【75】ヒルダの日常
「無理です。悪いですが、蛇は無理です。絶対無理!」
「えーっ、竜はいいのに? 同じ爬虫類でしょ?」
「竜を爬虫類と一緒にするな」
断りを入れる私にメアが不満げに頬を膨らませ、イクシスとオウガが声を合わせてツッコミを入れた。さすがは双子見事なハモり具合だ。
オウガの異空間の部屋で私が気絶して後。
起きたらそこではまだ話し合いが行われていた。
私が起きたことに気付いたメアがベッドに近寄ってきて、早々にお断りを入れれば、納得がいかないという顔をされた。
「そもそも私は、イクシスと……付き合ってるの。メアだって知ってるでしょ? それにメアをそういう対象には見れません」
「えーエリオットやオーガストさんには自由にさせてるのに、おれだけばっさり切るのは酷いと思うなぁ」
きっぱりと言えば、メアの後ろの蛇が全員うなだれるように首を前に垂らす。
「だってメアには身の危険を感じるんだもの!」
「うわっ、酷いなぁ。はっきり言われると傷つくよ? まぁ別にメイコお姉ちゃんがおれを好きじゃなくても、全然構わないんだけどね? 好きな子に嫌われてても、それはそれで楽しいし……虐めたくなる」
メアは瞳に嗜虐的な光が宿らせてにっこりと笑った。
ぞくりと肌が泡立つのを感じる。
ほらやっぱり危険じゃないですか!
「メア、俺のメイコに手を出そうとするなら容赦はしない」
イクシスがメアの横から、私を庇うように間に立つ。
そんな場合じゃないのに、俺のという部分にドキっと心臓が跳ねてしまう。
「怖い顔しないでよイクシスさん。メイコお姉ちゃんをイクシスさんから取ろうなんて、そこまで身の程知らずじゃないからさ! 別におれ、三番目でも愛人でも構わないし」
「私が構うよ!」
何をさらりとメアは言ってくれてるのか。
常識とか倫理とか重要なものがメアからは抜け落ちている。
「わかった。じゃあ妥協して、メイコお姉ちゃんがその体に幻獣の卵を生ませてくれればそれでいいよ。そのために、メイコお姉ちゃんが元の体を取り戻すの手伝ってあげる!」
そしてその体に卵を生ませてもらうねと、メアは明るく口にする。
「さっきと何が変わったのかわからないんですけど!?」
どこが妥協したというのかと思わずツッコミを入れる私に、大分違うよとメアは口にする。
「おれの子供じゃなくても、メイコお姉ちゃんに幻獣の祝福をあげるって言ってるんだよ。血は繋がってなくても、それなら愛せそうだし。それだけで、将来のメイコお姉ちゃんの子供が幻獣持ちになるよ?」
想像して青ざめる私を見て、メアがくすくすと楽しそうに笑う。
からかって笑っているのなら、まだよかったのだけど。
……私を見つめる瞳にはどこか鋭い光があって油断できない。
メアの幻獣の卵ということは、確実に蛇。
私とイクシスの子供がいつかできたとして、その背後に蛇がうにょうにょいたら……恐ろしくて泣けてきてしまう。
子供を抱っこすることさえ困難だ。
そもそも、考える余地すらなかった。
「嫌です。無理です! 心から遠慮します!」
「えー幻獣便利なのに。メイコお姉ちゃん幻獣に求愛されるって、凄いことなんだよ?」
思い切り拒否したら、断ることがありえないよというようにメアは言う。
しかし、何があろうとそこは譲れない。
凄かろうが何だろうが、蛇は無理だ。
幼いメアは、人というよりも幻獣使い……幻獣の欲求が強いように見えた。
それが幻獣の愛情表現なんだと言わんばかりだ。
メアにはやっぱり無理と伝えたのだけど……本当にわかってくれたのかは微妙なところだった。
●●●●●●●●●●●●●●●●●●
私が寝ている間に行われた話し合いで、黒幕の正体が明らかになったようだった。
