表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
煉獄の焔  作者: yukke
第三章 新生活
31/122

第八話 転校

 オフィスビルの中の神田のマンションにて、花凛は今高校の制服に身を包んでいた。

白い半袖のカッターシャツに、黒と白の縦ラインの入ったスカート、そして赤いリボンタイをしている。

髪はゴムで括り、ロングのツイテールにして制服にシワがないかを確認する。


「よし、大丈夫だよね?」


『ん~スカートもっと短くしたら?』


 そんな花凛の様子を楽しそうにリエンが見ている。


「えっ? でも今でひざ丈だよこれ以上短くしたら……」


 そう言いながら、花凛はスカートの裾をもって確認する。


『どうせなら、太股まで短くしたら~?』


「……校則で引っかかります」


 リエンの進言を軽くいなした花凛は、リビングへと向かう。

リビングでは、神田が花凛の作ったフレンチトーストを食べていた。


「準備できたか? お、似合ってるな」


 神田が花凛を見て、そう言ってきた。


「そ、そうかな?」


 花凛は、その場でクルッと回って制服姿を披露した。


「あ、それ美味しかったですか?」


 神田が、フレンチトーストを完食したのを見て花凛は感想を求めた。初めて他人に出すのだから、上手く出来ていたか心配になり聞いたようだ。


「あぁ、上手かったぞ。昨日一昨日で、両親に教わったのか」


 神田が、花凛に顔を向けてにこやかにしている。そんな姿を見て、花凛は顔がほころび何だか本当の親子みたいな感じになっていた。


『花凛、徐々に精神も体に合わせて変わってきたわね』


 そんな様子を見ていたリエンが、花凛に向かい言ってきた。

その顔は、少し真剣な表情をしていた。


「えっ? そうかな?」


 花凛は、何ら違和感なく対応をしていたため、自分の変化に全く気づいていなかった。


『魂と体が馴染んで来た証拠よ。大丈夫、あなたはもう1人の女子高生よ。半分龍だけどね』


 そのリエンの言葉に、あることが頭に浮かんだ。

自分は、元男で谷本亮として生きていたことを。


 この体になり、まだ1ヶ月もたっていないのにもうここまで変化するのは、魂と体が馴染んで来ていると言うことなのだろうか。

しかし、今更男に戻りたいという気も沸いてないのも事実だった。何せ、男の自分は死んでいるのだから。


 すると、ふとテレビのニュースが目に飛びこんできた。


『次のニュースです、今話題の女子ヒーローについてですが。あれから、警察と一緒に化け物を退治していたという情報からーー』


 その瞬間、神田がテレビのリモコンを取り電源ボタンを押し、テレビ消した。


「全く、メディアに釘刺しとけと言ったんだ。仕事し無かった奴は誰だ」


 神田の言葉に怒りが混じっているのを感じ、花凛は少し体を強ばらせた。

初めて、怒っている神田を見てまるで別人の様に感じたのだ。

それに気づいた神田が、頭をぼりぼり掻きながら謝ってきた。


「あ~すまん。俺は、どうも怒りの感情をコントロール出来ないみたいでな。それでよく皆に怖がられてるさ」


 神田はそう言いながら、コーヒーを飲み干した。


「ん、仕事上仕方ないと思う。さっきはちょっとビックリしただけ」


 花凛のその言葉に、神田は花凛を見つめてはにかんだ。

そして、朝ごはんも終え支度をした2人は、揃って玄関を出る。


「今日は、俺は帰りが遅いから。何かあったら電話する。その辺りは学校の理事長にも話は通ってるはずだ」


「うん、わかった」


 神田の言葉に、花凛は頷く。他人が見ても、どう見ても完璧な親子だ。


「よし、学校に着いたら職員室に向かえばいい」


「神田さん、大丈夫だよ。これでも、前は30年の人生を生きてたんだからね」


 心配そうに、色々言ってくる神田に花凛が大丈夫といった顔で返した。


「ん、そうか。わかった」


 そう言って、お互い手を振り出かけていく。




 花凛が通う学校はここからバスで20分の所にあった。

バスから降り、通りを渡った先の狭い商店街通りを通り抜けるとその先に、高校が見えてくる。

校門から入ると目の前には広場があり、右手に駐輪場が、正面には職員室のある校舎があった。

花凛は、まっすぐその校舎に向かう。


『へぇ~ここが学校ねぇ~私も通ってみたかったかな~』


 リエンがきょろきょろと辺りを見渡す。

