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クソ弱勇者はチートつき!  作者: 甘味好き
一章 異世界召喚
7/30

転移の後……

前回の撮影での一幕。


シルヴィア「──去れ!」

雄次郎「やっぱカッコ良いなぁ~」

シルヴィア「なっ!!そそそ、そんな事はなな無いぞ(テレテレ」

雄次郎「何で照れるんですか?」

作者&男子クラスメイト達「「「「「「「……リア充爆発しろ!!」」」」」」」

「知らない天井だ」


俺は一度言って見たかった定番のセリフを言ってから、回りの状況を確認した。

どうやら何処かの洞窟の様だ。


「洞窟って事は天井じゃないのか?……どうでも良いか」


それにしても体が動かない。

どうやら先程までに受けたダメージが予想よりも大きかった様だ。


「……くそ。磯貝の奴、あんな事を考えてたとは……」


そう。

俺は姫様との訓練の合間に襲撃され、転移石というモノで何処かに飛んだのだ。

同じ召喚された勇者仲間であり、俺の事を目の敵にしていた磯貝によって。


「……そうだ!姫様!」


そう、姫様と俺が転移してなければ困る。

俺は姫様と一緒に転移した筈なんだ。

転移の時に姫様もその場から消えて無いと、姫様は口封じに殺されている可能性の方が高い。

いや、確実にそうなるだろう。

ならば姫様が近くに居ないと俺は姫様を見殺しにした事になる。

俺がほふく前進で暗くてよく見えない通路を手探りで進むと柔らかく、弾力のあるナニカ(・・・)を掴んだ。


「……何をしている?」


怒気の籠った声で俺は悟った。

と同時に思った。


「ここまでテンプレなのかよ!!」

「意味わからんわバカ!」


姫様は俺に胸を捕まれた状態で渾身のストレートを放った。

流石は軍人姫。


━━━


「なるほど、そんな事になっていたとは」


現在、俺は姫様の回復魔法で、全身の怪我を治して貰い、転移するに至った経緯をはなした。

姫様が何故俺の下敷きになっていたのか、恐らく、地面から数メートルの所に転移してしまい、そのまま、落下→姫様、俺、の順で着地→姫様先に起きる→直ぐに俺も起きる→俺、姫様探す→鎧が砕けていた為、中のシャツのみになった姫様に俺がラッキースケベ展開→顔面にストレート→俺悶絶。

の流れで良いのかな?


胸、おっきいなぁ。

凄く柔らかかったし、弾力も……


「今、貴様を殴った方が良いと、本能が叫んでいるのだが?」

「止めて下さい。体力ヤバいんですから」


そもそも、既に回復している姫様は異常だ。

転移の時に起きてしまったのはともかく、それから直ぐに回復したのはおかしい。

回復魔法の詠唱も聞こえなかったし、全身骨折の様な大怪我は時間をかけた大回復魔法でしか治らない筈だ。


「姫様、怪我は大丈夫何ですか?」

「……問題ない。これがあるからな」


話を反らすついでに聞いてみた処、何やら蒼い水晶のペンダントの様なモノを見せられた。


「これは?」

「これは亡き母がくれた形見であり、一定量の魔力を込めると身体を全快させてくれる魔法道具だ。世界に一つしか無いレア物だ」


フフンと姫様が鎧で着せ痩せしていた胸を張った。

……シャツじゃ、隠しきれていないな。

あ、ちょっと!先端尖ってるの見えてるよ!

もしかして、いつもはどうせ鎧で見えないし、汗臭くなるからブラはしてないんだね♪って喧しいわ!


「……凄いですね」

「だろう?」


特に胸。

じゃなくてそのペンダント。

世界に一つしか無いって事は本当にレアだとわかる。


「あ、それなら、転移しなくても何とかなりました?」


もしそうなら姫様を勝手に連れて来てしまい、挙げ句、セクハラした俺は最低という事になるな。


「いや。あの状況でその判断が出来たのは素晴らしい。私が全快しても魔力が枯渇していて魔法が使えず、単純な力比べでやっていただろう。それなら負け確実だな。このペンダントの必要とする魔力量は私の保有量の約9割を使ってしまうのだ」