黒幕はヒルダの実の姉、ティリア。
女王制であるエルフの国の第一王女で、母親は現女王。
それでいて何人もいる女王の夫の中で、彼女の父親は王家筋のエルフで正室。
つまりティリアは紛れもない、お姫様中のお姫様だった。
現女王の第一王女として生まれたティリアは、類稀なる才能の持ち主だった。
十二歳の時、教師がもうティリアに教えられることはありませんと言った。
十四歳の時、高名な魔法使いを相手に、一歩も引けを取らない魔法の腕前を見せた。
その持っている魔力も絶大で。
十五歳になって魔法の能力を見せる成人の義では、巨大な試験獣を倒すだけでは飽き足らず、山を一つ消し去るほどの力を見せつけたのだという。
エルフ国にはマナの木と呼ばれる大木があり、女王はその木の世話をし、魔力を注ぐ使命がある。
エルフはこの木の妖精であり、全てのエルフはこの木が枯れれば死ぬ。
そのため、女王の役割はとても重要視されていた。
しかし、木はここ数年枯れかけており。
巨大な魔力を持つティリアは、かなりの期待をかけられていた。
今までのエルフの王族の中でも、魔力においてティリアは別格。
きっと彼女なら、枯れた木を元通りにできると皆思っていた。
成長したティリアの右に出るものはいなくて。
確実に次期女王になるのはティリアだと言われていたらしい。
けれど――そこにヒルダが生まれてしまった。
エルフの王族と、奴隷身分の花寄り人との間に生まれたハーフエルフ。
身分は低く、本来なら王族の一員にという事自体ありえない。
三歳で王宮に引き取られたヒルダは魔力測定をしたところ、測定不能の魔力量を弾き出したらしい。
空間を三歳で扱い。
五歳の時にはすでにヒルダに魔法を教えられる魔法使いがエルフの国にはいなかった。
八歳の時には竜と誓約を結び、自分の制御化に完璧に置いた。
実力のある魔法使いが束になっても、ヒルダの遊び相手にすらならなかった。
十五歳の成人の義では、軽く指を振るだけで試験獣もろとも、そのあたり一帯を大陸から消し去った。
エルフ国の端にある、聖なる成人の義を行う場所は。
ヒルダの魔法のおかげで巨大な底知れぬ穴ができて、使い物にならなくなってしまったらしい。
未だに消えない魔力の残滓が、山を三つほど飲み込む大きな穴の奥にわだかまっているとのことだ。
女王には、マナの木に魔力を注ぐという全エルフの生命に関わる使命があるため、エルフの国の王位は実力制。
魔力の高い順に王位継承の順番も決まる。
ちなみに男じゃ王位は取れない。
マナの木は女からしか魔力を受け取らないらしく、そのため当然のように女王制だった。
いきなり現れたヒルダに、王位継承第一の座を追われたティリアは納得できなかった。
ヒルダがいなければ――ティリアは、誰も文句のつけようのない女王になっていた器だったのだ。
ずっと女王になると信じて疑わなかった十八歳のティリアは、三歳の、しかも自分よりもずっと身分の低く混血のヒルダに負けてしまった。
「ティリアからは、毎日のように刺客が送られてきていました」
クロードはただ事実を告げるだけの口調で、話を続ける。
刺客に狙われるという非日常。
しかし、その頃からそれがヒルダの日常だった。
十歳の時、クロードは五歳のヒルダと出会い、誓約を結んで仕えるようになった。
クロードは貴重な花寄人と呼ばれる存在。
魔を引き寄せる力を持ち、相手と交わればその魔力を増大させる。
そのため魔力を何よりも重視するエルフの王宮に連れていかれ、王族の人たちの慰み者になる運命だった。
五歳のヒルダはそんなクロードに、自分以外の者に体を許せば死んでしまう誓約をかけた。
