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家出してきたので今日は死にかけた。

「こんちは!あたしは天使の照る子!私あんまりにも暇なので、あなたを銃撃でもしますかね!」

 ある時代のある月ある日、土曜日独特の雰囲気に誘われて、外出して、さんぽしていた蜜果少年。

 その散歩途中に、ふっと声が聞こえてきた。そっちのほうに顔を向ければ、まるで天使のような羽の生えている、メイド服姿が、空をふわふわ飛んでいる。 よくわからないが女性のようだ。

 蜜果少年がびっくりするのもつかの間に、メイド天使は少年の元へひとっ飛び、抱きつくように近づいて、右手に持った拳銃を、ためらうことなく少年の額に突きつけ、

「へへへへへへ」

  と笑って撃つ。

  メイド天使の目元はにやにや。


 少年は、椅子に座っていた。どうやら病院の待合室にいるようだ。

「短目道家さん、3番の部屋にお入りください」

「はい」

 少年は返事をし、3番の待合室まで歩き、戸を開ける。ギイ。

「こんにちは」

「ああこんにちは。その椅子に座って」

「これですよね」

「うん、その椅子」

 少年は、診察をしてくれるらしい白衣を着た先生の、目の前の椅子に座る。少年はあまり緊張しない。むしろちょっと楽しみな様子だ。

「気を楽にして」

「はい。あの、先生って呼んでいいですか」

「うん、いいですよ。じゃあ、やろうか。あのね、うーんとね、先生はね、鳥の観察が好きなんだ。バードウォッチング。君は何が好き?」

「ん……、散歩が好きです」

「うーんそう。散歩ってどこ歩くの?」

「いや、そんなにそんなすごいものじゃなくて、家の近所とか歩くだけです。何処かお店に行きたいとき、歩いていくのってなんかいいなあって思います。」

「うん」

「そんな感じです」

「そうか。じゃあ、話は変わるけど、いいかな、味覚を言葉でどう表す?甘いとかしょっぱいとか、そういうような直接的な味の表現を使わずにさ」

「ええ、んん……味覚は……味のことですよね?」

「うん、そうだよ」

「えっと……、えっと、ん、キウイフルーツだったら……舌に電気を流されたようなショックみたいなイメージです。あと黄色、黄色いイメージ。黄色い電流を舌に流された感じショックというふうな」

「うん、なるほどなるほど」

「けっこうショックで刺激的で、衝撃的な感じです」

「ううん、そう。ところで、カフェオレ飲む?」

「えっ良いんですか」

「良いよ。森さん持って来て」

「ありがとうございます」

「でさ、少年。これが1番聞きたいことなんだけれども、真面目に答えて見てちょうだいね」

「、はい」

「では言ますね。ええ、うん、君はね、これからの人生を、どのように生きていきたいと思っている?ちょっと考えてみて。いや、いつも思ってることがあるならそれを言ってもらえれば良いんだけれど。どうぞ」

「……はあ、そうですね、楽して生きたいです。」

「…………」

 少年はひたむきな眼差しで先生を見すえ、言い換えればあまりそんなに考えず、そう言った。

「ん、満点」

「え?」

 急にガシャーンという、べらぼうな爆裂音。それが診察室を貫く。

 短目少年達のいる診察室の大きな窓ガラスを体当たりで割り破り、メイド天使が部屋に乱入してきた。

 あまりのことに驚いて動けない、蛇睨み状態の少年。彼に彼女はその勢いのまま襲いかかり、覆いかぶさった。

「ちょ、ちょっと、なんなんですか⁈ ……うっ、が」

「まあまあまあ。よく出来ました!次もよろしくね♡」

 成人男性の腕と同じ太さの注射器を、メイド天使は片手に持ち、悶える少年を抱きしめる。言い換えればしっかり拘束したということ。

 天使は自分の右手に持った注射器の、先っちょを少年の心臓に突っ込んで、

「バイバイ」

  と、彼の左耳のそばで、キスするように囁いた。

 

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