「あ、そうですか」


良かった。

少なくとも勝手に連れて来た事は許されるらしい。


「今回は君に救われた。ありがとう」

「いえ。俺も死にかけていましたから」


あの時この方法を思い付かなければ俺は確実に死んでいただろう。

それなら転移して良かったとも言える。

ただ……。


「問題はここが何処かだな」

「はい……」


俺達は無作為に放り出されたのだ。

ヘタしたら深海や、魔物の巣、遥か上空に転移していたかもしれないのだ。

こうして地上に転移出来たのは幸運だったと言えるだろう。


余談だが、この世界は三つの大陸に別れており、一番大きい《ヴァルフォル大陸》はオーストラリア大陸を縦にした様な大きさであり、我等人間族が8割、残りが多種族が住む大陸である。

ちなみに、俺達がいた《ウィーン王国》もここにあり、大陸一、二を競う国力を誇る。

他の国についてはまたいずれ。


二番目に大きい大陸、《レムリア大陸》は俺達が倒す指名を背負っている魔王が住む大陸であり、魔族という魔王が統べる種族が7割、残りが多種族の住む大陸で、《ヴァルフォル大陸》よりも魔物が多く、迷宮外にも発生していてとても危険だが、元々人間よりも体が強い魔族にはあまり苦にならないらしく、健康的な食事があるため、それほど、色んな事に困らない大陸である。

なお、国は魔王が統べる《アオ・クウェア王国》と亜人族(よくある猫耳獣人とか、犬耳とかそういう系統の種族らしい)が住む《ウルタール》の二つ。

《ウルタール》、ここは国が出来ておらず、その種族の村々が交流しているだけの集まり全体の地域だ。

ギリシャのポリス社会とはまた違う形式らしい。

《アオ・クウェア王国》は昔は色んな国にや地域と交流をして回りからも評判は良かったが、先代から回りの国へ侵略行動を繰り返していて、今代の魔王が、全世界に宣戦布告したのを気に、魔族対多種族が出来上がったらしい。

魔族は強く、一人一人の寿命が長い為、急ぐ事もなく、ゆっくりと侵略をしているが、三年前、とうとう人間の国一つを滅ぼす事に成功したので、危機感を感じて《勇者召喚》を行ったという訳だ。

はた迷惑な話だな。


そして一番小さい大陸、《カダス大陸》ここに住んでいるのは《エルフ族》、《竜人族》しかおらず、しかも他の大陸の反対側にしか居ないので海を航る手段が出来るまであまり交流が無かったそうだ。

その性であまり情報は与えられなかったのだが、恐らくテンプレ通り、《エルフ族》は耳が長く、長命で、美男美女がそろっているのだろう。

《竜人族》は……竜になれる能力とかがあったりするんだろう。

ここも美男美女に期待。


さて、何故《カダス大陸》が危険かと言うと、まず“大陸全体が大きな迷宮”であり、魔物の数も《ヴァルフォル大陸》の比じゃない。

しかもその魔物のレベルが半端なく、姫様曰く、奥地の方は今の勇者達では三人でやっと一匹倒せるというレベルだそうだ。

更に海の方にも魔物がいて、リアルにクラーケンに襲われる可能性を考え無ければならないそうだ。

そんな訳で《カダス大陸》には全ての種族がノータッチだったわけだが、約10年前、ある学者が“殆どの魔物が嫌がる音波”というモノを見つけたらしく、その音波を出すように改造した魔法道具さえ船に組み込んで置けば、安全に《カダス大陸》へ行ける様になった。