花寄り人の母親が虐げられている様を間近で見ていたヒルダは、同じ境遇のクロードが放って置けなかったんだろう。
子供だから誓約の解き方がわからない。
ヒルダはそう言い張った。
大人になって誓約が解除できるようになるまでという事で、クロードはヒルダ専属の執事になった。
そもそも女王には花寄人が宛がわれることが多いという事情もあって、クロードはすんなり次期女王であるヒルダのモノになったようだ。
出会った頃のヒルダは無口な上無表情な子で。
見た目の美しさもあって、よくできた動く人形のようだったとクロードは言う。
ティリアから送られて来る刺客を、ヒルダはあっさり撃退する。
食べるモノには必ず特製の魔法かけて、解毒をしてからしか食さない。
誰にも心を許す様子もなく、子供らしさなんてものはそこに一切なかったとのことだ。
ティリアはそんなヒルダの様子が面白くないのか、周りの使用人を嫌がらせで殺す事もあった。
しかし、ヒルダは「そうあの子死んだの」くらいしか言わない。
そっけない反応に、ティリアはそのうち嫌がらせをやめたらしい。
王位継承権一位といえど、ヒルダは奴隷身分の花寄り人の子。
第一王女であるティリアに盾突くことは、余計な被害を生む。
それが一番穏便に済む方法だと、幼いながらに聡明だったヒルダは気付いていたんじゃないかとクロードは口にした。
「ヒルダ様は、決して薄情というわけではありません。亡くなった使用人に対して、表向きそっけなくはありましたが、彼らのために必ず歌を歌っていました」
誰かが亡くなるたび、ヒルダは彼らの亡くなった場所で人目を避けて歌を歌っていたのだとクロードは言う。
おそらくは鎮魂の歌。
聞いたことのない言語で、クロードの耳には魔法の詠唱にも聞こえたらしい。
優しく透き通るような歌声は、まるで子守唄のようだったのだと、クロードは思い返すように目を閉じて胸に手を当てた。
ヒルダの話を聞いていると、本当に規格外だ。
ポテンシャルの高さに、壮絶な環境。
それに、五歳とは到底思えない――振る舞いの数々。
まるで最初から大人のようだと、そんな印象を受けた。
●●●●●●●●●●●●●●●●●●
「ヒルダをティリアが恨んでるってことはなんとなくわかったけど、ここにヒルダがいるってことはティリアが次の女王候補になったんだよね? どうして未だに命を狙われてるの?」
「ティリアはヒルダ様が嫁いで後、一度王位継承第一位となりましたが、すぐに最下位に転落しました」
私の質問に、クロードが答える。
「そもそも、次期女王候補だったヒルダ様が、人間の老人に嫁がされてここにいる事が変だと思いませんか?」
確かにクロードの言う通りで、それは私も気になっていた。
ヒルダはティリアに嵌められて、王族殺しの罪を着せられて。
女王候補の座を追われてしまったらしい。
ヒルダの父は王族の中で身分が低く、母は奴隷身分。
彼らにあまり権力はなかったけれど、現女王の兄がヒルダには後見人として着いていた。
だからヒルダは、あれでも多少やっかいな出来事から守られていたのだ。
けれど、殺されたのは――その女王の兄自身。
後ろ盾をなくしたヒルダは、罪を被せられて。
証拠が無い上、ヒルダが彼を殺す理由がなかったため、死刑は免れた。
しかし、ヒルダはそのせいで国を追われてしまったらしい。
エルフは人を格下に見ている。
人族の老人の妻なんて、屈辱以外の何者でもない。
しかし、ヒルダは何も弁解することもなく、大人しくそれを受け入れた。
「どうしてそのまま罪を被るようなことをするのかと問いただせば、ここでは私の王国を作れないでしょう? と、ヒルダ様は笑っていました」
ヒルダは王位なんてものに、これっぽっちも興味がなかったらしい。
