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煉獄の焔  作者: yukke
第四章 動き出す巨悪
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第一話 ~ 怨念の刃 ~ ①

 秋も深まり寒さが増してきた静な夜、花凛の住む隣の県には重要文化財の城がそびえ立っている。今は、その城を綺麗に映し出すようにライトアップされている。

その横の掘には、しだれ桜が立ち並び春には綺麗な花びらを咲かすことだろう。


 その掘を沿うように続く小道には、今血生臭い匂いとみずみずしい音を立てて何かが地面に落ちる音がする。

そして夜の闇の中、1つの足音だけが遠ざかっていく。



「くっそ!! 間に合わんかったか!」


 数分後、その場所に派手なスカジャンを着て髪の毛を逆立て、キツいつり目とギザギザの歯をした男が、激しい雷と共に舞い降りた。

そう、その男は以前花凛と接触をした雷光龍の紫電であった。

そして、紫電の足元には、何かの肉塊が転がっていた。


「ちっ、こんな綺麗な切り口は刀でバッサリと切った感じやな~獲物持ちは面倒いの~」


 紫電はそう言うと、頭を掻きむしりため息をつく。

どうやら、パーツからしてこの肉塊は切り刻まれた人間であることが見て取れる。


「はぁ、しゃ~ない。同じ様に獲物持ちの奴に協力してもらわなあかんな~」


 そう言いながら、紫電は立ち上がり紫の雷と共に空へと消えていった。







 学校に着いた花凛はいつもの様に自分の教室の扉を開ける。衣替えになり、花凛もクラスの皆も濃い青のブレザーを着ている。


「おはよう、花凛!」

「あ、おはようごさいます。花凛」

「おはよう……」


 真っ先に朝の挨拶をしたこの3人は最近仲良くなった、夏穂(かほ)美穂(みほ)志穂(しほ)である。


 最初に朝の挨拶をしたのが、短髪の髪に小麦色の肌、胸は無くてもスラッとした細身の体型をしており、運動が大好きな活発女子の夏穂。


 次に挨拶をしたのが、肩までのウェーブのかかったロングヘアーに前髪には髪留めをし、胸は高校生にしては巨乳であり、くびれもしっかりとある抜群のプロポーションをしており、目もたれ目でかなりの美少女であり、性格はおっとりとしている美穂。


 最後にすこしぶっきらぼうに挨拶をしたのが、首元までのセミロングに、胸は平均でもスラッとした長身のモデル体型であるが、目はいつも眠そうに細めており、口数も少なくクールな女子の志穂。


