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クソ弱勇者はチートつき!  作者: 甘味好き
一章 異世界召喚
5/30

クソ弱勇者でファイナルアンサー!

前回の撮影での一幕。


シルヴィア「一セット目、あと6000回!頑張りなさい!」

雄次郎「はい!…4001!4002!4003!」


~二時間後~


シルヴィア「二セット目、あと1000回!もうすぐだ!」

雄次郎「9001!…9002!…9003!」

作者「……長いから省略しようかな」

誰かが調子に乗って迷宮の奥深くにワープしてしまう様なテンプレも無く、全員無事に王宮へと帰り着いた。


「…………」

「き、きっと何とかなるよ!ここはそんなに危険じゃ無いからゆっくり頑張れば良いし!ね!」

「そ、そうだぞ雄次郎!俺達も手伝うから!」

「もし貴方がどんな出来損ないでも私は貴方を選ぶわよ!理想のヒモじゃない!」

「……静、それは傷口に毒を塗り浸けている」

「え゛っ」


友人達が励ましてくれているがそんなの今の荒んだ俺の心へは響かない。

どんなに辛い訓練をしても上がらなかったステータスが上がる最後の可能性が消えたんだ。

これで俺は出来損ない決定。

勇者とは名ばかりのゴミだ。


「…………」


姫様も近くにいるが声をかけられない様だ。

俺は別に気にしてはいないのだが、自分がレベルアップで強くなれると俺に希望を与えた張本人だと理解しているため、罪悪感があるのだろう。

もしくは俺が怒っていると勘違いしているとか。

俺はどちらかと言うと、先程からこちらを指差して爆笑している磯貝達、レベルアップ最強組がうざくて仕方ない。


「いや~……しかし、召喚者はレベル5で《勇者》にランクアップできるなんてねぇ。しかもステータス全部50位上がったし」

「しかもレベル10で二属性持ち何て称号も手にはいるし」

「これなら最初はただの召喚者で良いな!」

「違いない!」


ギャハハハと小物丸出しの笑い方をしている君達、経過説明ありがとう。

つまりそういう事だ。


……《勇者》が大量生産されました。


「あんなの気にしても意味無いよ」


真紀が優しく諭してくれた。

……でも君も原因の一人なんだよ何て口が割けても言わない。

異世界に来て、勇者になったはいいが、実は無能でしたなんて……。

人間、上げて落とされるとダメージデカイんだな。

と、この時俺は上げて落とす奴の卑劣さを初めて知った。


━━━


で、やっと場面は冒頭に戻る訳だ。

王宮に帰って来た俺は王様とかの労いの言葉をクラスメイト達と一緒に受けた。

クラスメイト達も順調にレベルアップしたらしい。

磯貝の取り巻き達も言っていたが、称号に《召喚者》がある人間はレベル5で《勇者》になれる様だ。

実際に、俺のグループも姫様以外は《勇者》になった。

更に、レベル10で属性が一つ増えるか、属性が派生するというチートもついていた。

結局、異世界に来て何にもチートが無かったのは俺だけだったらしい。


そのあと、またパーティーになった。

何でも、歴代勇者の中で最も成長が早かったらしい。

属性二つ目を普通の3倍位の早さで手に入れられる勇者補整ってどんだけスゲーんだろうな。

俺には無かったが。

皆が無事レベルアップした事への祝福ムードが漂っている中、俺は居心地が悪くなって訓練所へ逃げたという訳だ。


「あ~あ……」


だっせぇ。

すっげぇだせぇ。

勇者かと思ったら役立たずかよ。

初日の俺のワクワクを返せよ。

……誰にだよ。


「ここにいましたか」


声で誰かわかった。

振り返らずに返事をする。


「迷宮お疲れ様でした。……姫様」


俺の後ろに来たのは普通のしゃべり方になった姫様だった。

そもそもここは姫様との訓練の時にしか使わない訓練場なのだ。

王宮の人間は知っているだろうが、俺がここに来てすぐに見つけるとしたら姫様だけだ。


「……」

「……」


無言が続く。

取り敢えず、用件を聞こうか。


「何しにここへ?」

「貴方こそ」


質問は質問で返しちゃダメだぞ。

ちゃんと習わなかったのかい?


「聞いているのは僕です」

「……貴方が折角のパーティーを抜け出して来たからです」


答えになってないな。

ま、これ以上やると俺の今までのいい人キャラが崩れるからな。

もう半分位瓦解してるけど。


「俺は黄昏に来ました」


遠回しに帰らないと伝えた。


「……貴方は諦めないと思いました」


?何の事だ?


