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煉獄の焔  作者: yukke
第三章 新生活
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第九話 行方不明事件

 HRが終わった瞬間、花凛はクラスメイト達から集中攻撃を受けている。


「ねぇねぇ、ニュースで写っていた子ってあなたなの?」


 その質問に、花凛はこの前言われたことを思い出した。

全て肯定し、注目を浴びることで情報を集めやすい。

そして、先生の中に真鬼が居た場合は何か行動を起こすか。潜むとしても、何かしらの変化が起きると想定されるからだ。

普通の捜査ではありえないが、普通ではないこの状況では秘密にしても、効果は得られないというのが神田の判断だった。


「う、うん。そうだけど」


 おずおずと花凛はそう答えた。次に来ることを予想しながら。


「えぇぇぇ~?! やっぱり~!! だって髪色とか特徴が一緒だもんね~」


「ほんとかよ! 神田さん、ニュースでやってた女子ヒーローかよ!」


「すっげぇええ!」


予想通り、クラス全員が花凛を囲みだした。

そして、雨のように次々と質問が降り注いできた。

あの化け物は何なのか、花凛の正体について(これは誤魔化していた)、最初逃げていたのは何故か、警察に協力してから何か起こったのか。

とにかく、ひっきりなしに質問が飛んでくるのでさすがの花凛もウンザリしていた。


 その様子をリエンは、見落とさないようにじっくりとクラスメイト達を眺めている。そう、鬼化してる者又は無理やり鬼化させられた者が居ないかどうかをチェックしていた。


「ねぇねぇ、ここに来たのも何か事件があったから?」


 1人の女子が花凛にそう訪ねてきた。

それはまさに、何か凄い事がここでも起きないだろうかと言う期待を込めて言っている様である。

花凛は、その不謹慎な態度に少しイラつきを覚えた。


「いや、近くに住み始めただけで化け物の事は関係ないよ」


 それでも、花凛は丁寧に答えている。

クラスメイトを巻き込むわけにはいかない、何かあっても伏せておけばクラスメイトは巻き込まれないはずだと、花凛はそう考えていた。


「何だ、隣町の女子高の行方不明事件を調べに来たとかじゃないんだ~」


「えっ、今何て?」


 花凛は、1人のクラスメイトの発言に耳を疑った。

詳しく聞こうとその生徒に詰め寄る。


「それ、どういう事いつから起きてるの?」


「え? えぇと、1週間くらい前からかな?」


 花凛が、逃げ回っている最中に起きていたらしい。


 詳しく聞くと、どうやら隣町の女子高のある更衣室で女子生徒が次々と消えているという事件が起きている。

それは、部活動の終わり頃に起きるらしく必ずそこで女子生徒が1人になると、煙のように消えてしまうというのだ。

荷物等はその更衣室に置いたまま。

花凛は、その話を聞き特殊な力を持っている真鬼の仕業と疑った。

正面にいたリエンに目を向けると、リエンも真剣な表情で頷いた。


「神田さん、その反応まさか?」


 余りに、必死だったためにクラスメイト達が期待の眼差しで花凛を見てくる。


「あ、ごめんごめん。今の段階じゃ分からないし、ただの誘拐かもしれないからね。でも、鬼の事については余り首を突っ込まないで、死ぬよ」


 最後は、半分脅しだった。

こうでもしないと、この人達は興味本位でクビを突っ込んでくるに違いない。

そうなればさすがに自分1人では守り切れない。

そのためにとった行動であった。

クラスメイト達は、その花凛の言葉に怖じ気づいたのか、それからは鬼の事は余り聞いてこなかった。


 その日は始業式の為、午前中で学校は終わった。

脅したにも関わらず、花凛の事についての質問はそれからも続いている。

ある意味、ここまで有名人になってしまっていたのかと半ば諦めて、花凛は皆の質問に答えていた。




『有名人ね~花凛~』


「茶化さないで、疲れたよ……」


 マンションの近くのバス停から降り、まだ暑い日差しが照りつけるアスファルトの道を進む。