コレ幸いと人族の老人の嫁に行き、さくっと老人を暗殺して、自由な生活を手に入れたのだとクロードは口にした。
……夫を暗殺したって聞こえたんだけど、ここはスルーするべきかな。
まぁそれはともかく、この領土に追いやられたヒルダだったけれど、本人の意思でもあったようだ。
ティリアは目論み通り、王位継承権第一位を手に入れて。
ヒルダは自由を得た。
一見丸く収まったように見えるけれど、ヒルダはやられっぱなしではいなかった。
ヒルダはティリアに呪いの置き土産をしていったのだ。
その呪いのせいで、ティリアは王位継承権一位から、最下位の十三位まで転落してしまったのだと言う。
その呪いが何なのかまでは、ヒルダは面白そうに笑うだけで教えてくれなったのだとクロードが口にする。
ただ噂によると、ヒルダが呪いをかけて以来。
――ティリアの姿を見たものはいないらしい。
つまりはそれでヒルダはティリアの恨みを買って、エルフの国を出て後も刺客を送られ続けているということのようだった。
ヒルダらしいと言ったら、ヒルダらしいような気がする。
「……呪いと誓約は同じものだ」
話を聞き終わって、ずっと黙っていたオウガが重々しく口を開く。
言い方が違うだけで、呪いと誓約は全く同じものだという事だ。
「誓約を解くには、本人であるヒルダに解いてもらうしかない。通常、かけた本人を殺せば誓約は解けるものなんだがな。ヒルダって女の場合はそれを防ぐために、自分が死んだら相手も死ぬ誓約も合わせて結ばせてる……そんなところか」
難しい顔をしてオウガは呟く。
一方的に術者に都合がよすぎる誓約を重ねがけして、しかも複数人と誓約を結ぶなんて、本来できる芸当じゃない。
そんなことありえるのかと、オウガは信じきれていない様子だった。
「ティリアは、わざわざヒルダの体に別の魂を入れて殺そうとした。つまりティリアも、ヒルダが死ねば死ぬ誓約をかけられていると見ていいな。加えて誓約がかけられてから、姿を見たものがいないってことはだ。その誓約は、見た目に関するものである可能性が高い」
皆から貰った情報と自分の知識から、オウガが推測を打ち出す。
なるほどと思わず納得してしまった。
オウガはやっぱり頼りになる。
「ティリアに動機は十分だ。それに、エルフの国の関係者で一番俺を恨んでるのはあいつだしな」
「一体イクシス、ティリアに何をしたの?」
黒幕はティリアだと、確信している様子のイクシスに尋ねる。
「ティリアが嫌がらせをしてくるたびに、ヒルダは俺のせいにして倍返ししてたんだよ。愚かな竜がしたことですから、ごめんなさいね? なんて言ってな」
イクシスが苛立たしげに口にする。
服にワインをかけられたヒルダは、その場でティリアの服だけを風の魔法で全て破いた。
そしてそれをイクシスのせいにしたらしい。
「駄目よイクシス。いくら苛立ったからと言って、周りに見苦しいものを見せては迷惑になるわ」
なんて、さらりと横にいたイクシスに罪を擦り付けて。
他にもヒルダの別荘に爆弾が仕掛けられていたときは、お返しにティリアの別荘をイクシスのせいにして跡形もなく魔法で粉砕したりしたこともあったという。
イクシスは思い出して、イライラしてきたみたいだった。
ティリアがヒルダの誓約が解けて後、イクシスを殺そうとしているのはそのあたりにあるようだ。
ティリアが黒幕だとすれば、イクシスを恨む理由も納得できた。
ヒルダときたら、嫌がらせの仕返しとしてもやることが派手すぎる。
倍返しどころの騒ぎじゃない。
ティリアもよく懲りずに、ヒルダに嫌がらせをしたものだとその根性に賞賛を送りたくなってくるレベルだ。