「貴方は例え仲間より強くなれなくとも努力を続けると思っていました。……貴方からは力を求める意欲が感じられました」


へぇ、姫様そんな所を見てたんだ。


「何故、貴方がそこまで力を求めるのかは私にはわかりません。いつだか言っていた男のロマン?でしたか。あれは嘘だと今の貴方の落ち込み様を見れば分かります」


そう言えば、そんな事も言ったなぁ。

力を求める理由ねぇ…。


「私はそんな()が気に入ったからこそ、目をかけていた」


おっと、姫様が軍人姫モードになった。


「……しかし、君は諦めたのか?」


姫様は何処か悲しそうに俺を見ていた。

……何か勘違いされてるよなぁ。


「姫様……何か勘違いをしている様ですが、俺は諦めませんよ?」

「!?……しかし、君は」

「確かに、落ち込んでいますし、黄昏てますけど、……俺はそんな簡単に諦めませんよ」


全く、俺は言葉通り、黄昏に(・・・)来ただけなのに、諦めたとか思われちゃったみたいだな。

確かに気分は最悪だったし、現実逃避もしてたけど、諦めて何ていなかった。

むしろ、諦めない為にここに来た感じだな。

ま、あんな落ち込んでいればそう見えるか。


「俺は諦めないですよ。必ずや強くなります」

「!!……そうか」


夕陽を浴びて姫様の金色の髪がキラキラと輝いて、微かに微笑んだ顔が見えた。

思わず、息を呑むような美しさだった。


「そうだな。……では、明日からはいつもの様に訓練を再開しても良いな!?」

「もちろんです!」


よしっ!と言って姫様はニコッと笑った。

微笑んだ時と同じ位綺麗に見えて、俺は思わず顔を剃らした。

そして、落ちる夕陽を見ていた。


「……」

「……」


穏やかな時間が過ぎていく。


「……そろそろ帰るか」

「そうしましょうか」


そう言って俺は立ち上がり、真横の姫様に先導され、パーティーをしている広間に向けてあるきだした。


あ、姫様っていつも何処に住んでるんだろう?

今度聞いてみるか。

今はそれより、


「姫様……俺、現時点では皆より強くなれない可能性の方が高いと思います……」

「……」


そこで言葉を区切る。

自分の決意をここで宣言するんだ。


「だけど、俺は強くなりたい。だから、頑張ります!」

「……ああ!」


振り向いてくれた俺より少し背の低い姫様の笑顔が記憶に焼き付けられた。


━━━


そうして姫様に決意した日から一ヶ月が経った。


「9996!……9997!……9998!……9999!……10000!」

「よしっ、今日の朝の訓練は終了!」

「ふぃ~」


一息ついて、俺は後ろ向きに倒れこむ。


ここは40日位前から俺が朝訓練をする場所、名前は『旧第9訓練場』。

何でも、王宮の建て替えで騎士団駐屯所からはたどり着くまでに三十分も掛かる様になってしまったらしい。

仕方ないので、新しく作り直す事にした時に、いらないなら、という事で姫様が貰った場所だ。

綺麗な夕陽も見れる場所だ。


俺はただ今、素振り10000回三セットを終えて、疲れきっているところだ。


「お疲れ様」

「お、ありがとうございます」


仰向けに寝ている俺に姫様が上からタオルをくれた。


「しかし、馴れたモノね。最初の日は素振り200回でもこの位疲れてたのに」

「ステータスは対して上がって無いので、馴れと《根性》でやってますよ」


この様にステータスの話をすると姫様はいつも悲しそうな顔をする。

実際に、俺のステータスは一ヶ月前と対して変わっていない。

こんな感じだ。


※※※

空閑 雄次郎 男 16歳

レベル2

体力:150/150

筋力:150/150

敏捷:150/150

魔力:150/150

耐久:150/150

魔耐:150/150

属性 無

《スキル》言語理解 根性

《称号》 勇者 召喚者


※※※


な、ほとんど上がってないだろ?

え?《根性》?これはな……あ、ステータス板をちょっと操作するとわかるからみせてやるよ。


※※

根性


ステータスに関係なく、ある程度の訓練には耐えられる様になる。

ステータスの上がり具合には補整無し。


※※


なっ、チートでも何でも無いだろ?

単に訓練の時だけ体力がついたってだけさ。

……このスキルが手に入るまで大変だったなぁ……。


あと、最近気がついたんだが、何故肉体訓練しかしてないのに魔力が上がっているのか?と疑問に思い、姫様に聞くと、


「そういう風にできているからとしか……」


この世界の原理の様なモノらしい。

まぁ、作者が他に思いつかなかっ……ゲフンゲフン。

……ご都合主義だと思っておこう。


「う~ん……さて、帰りますか」

「ああ。また後で」


今は朝の10時。

どうやらこの世界も365日、12ヶ月、1週間7日、24時間制の様だ。

月は金色と銀色二個あるがそこは気にしない。

ご都合主義と思ってスルーしてくれ。


閑話休題。


で、俺はいつも迷宮でレベリングしている他の召喚者、もとい《勇者》達とは違い、主に訓練で鍛えている。

何故か?俺のステータス見りゃわかんだろ?