まぁ、その改造した魔法道具というのが材料が高価だし、造るのに手間が掛かるのであまり交流が進んで居ない様だ。


まぁ、そんなこんなで世界についての説明終了♪

良くわからない所は作者に直接聞いてくれ。


閑話休題。


「恐らくだが、ここは迷宮だろう。こんな魔力に満ちている洞窟など存在しない」

「マジですか……」


俺は迷宮に良い思い出が無いのだが……。


「大丈夫。少し休めば私も全快するし、君も一般人騎士二人分位の実力はある。階層10以上か、ランクC以上の迷宮で無い限り、生きて帰れる筈だ」


更に余談だが、迷宮にもランクがあり、F、E、D、C、B、A、Sと言うようにランク付けされている。

Fが一般人がレベル10で10層位まで行けるクラスで、Eがレベル20で行ける。

D、Cと上がって行く内に必要レベルが10毎に上がって行くが、Bランクからは《勇者》クラスがレベル50必要になり、かなり危険である。

Sランクの迷宮は《カダス大陸》と後一つしか無く、Aランクも二桁無いのでそこに間違って行くバカはあまり居ない。

問題はBランクか、Cランクの迷宮に飛ばされている場合だが、10層より上なら俺のレベルとステータスでも闘うのを避ければ逃げ続けられる。

勿論、不測の事態が無ければだが。


ちなみに、俺達《勇者》が行っていた迷宮はEランクであり、完璧な《勇者》達には楽勝の様だった。


「ここは魔物が来ないスペースの様ですね」

「そうとも限らない。たまたま魔物が居ないだけかも知れないし、誰かが倒しすぎて出て来ないだけかも知れない。どちらにせよ、気を抜かないに越した事は無い」


それもそうだな。

と、納得していると、通路の奥の方から物音がした。


「噂をすればだな。ちょうど良い。どの程度なのか見てみよう。弱ければ倒して良し。強ければ逃避。以上だ」

「了解。訓練の成果を出して見ますよ」


何せ伊達に一ヶ月も訓練ばかりしていない。

魔物との戦闘経験こそ少ないが、それなりにやってきたんだ。

どんなに強くとも、逃避位は出来るはず。


「見えて来たぞ……」


姫様が目を凝らしていたので俺も見てみる。

暗くて良く見えないが、大きさは二メートル位の様だ。


魔物との距離が十メートル位になったとき、それは起こった。


「っ!!!」

「あぁぁぁ……」


目の前には“圧倒的な強者”がいた。

見た目はただの赤い“蛇”。

長さが計りしれない程の胴体に、真っ赤な瞳、大きな顎、王者が持つべき覇気。

その“存在”の全てが俺達を恐怖で動けなくさせた。


「カ、カ、《カイザースネーク》だ……。伝説級の魔物」


伝説級の魔物。

なるほど、それならこの圧倒的な存在感にも頷ける。

何故俺はこんな簡単に事実を飲み込めているのか?

答えは簡単。

俺は圧倒的強者の前で死ぬ事を受け止めてしまっていた。

《カイザースネーク》は生きようと考える事すらおこがましいと思える程の存在感を放っていた。


俺達が戦意喪失をしたのがわかったのか、ゆっくりと蛇が近づいて来た。

そして口を開ける。

凶悪そうな牙は50センチは越えているだろう長さを誇っていた。

出来れば一思いに何て思っていると、


パッ。

真っ黒な閃光が走った。


「えっ?」


そして《カイザースネーク》が消し飛んだ。

いや、正確には《カイザースネーク》の頭が消し飛んだ。


頭を無くした胴体は糸が切れた人形の様にゆっくりと沈んだ。


「な……に……が?」


俺より早く現実を飲み込んだ姫様が閃光が飛んできたらしい俺達の後ろを振り返った。


「何だ貴様ら?何者だ?」


先程の《カイザースネーク》より圧倒的にひ弱そうに見える40代位の銀髪で、長身の男が立っていた。

どうやら話に聞く魔族の様で、耳は少しだけ尖っており、出っ張りと言った方が良い様な角が生えていた。


「……あ、た、助けて頂きありがとうございます」


姫様がキョドりながらも礼を言った。


「あ、ありがとうございました」


俺も追従する。

しかし、魔族の男は俺達の態度が気にくわない様で、舌打ちをした。


「俺様が質問をしているのだ。普通はその前に礼を述べるべきであろう?そして質問に答えよ」


いつもはこんな態度取られてもあんまり気にしないのに、何故か今回は姫様をバカにする態度にムカついて、相手が敵である魔族であり、相当な実力者であることを忘れて憤った。


「そんな態度を取る貴方の方こそ名乗ったらどうなのですか?」


言った瞬間しまったと思った。

姫様も驚いていた。

しかし、魔族の男は何が面白かったのか、笑いだした。


「いやはや。面白い。相当なバカであるな貴様」


しかし、と続けた。


「良いだろう。どうせ貴様らレベルなら俺様の《鑑定》で解るのだ。名乗ってやろう。……俺様は《アオ・クウェア王国》、《魔王》第29代目魔王、クトゥウ・グアだ」


本日二話目、お楽しみ頂けたでしょうか?

「前回の撮影での一幕」に作者の気持ちを込めてみたのですが、やはり……あ、聞いてませんね。


本日の残りの更新もお楽しみ頂ければ幸いです。

次は5時です。

誤字脱字、感想なども受け付けております。

是非、ご利用下さい。

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