとする。


 すると、ひたひたという草履の足音が聞こえてくる。

それと同時に、着物姿の男性の姿が暗闇から徐々に姿を現す。しかし、その姿は時代錯誤の格好であった。

頭に、藁で出来た笠をかぶり腰には刀を携えている。

その格好は侍の様な流浪人の様な格好で、現代では時代劇の撮影でしかそんな格好はしないであろう。


 そして、暗闇の中から徐々に顔も浮かび上がってくる。

目は、細くつり上がり瞳はなく真っ黒で真鬼の特徴を出していたが、角は無かった。

青白い肌に少し疑問を抱くが、それ以外は普通の人間の様に思えた。

だが、そいつが近づいて来るにつれ更に異様な事に気づいた。


「くっさ!! 何やこへ!! 鼻ふぁひん曲がるわ」


 紫電が、鼻をつまみながら喋っている。しかしそれも仕方ないくらいの腐臭が辺りに漂う。


「くっそ、すまん。この匂いは無理だ。俺は下がって、応援を呼んでくる!」


「ちっ、卑怯やなあのおっさん」


 紫電が、ぶつぶつと文句を言ったその時。


「……斬り捨て御免」


「危ない!!」


 花凛は、咄嗟に紫電を突き飛ばす。

それと同時に、そいつは瞬時に花凛と紫電の間を横切り、同時に居合いで切り裂こうとした。何とか、すんでのところで花凛が気づいたから良かったが、そう出なければ今ので紫電は真っ二つであった。


「あっ、危な~助かったわ……お前、反射神経はええんやな。連れてきて正解やったわ」


『どうやら、相手は人を見たら見境無く斬ってる様ね。ぼ~っとしてたら、斬り捨てられるわよ』


 リエンは、尻もちついて驚いている紫電に向かい注意をしてきた。

もう、既に戦闘は始まっている。花凛は、瞬時に偃月刀を炎の中から出現させると、鈴を鳴らして気持ちを切り替える。


「行くわよ」


「分かっとるわい、しゃ~ないから共闘したる。足引っ張んなよ」


そう言いながら紫電も立ち上がり、拳を作った手を反対の掌に打ちつけ首を鳴らして気持ちを昂ぶらせていた。



「進入者……」


そう言いながら、その侍は刀を抜いて構える。


「何が、進入者や!! 殺人鬼が! リエン、お前は分析しとけ。戦わんでええ分、集中して分析出来るやろ」


『分かってるわよ。でさ、多分こいつ死体じゃないの?』


紫電の言葉に、リエンが現時点で気づいた事を口にしてくる。


「なんやて?!」


「そう言われたら。よく見ると、顔の一部腐ってない?」


「んぁ? あぁ、ほんまや。ほんでこの腐臭かい。ってか、おかしいやないか。生きた人間が変異して、鬼化しとんのに。なんで死体が?」


『そこを調べるんじゃないの! ほら、来るわよ!!』


 そう言われた瞬間、侍が瞬時に間合いを詰め刀で縦に斬りつける。


「はやい!?」


「うっお……」


 2人は、またしてもすんでのところで左右に分かれて回避をした。


「ふざけんなや、このままじゃ防戦一方や!! 仕掛けたるで!!」


そう言って、紫電は右腕をまくり腕を雷を纏い龍の腕に変化させる。

そして、一気に駆け出し雷の速度で侍に突撃していく。


「あっ! ダメ!!」


 花凛は、よく知っていた。侍の特性を。


「電撃特攻!!!」


 そう言いながら、紫電は雷を纏っている右腕で侍を殴りつけようとしたが、見事に空を切った。


「あっ、あら……?」


「紫電、後ろ!!」


 花凛の叫びに、紫電が振り向くと刀を構え上げる侍の姿がそこにはあった。そう、侍は強者ともなれば攻撃を見切る事も容易になる。


「……斬り捨て御免。斬波羅(ざんばら)!!」


 侍はそう言い、構え上げた刀を振り下ろす。しかし、紫電を斬り捨てたわけではなかった。刀は空を斬り、多数の真空の刃を生み出し乱雑にそして同時に、紫電に斬りかかった。


「が……あっ」


あまりの一瞬のことで、紫電は避ける間もなく体中が斬り刻まれ血に染まり、その場で膝を折り倒れ込んだ。


「紫電!!」


 そう言いながら、花凛は紫電のもとに駆け寄る。


『紫電なら大丈夫よ、花凛もだけど龍は治癒力が高いから、あれくらいなら数時間で治るわよ。普通の人ならばらばらになるけどね』


「でも、戦闘に支障出るでしょうが!」


『あっ、そっか』


 知ってか知らずか、惚けながら手を打つリエンにこの子は今まで苦戦したことは無いのだろうかと、花凛は疑問に思いながら手に持ってる偃月刀を構える。


「はっ!!」


 花凛は走りながら、侍に向かい偃月刀で横に斬りつける。

侍も反応速度は早く、後ろ向きのまま花凛の攻撃を刀で防ぐ。

そして、侍はそのまま身をひねり反転し花凛の懐に飛び込んできた。


「えっ? うっそ……」


 斬られる。花凛がそう思った瞬間。


「おっらぁああ!!」


 いつの間にか立ち上がっていた紫電が、雷を纏った右腕で侍の顔面を殴りつけた。

侍は人形の様に、おかしな形になりながら吹っ飛んでいく。


「お前なぁ、その武器でやと懐に入られたらかえせへんやろうが。よう考えろや!」


「あなたかって、後先考えずに突っ込んで斬られてるじゃないの!」


『ちょっと~喧嘩は……』


「分かってる!」

「分かっとるわ!」


 リエンの言葉を遮るように、花凛と紫電が同時に叫んだ。

2人が睨む先には、笠を落とし腐って頭の中身が見えている侍の姿があった。

さすがに死体なのでダメージを負っていないらしく。平然と立ち上がっている。


「とりあえず、お前は武器を何とかしてんか。とどめは俺がやる!」


「分かったわ。リーチが長い分、懐に入らせない様に戦えるしね。任せて」


 2人は、横に並びそれぞれ構え直した。

「行くで!!」

「うん!!」

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