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煉獄の焔  作者: yukke
第二章 放浪
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第十三話 迫る包囲網 ①

 雑誌ビルが立ち並ぶ通りには、パトカーや救急車が大量に止まっており辺りは騒然となっていた。

当たりはすっかり暗くなっているが、そこだけは赤い光にあふれている。


 しかし、そこに花凛の姿はもう無かった。

警察官と、オールバックの刑事が隆達の傍におり事情を聞き、他の警察官達も周りの人達に聞き込みをしている。


「だからそのお姉さんに助けられたんだよ俺達は! 殺人犯なんかじゃないよ!!」


「分かった分かった。しかし、君達にもお小言があるよ。何で立ち向かったりするんだい。そういう勝手な行動は更なる犠牲者を出すだけなんだ。今度はこんなバカな事はしないように」


「はい……」


 警察官の強い口調に、隆は口ごもってしまった。

すると、後ろから隆達を呼ぶ声が聞こえてくる。


「隆!」「健斗!」「綺羅々!」


 主婦らしき女性が口々にそう叫ぶと、隆達3人に走り寄ってきた。

どうやら3人の母親らしい。警察官と何やら色々話をしだした。


 しばらくして、刑事と話を聞いていた警察官が人混みをかき分けパトカーに向かっていく。


「刑事、今回の事件で周りの人々が、あの少女を殺人犯として追うのを止めろという声が多数出てます」


 警察官が、手帳を広げて刑事に続けて状況を説明する。


「また、すでにメディアは今回の動画を多数取得しており、今日の夜のニュースのトップを飾るでしょうね」


 

 その状態に納得いかないのか、刑事はイライラしている様子で口を開いた。


「これだから、メディアは。誰が殺人犯として追ってるなんて言った? 重要参考人で追ってるんだよ。メディアが勝手に殺人犯って報道して、今度は人々の意見を取り入れ、殺人犯として追ってる警察を糾弾するのか。笑えねぇな」


 刑事の皮肉に一緒にいる警察官も苦笑いしていた。




 その頃、花凛はその街の地下鉄駅のロッカーの置いてある場所にいた。

着替えやらの荷物の入ってるリュックを、ロッカーに預けていたからだ。


「よいしょ。さて、このままこの街にいても危ないな。今度はどこに移動しようかな……」


 リュックを背負いながら花凛がつぶやいた。


『それはそうと、口調がまだ少し男っぽいわよ?』


「うっ、だからそんな器用な事出来ないっての」


 リエンの注意に渋々答えた。花凛は、これから先の逃亡生活も大変な事になるだろうと予感していた。


「あ、そうだ。あそこ行こうかな。だいぶ離れてるし、警察官もそこまで深読みはしないでしょ」


 花凛は、あごに手を置きぶつぶつとつぶやいた。

そして、足早に電車に乗り込みこの街を後にした。


 その後、地下鉄から何駅か乗り継ぎ、新幹線の発着する駅に着いた。今日はそこのネカフェで寝泊まりしていた。



 翌日、そこから北に向かう特急列車に乗り北へ向かっていた。

片道数千円だが、鬼を浄化するたびにそいつの財布から少しお金をもらっていたので、これくらいの運賃は容易く出せていた。


 そして、電車に揺られること2時間半。

ようやく、目的地に着いた。


「ん~久しぶりだな~ここ」


 花凛は、駅の広場で両腕を上げのびをした。


『って、花凛。ここ、何もないわよ!!!』


 リエンが、両腕を広げて叫ぶ。

それもそのはず、駅は広々としており。特徴的な流線型のデザインをしている。その前には、古ぼけた本屋と最近出来たばかりで、地元の人達が待望していたコンビニが1件。

後は、駅の前から伸びる長い通路があるが、左右は見渡す限りの田園が広がっていた。


「だって、ここ田舎だもん。未だにくみ取り式のトイレだしね」


 リエンの叫びに、花凛が真面目な顔で答えた。


『まぁ、確かにこんな田舎ならさすがに警察官もすぐには追って来れないでしょうね。でも、何でこんな所知ってるの?』


 リエンが首を傾げた。普通なら、こんな所は親戚が居なければ思いつかない場所だ。


「母さんの実家があるんだここ」


 当然の答えが返って来たので、リエンは「やっぱり」といった表情をした。


「でも、今はおばあちゃん一人だし。ここ最近足腰悪くしたり、体調崩したりしてるから、夜は近くの親戚の家に泊めて貰ってるんだって」


 花凛は駅の前から伸びる長い通りを、ゆっくり歩きながらリエンに話をした。


「で、その家平屋根の2階建て何だけどおばあちゃん足腰悪くしたし、2階には上がらなくなったんだって」


『じゃぁ、そここっそり使えるの? バレない?』


 リエンのその言葉に花凛は続けるように話した。


「夜だけ使えば良いじゃん。それに、ここから自転車ですぐの所に海もあるしね。夏休みで人居るけど、この辺りは殆ど地元の人しか居ないから、割と隠れるには絶好の場所だよ」


『あぁ、最悪そのまま海外に高跳びしても良いってわけね』


リエンは、花凛の言葉に納得いったように頷く。


「あ、ごめん。そこまでは考えてなかった」


 花凛は、頭を書きながらその母親の実家に向かい歩き続けた。

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