3人共、花凛が有名人だから近づいた訳ではなく花凛の人柄を見て、友達になろうとしてきた。

花凛は、最初どう接したらいいか分からずに困っていたが、3人の勢いに飲まれた感じで、いつの間にか仲良くなっていたのだ。


「3人共、おはよう」


 花凛も3人に挨拶を返す。


「ねぇ、花凛! 一生のお願い! 宿題写させて!」


 唐突に、夏穂が両手を合わせ頭を深々と下げて言ってくる。

いったい何回目のお願いなのだろうと、半ば諦めながらも花凛は夏穂をたしなめる。


「ダメ。そんな一生のお願いを、私は何回聞いてきたかな~今日はダメ」


「えぇぇ~そんな~親友を助けると思ってさ~!」


「ダメよ、夏穂。たまには怒られなさい」


「そうそう。こってりと、説教されなって」


 美穂と志穂の言葉に、夏穂はうなだれながら席に戻った。少しでもやっておけば、怒られる時間も減るだろうという算段であろう。


「ふふ、花凛もこのクラスに馴染めてきたわね。最初は、皆のしつこさに何度もうんざりしてたよね」


 美穂が微笑みながら言ってくるその姿は、同年代とは思えないくらい大人びていた。


「3人が居てくれたからだよ、ありがとう」


 花凛は、素直に患者の言葉を述べた。


「いいえ、どういたしまして」


 美穂が丁寧に返してくる中志穂が横から割って入ってきた。


「それより、同好会の方考えてくれましたか?」


 同好会と言うのは、この3人が勝手にやっている物になるがオカルト同好会なるものだった。


 花凛を誘ったのは、単純に3人の気づかいらしかった。

「情報集めは私達に任せろ」と夏穂が先陣を切って言ってくれたが、正直一般人を事件に巻き込みたくない思いから、花凛は返事を伸ばしていた。

しかし、そろそろ答えなくてはいけないだろうと考えているようで、花凛は難しい顔をし始める。


「申し出は嬉しいんだけど、正直危ないからさ。だから、そこまでしてくれなくて良いよ。自分で情報集めするから」


 花凛は、3人が気を悪くしないよう笑顔で返す。


「確かに、危険でしょうね。ですから、情報だけで調査はしませんよ。殆ど心霊ばかりですけど、中には先日のような行方不明事件なんかも耳に入るかもしれませよ?」


 それもその通りだった、結局先日の行方不明事件の情報元はこの3人組だったのだ。


『断ってもこの3人勝手に情報集めそうだし、危険が無いように見張るというのも良いかもね~』


 後ろでその様子を見ていたリエンが口にしてきた。

相変わらず、露出度の高いあの格好でふわふわ浮いている。


「う~ん、 そっか。そうだね、分かったよ。私もその同好会に参加するよ」


「あ、ほんとですか?」


 ようやく花凛の参加の返事をもらえた美穂と志穂は、キラキラした目になり嬉しそうにしている。


「あ~ん!! 私も会話に参加した~い!!」


「あなたは、最後の悪足掻きでもして宿題やっときなさい」


 夏穂にキツく説教する美穂の姿は、友達と言うよりお姉さんに見えてしまい、花凛はクスクスと笑っていた。


『ふふ、この3人はただあなたと仲良くなりたかったんでしょうね。情報集めの係をやるってのは口実じゃないの?』


「ん、そっか。だったらありがたいな」


 2人に聞こえない様にリエンに返事をする。

今花凛の姿は、どこからどう見ても高校生活を謳歌している女子そのものであった。






 放課後になり仲良し3人組と一緒に校門へと向かっている。


「よし! 花凛も入った事だしオカ同好会の活動も本格化するぞ!」


「と言っても、同好会だからね。のほほんとオカルト情報集めて、おしゃべりしていれば良いのよ」


 やる気に満ちていた所に、水を差す様に言う美穂を夏穂はじと目で睨む。


「分かってるけどさ~もうちょっとノリよく行かない?」


「活発なオカルト同好会、変だよね?」


 夏穂のテンションの高さに、志穂がトドメを刺してきた。


「うっ、ぐ……分かりましたよ。お淑やかに静々と進めさせてもらいます」


「あなたにお淑やかは似合わないわよ、夏穂」


「何だって~?!」


『どうしたの? 花凛にやにやして?』


 3人の様子を横から眺めている花凛はどこか満足そうである。


「ん、こんな高校生生活派送ったことなかったな~って」


『そう、良かったわね。でもあなたには別の顔もあるのよ』


 リエンがそう言いながら校門を指さすとそこには神田の姿と、もう1人紫電の姿もあった。


「えっ? 何かあったのかな? ごめん、3人共。私ちょっと急用が出来たし、また明日!」


 そう言いながら、皆に手を振り校門へと駆け出す。

その様子を、3人はキョトンとした目で見ていたが校門に居る人物を見て察した様であった。


「よっ!! オカルト同好会のエース! 頑張れよ~!」


「誰がよ!!」


 あまりの夏穂の言葉に、花凛はついついツッコミを入れてしまった。他の2人は頑張ってと言わんばかりに、小さく手を振っている。



「良い友達を持ったな」


 校門に辿りつき神田の車に乗り込んだ花凛に、神田は早々に3人の事を言ってきた。


「ん、普通にいい人達だよ」


「まぁ、ダチは居ないよりは居た方が良いわな」


 後ろの席から紫電が割って入る。


『あら、あなたはてっきりダチなんか下らないとか言うかと思ったのに』


 紫電の性格をよく知ってるのか、リエンがそんな事を投げかけた。


「お前、喧嘩売ってんのか? リエン」


「まぁまぁ、それより。何か様があったんでしょ?」


 花凛は喧嘩しそうな2人をなだめ、神田に問いかける。


「あぁ。ただし、用があるのは紫電君の方だ」


「紫電さんが?」


 花凛は、驚きながら紫電の方に目を向ける。


「紫電でええ。まぁ、お前の番号知らんしな。ほんまは行きたなかったが、こいつの居る警察署までわざわざ出向いて、お前の居場所を聞いて来たってわけや。つ~か、お前ようやくスマホ手に入れたんやな。後で番号教えろ、その方が楽や」


「あ、うん。わかった」


 紫電は、面倒くさそうに事情を説明していく。


「おっと、でや本題やねんけどな。渋々やけど、お前の力を借りたいねん」


「えっ?」


 花凛は、驚きのあまり聞き返した。

何せ紫電はこの前見たとおりに、紫の雷を使い電光石火の如く鬼を浄化していく姿を見ている。

そんな人物が苦戦するのだろうかと首を捻る。


「なんや、その態度は? しゃ~ないやろ、俺は徒手空拳の喧嘩殺法やねんで? 武器持ちの真鬼なんか面倒やねん」


『武器持ち? そんなの見たことも聞いたことも無いわよ?』


 今度はリエンが驚きのあまり聞き返していた。

花凛もこれまで戦ってきた中で、武器持ちの真鬼等は見たことなかった。


「せやから面倒やねん、既に犠牲者が2人出とるしな。どれも綺麗に切られてバラバラや。そんなもん刀を使わんと無理やろう?」


 リエンも花凛も、あごに手を当て唸っていた。

武器を使わずにそれが出来るか、そう考えるも結局紫電と同じ様に刀を使ってるという結論しか出なかった。


「そんでお前に協力して貰おうってわけや」


 そう言いながら、花凛に指差した。


「それで、犯人は夕刻から夜にかけて犯行を行っている。今からだと、丁度良い時間に着くからなこのまま調査に向かう」


 車を運転しながら、神田が花凛に向かって言ってきた。


「えっ? 今から?」


「なんや? 怖いんか?」


 紫電が、驚いている花凛をからかってくる。


「む、そうじゃないよ。今日の晩御飯どうしようかな~って」


晩飯(ばんめし)の事かいな」


 花凛のその言葉に紫電が呆れていた。

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