時刻は、お昼を過ぎていた。

クラスメイト達の質問タイムに時間を費やしていたのだ。

花凛は空腹のお腹をさすりながら、近くのコンビニに寄ることにした。


「いらっしゃいませぇ」


 店員の気怠い挨拶を聞き流し、おにぎりやパンの並ぶコーナーに足を向け、どれがいいか品定めする。すると。


「うがあぁぁ!! か、金をだせぇええ!」


「きゃあぁぁぁぁ!」


「うわぁあああ!」


 窓ガラスが割れる音と同時に、叫び声、悲鳴。

それらが同時に聞こえてきた。

まさかと思い、そちらに目をやると。


 ジャージを来て、頭にスポーツキャップを付けた男が店員に襲いかかっていた。

そして、そのスポーツキャップからは角のような物が生えていた。

男は鬼化していたのだ。


『やれやれ、買い物くらいゆっくりとしたいわね』


 リエンがそう言って肩をすぼめる。


「う~ん、でも出た以上はしょうが無いね」


 そう言いながら、花凛は戦闘準備に入る。


『あ、パンツ気をつけなさいよ~今、スカートよ』


「あわわ、そっか。気をつけないと」


 花凛は、慌ててスカートに手をやり、どれくらいめくれやすいのか確認をしている。


『そうこうしてるうちに、店員さん危ないわよ~』


「だったら言わないでよ!」


 急いで武器を出し、レジへと向かい走り出す。


「か、金だ金ぇえええ出せえぇぇえ!」


 男は理性を失っており、店員の頭を掴んでおり今にも握り潰しそうになっていた。


「そこまでよ」


「ぐがっ?!」


 花凛は、背後から偃月刀を突き刺していた。

そして、真っ直ぐ切り上げ鬼の体を切断した。

同時に切り口からも発火し、鬼の体を一気に燃やし尽くしていった。

しかし、その炎の中鬼となった男の目からは波の様な物が流れ出ていた。


「いつもいつも、自然に発生する鬼は何があって鬼になるのだろう」


 花凛は、疑問に感じていた。理性を無くすほどの欲望。全てを捨ててまでそれに染まってしまう。

そんな鬼達にも家族がいるはず、そこを探れば何か分かるのではと花凛は思うが、同時に怖さもあった。

鬼となって処理された人達の遺族からの怒りの声を。




「全く、こちらから連絡しなくてもお前の近くで鬼が現れるとはな」


 通報により、コンビニに駆けつけた神田が花凛から事情を聞いていた。


「こっちも驚いたよ」


「まぁ、こっちは手間が省けて楽なもんだがな」


「ちょっと、仕事してよ」


 花凛は、ぶっきらぼうにしている神田に対して目を細めて睨み付けた


「花凛、最近ほんとに娘みたいになってきたな」


 ぽりぽりと頭を書き、仕方ないといった具合に花凛から聞いた事情をメモしていく。


「そう言えば、学校はどうだった?」


 花凛から事情を聞き終わった神田が、いきなりお父さんのような顔をして言ってくる。まだ30代後半に見えるが十分父親の風貌を醸し出していた。


「……っ、その顔卑怯」


 余りの反撃に花凛はそっぽを向く。

男の時でも、両親はこんなタイプでは無かったため少し気恥ずかしい様子である。


「ふん、仕返しだ」


 周りの警察官達が、ニヤニヤしながらその様子をじっと見ていた。

あの、神田刑事があんな顔をするのだと初めて見る顔に皆面白がっている。


「お前ら、仕事しろ!!」


 神田の怒号が飛ぶ。

何だか、父親の仕事風景を見ているようで、花凛は少し複雑な気持ちになっていた。


 そして、ふと今日学校で聞いたことを神田に確認をする。


「そう言えば、クラスメイト達が言っていたけど、隣町の女子高で行方不明事件が起きてるって」


 その言葉に、予想通りと言わんばかりに微動だにもせずに花凛に言葉を返す。


「あぁ、それは俺が担当している事件じゃなくて手が出さないのだ。しかし花凛、お前の事を話したらぜひ来て欲しいとの事だ」


 花凛は、その言葉に了承ししっかりと頷く。

自分にしか出来ないこと、少なからず使命感のようなものを花凛は感じ始めていた。

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