他の《勇者》は皆レベル5で平均500はあるんだぞ。

普通はレベル50でその位だわ。

普通の奴は50何て中々行けないんだがな。

そりゃレベルもバンバン上がるわ。

迷宮は奥に行けば行くほど魔物の強さが上がって倒した時の経験値も増える。

レベル5で普通の10倍のステータスだそ?自分の5倍位のレベルの魔物なら余裕だわ。

勇者補整も相まって、怒濤の勢いでレベルアップだよ。

まぁ、必要経験値が跳ね上がるレベル20を越えた辺りから一気にペースが落ちたが、それでもチートだわ。


でも相変わらず俺はそんなチート無し。

泣きたくなるわ。


レベルアップも訓練も上がり具合が殆ど一緒な俺は諦めて姫様と訓練を頑張っている。

もう《称号》の所に《間違えられた勇者》とか《巻き込まれた者》とか付けた方が良いんじゃないかな?


姫様は勇者補整が無いので普通にレベルアップするしか無いが、それでも他の勇者について行けば確実に他よりも強く成れる筈である。

しかし、姫様は自分の強さよりも俺を取ってくれた。


「私が君を見捨てるとでも?」


言われた時はマジでうるっと来たね。

姫様も真っ赤だったよ。

つい悪乗りして、「一生ついて行きます!」何て言ったら、何かスゲー複雑そうな顔してたよ。

正直傷ついた。

何かこの後、成人にこの事話したら《鈍感バカ》って言われた。

……何故だ!?


現在、俺は自分の部屋で風呂上がりのストレッチをしていた。

あ、風呂も現代と変わらない位の出来だったぜ。

何か魔法道具って奴を使って電気の代わりにしてたし、排気ガスも出ないらしいから現代よりも余程使い勝手が良い。

他のところは魔法道具を使わない限りお決まりの中世レベルなのにな。

ご都合主義に感謝だな。


「さてと」


風呂上がったら召喚された直後に他の奴等と使っていた訓練場に向かう。

レベルアップで強くなった今でも使われているのは魔法の訓練を受けるためだ。


迷宮から帰って来て一夜明けたら、迷宮組と魔法訓練組に別れた。

と言っても、その日の気分でどちらか決められるのだが。

迷宮組は名前の通り、迷宮へ行ってレベリングをする奴等。

魔法訓練組は魔法を勉強する奴等だ。


魔法訓練組は一人一人先生がついて、そいつに合った属性の魔法を教えてくれるらしい。

ただ、最初の方は魔法の基礎と、詠唱について学ぶ。


現在、俺は魔法の基礎について学んでいる。


学んだ事を整理すると、

・魔法とは自分の体の中に存在する魔力(魔法が無い世界から召喚された俺達にもあった)という存在を操って、生み出す、《唯一伸オメテオトル》が人間や、他の種族に与えた奇跡の一つだそうだ。

・魔法とは発動するまでに「イメージ」、「詠唱」、「魔力の操作」が必要となる。「詠唱」は熟練者ならば省略可能。

・それほどの威力で無ければ一定の魔力(数値にすると50)で、基本四属性は全て使えるということ。

・自分の属性の魔法、または派生する前の魔法を行使すると、他の属性を使うよりも威力は上がる。

・レアな属性はあまり研究されておらず、殆ど謎。ほぼ全て先天性。

ただし、俺の「無」はまだ、自分の属性が確定してないだけであり、精神的、肉体的な要因で、属性が決まる。

レアな属性になる可能性は殆ど無いが。

・魔法の威力は自分の魔力量に比例する。

・魔力量が10000以上あり、最大級派生魔法、またはレア系破壊魔法を所持している魔法使いが本気を出すと地形が変わる。

そもそも魔力量10000以上など、人間の歴史上では数人しか居ないが。(勇者なら可能性はあるようだ)


……ここまで見てわかるだろうが、殆どテンプレか、それに少しだけ捻りを加えた程度だ。

作者のテンプレ好きが反映されただけなので、俺に罪はない。


で、今俺はその訓練場へ行こうとしていたのだが……


「おっ、《ダメ勇者》の空閑君じゃないか」


磯貝&モアが訓練場の前にいた。

お楽しみ頂けたでしょうか?

本日の投稿はこれで終わりです。

次の更新は明日の午前11時から、三時間ずつ五話更新します。

良ければ見て下さい。

誤字脱字、感想など受け付けております。

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