よっぽど珍しいのだろうか、リエンのそんな姿を見て花凛はくすくす笑っていた。


『何笑ってんの?』


「いや、妹みたいだな~って思って」


『誰がよ~! 私の方がお姉ちゃんよ~』


 花凛の言葉に癇癪を起こすリエンを見て、ますます妹っぽいなと感じていた。


「分かったから、あんまり騒がず静にしていてね」


 そう言って花凛は職員室に向かう。



「あ、すいません~私今日からこちらに転校する事になった、神田と言います」


 もちろん、養子縁組なので花凛の名字は神田になっている。


「お~君がそうか。もう始業式が始まる。それまでここに居てくれんか。終わったらまた呼びに来るから、一緒に教室へ行くぞ。担任は私だからな」


 歳老いた先生にそう言われて、その場で待たされる。

この職員室の雰囲気も久しぶりだなと感じ、花凛は辺りを見渡していた。

リエンはというと、ふわふわ浮きながら職員室をくるくる旋回していた。


『ねぇねぇ、この部屋って何するとこ?』


 リエンにとっては初めての場所なのだから分からなくて当然だろう。


「勉強を教える先生達の待機室みたいなとこかな」


 その後、リエンから色々質問され始業式の時間等あっという間に過ぎていった。


 職員室からは、体育館の様子は見えない。

職員室の窓からは、クラスのある校舎が見えていた。

体を伸ばし、その校舎の横を見てみるとグランドが広がっていた。

しかし、体育館は見えなかったのでその奥だと思われる。

花凛は、一通り学校の様子を確認し近くの校舎に制度達の声が溢れてきたので、そろそろかなと再度身だしなみ整えた。


 すると、その後職員室のドアが開き。さっきの年老いた先生と、他の先生方もやってきた。


「お~君がそうか。いや、ニュースで見てる子がこの学校に来るなんてな~」


 体格の良い先生が花凛を見て言ってきた。


「これこれ、保護者からはあまりその事で騒ぎをしないようにと言付かっている、生徒達はしょうが無いでしょうけど、我々は1人の生徒として扱ってください」


「あ、これは失礼。わかりましたよ」


 年老いた先生に注意され、体格の良い方の先生は後頭部に手を当てて謝った。


「さ、行きましょうか神田さん」


「あっ、はい」


 まだ、言われ慣れない名字に戸惑いながら、花凛は年老いた先生の後をついて行った。




 職員室が入っている校舎、その後ろにあるL字型の校舎に連れられていく。

花凛は、少し緊張をしていた。

ニュースや動画サイトでは、様々な花凛の姿が世間に晒されている。

クラスの人達が、いったいどんな反応をするのか不安がよぎっていた。

1階から入ると左に曲がり、そのまままっすぐ廊下を進む。

いくつかの教室を通り過ぎただけでも、ざわめき声が聞こえてくる。


『緊張しているみたいね』


 花凛の様子を気にして、リエンが励ましてくる。


『大丈夫よ、堂々としていれば良いし。友達を増やすチャンスじゃん~』


「そ、そうだけどね……」


 花凛は前の担任の先生に聞こえないようにして、リエンに応えた。


「さ、ここだ。ちょっと廊下で待っていな」


 そう言いながら、担任の先生は教室に入っていった。

クラスの表札は1年3組となっていた。

花凛は、胸に手を置き深呼吸する。


「よし、入れ」


 担任の先生にそう促され、花凛はゆっくりと教室の中に入っていく。

入った瞬間から、クラスの皆がしんっと静まり返る。


「ほら、自己紹介を」


 担任に促され、花凛は慌てて前を向き自己紹介をする。


「えっと、初めまして。神田花凛と言います。こちらには引っ越して来たばかりなので、友達も居ません。よければ仲良くしてください」


 そして、ペコリとお辞儀をした。


「えっ? 何処かで見たことが」

「テレビで見なかった?」

「あっ、動画サイトに出てたよね」


 途端にクラスメイト達が騒然となる。


「はい、皆さん。静かに、神田さんは先程言いましたように家庭の事情でこちらに越してきたばかりです、皆さん仲良くし上げてください。神田さん、1番後ろになりますがそちらの席にどうぞ」


 担任がそう言いながら、手で後ろの空いてる先を指してきた。

花凛は、それにしたがい1番後ろの席に着いた。

教室内がまだざわついている中HRは進んでいく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