「あれ、ちょっと待って。五歳のヒルダは大人しい子だったんだよね。何があって、こんな過激な今のヒルダになっちゃったの?」
疑問を口にすれば、あぁそれはですねとクロードが口を開く。
それはヒルダが七歳の時。
ティリアが、クロードに手を出そうとした事がきっかけらしかった。
ヒルダに付き従っているクロードを裏切らせることで、殺して。
絶望を味合わせてやろうとティリアは思ったんだろう。
幼いクロードを縛り上げ、襲おうとしていたティリアをヒルダは散々嬲り倒した。
ムチを使ったり、陰湿な魔法を使ったりして、クロードの前でティリアを散々辱めたのだと言う。
「あぁ――最初から、こうしていればよかったんだわ」
ひぃひぃと泣くティリアを足蹴にして、恍惚とした表情でヒルダはそんな事を言ったらしい。
その時の表情は大変に妖艶で、王者としての風格に溢れていたとクロードは力説した。
覚醒したヒルダは、その日から自信に溢れる立ち振る舞いをするようになった。
何事も憚らず、自由にやりたいように。
誰にも文句が付けられないくらいの完璧さで、周りを圧倒する。
その瞳は暗い炎が灯り、爪を研ぐ美しい肉食の獣のように見えたのだと言う。
クロードの話を要約すれば、――つまりはわずか七歳で、ヒルダはそっちの道に覚醒してしまったらしい。
イクシスが出会った頃の八歳のヒルダは、すでに傍若無人な女の子で。
権力を誇示する道具のように、常にイクシスを側に置いていたのだという。
「とにかく、黒幕はティリアで間違いないと俺は思ってる。それといくつか、思うことがあるんだ」
イクシスが一旦言葉を切って、全員に視線を一度向ける。
「メイコに術をかけて階段から突き落としたのは、屋敷にいる少年の誰かだ。そいつがティリアと関わってる事は間違いない」
そのイクシスの言葉に、あの日のことを思い出す。
ヒルダと私の入れ替わりは仕組まれていた。
てっきり私は元の世界での乙女ゲームの知識から、ヒルダをあの日階段から突き落としたのがアベルだとばかり思っていたけれど。
今までの流れからすると、ヒルダを突き落とした少年は――アベルじゃなかったってことになる。
たしか、あの日。
階段の上には少年が立っていた。
顔は逆光で見えなかったけど、背格好からするにアベルくらいの子。
「ふふっ、可愛いじゃない。うちの服もよく似合っているわ。こんなところへワタクシを呼び出してどうしたの?」
そうヒルダは彼に話しかけていた。
ヒルダは少年達にオリジナルの執事服を着させていた。
一人一人デザインの違う、こだわりの執事服。
うちの服も似合っているということは、その子は今までその執事服に袖を通したことがなかったんだろう。
屋敷の少年の中で、私がヒルダと入れ替わる直前にやってきたのは。
アベルと――そして、バイスとティルの兄弟。
バイスはアベルと同じくらいの背で、背格好がよく似ていた。
金髪と黒髪という大きな違いはあったけれど、あの光の中では髪の色までわからなくて。
少年の影がそこに立っているようにしか、私の目には見えなかった。
まさか、バイスが……?
そんなはずはない。
バイスはとてもいい子で、私があげたハンカチも喜んで受け取ってくれた。
「……オーガストが言ってた、ティリアにかけられた見た目に関する誓約。これらを組み合わせると怪しいヤツが一人いるんだよな」
浮かび上がった可能性を否定していたら、ふいにイクシスがそんな事を言う。
「イクシスもそう思いましたか」
クロードも固い声でイクシスに答える。
二人とも同じ人物を思い描いているらしい。
「バイスが、おそらくティリア自身だ」
「バイスがティリアだと思われます」
イクシスとクロードが、それぞれ確信に満ちた声でそう告げた。




