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クソ弱勇者はチートつき!  作者: 甘味好き
一章 異世界召喚
3/30

勇者三人目

前回の撮影での一幕。


シルヴィア「──強くなりたければ私に従え!!」

バタタタタターン!!

シルヴィア「………………あれ?」

雄次郎「…………皆うるさ過ぎてぶっ倒れたからカット」

そう言えば、魔法とその属性についても話して置こうと思う。


この世界では魔法という物が存在する。

魔法とは自分の中に存在する魔力という物質(?)を使って起こす一種の奇跡らしい。

そして人には適性属性があり、基本属性は火、水、風、土の四つで、それが派生した属性もあり、他にもレアだが、いくつかあるらしい。

ちなみに、俺の無属性はレアでも何でも無く、極たまにいる魔法属性がまだ決まっていない状態だそうだ。

これからの体験などで決まって行くらしい。

レベル1の時は基本的に一人一つだが、クラスメイトの中にも二つ持っている奴がいたし、……姫様も二つ持っていた。

レベルアップで、二つ目が手に入れる人間もいるらしい。

普通はレベル30位で二個目か、その属性が派生するようだ。

……姫様結構チートだった。

勇者ならば少しのレベルアップで、もう一つ位手に入れられるだろうと王様に言われた。

やっぱ勇者補整って凄いんだな。


自分の属性以外は使えないのか聞いてみた所、魔法は自分の属性を使うのが一番魔力の変換効率が高いらしいのだが、基本的には皆、余程苦手では無い限り、微弱でも基本四属性は使える。


いくつか、訓練所で騎士団の人に見せて貰った。

その騎士は火属性で、前に第三王女がやってみせた様に火の玉を長い詠唱と共に出して見せた。

魔法と詠唱については迷宮の後。

って事になった。(クラスの半分位は残念がっていた。俺含め)


そのあと、近くで見ていた第三王女がしゃしゃり出てきて、無詠唱で火の玉を出して騎士のメンツを潰したのは愛嬌だろう。

明日から迷宮に入ってレベリングをすることに緊張しているクラスメイト達の緊張を解す為に色々やってくれていた。


姫様は他の王女が苦手だそうで、第三王女が来ると直ぐに席を外した。

妾の子だから嫌味でも言われてきたのだろう。

何と無く放って置けなくて、王宮内へ帰ろうとしていた姫様を追いかけた。


「姫様」

「ん……君か……」


昨日、俺が姫様と呼び始めてから姫様は俺の事を貴様では無く君と呼んでくれる様になった。

そう言えば、いつも訓練で疲れてた性で仲の良かったクラスメイトとも一言も喋って居なかった。

ずっと姫様と一緒にいた気がした。


「どうした?カミュ様の魔法を見ておかないのか?」

「姫様を放って置けなくてですね、追っかけて来ちゃいました」


妹にも様をつける姫様に苦笑いしながら、おどけて見せると姫様は軽く睨んで来たが、ふっ、と笑うと


「……りがと」


何かを小声で呟いた。

俺には聞こえなかったが。


「さて!君は私に鍛えて欲しい様だし、朝の訓練場へ行って鍛えるか!」

「ええ!そんな!」


朝の訓練は何故か俺と姫様の秘密の特訓という風に姫様の中で位置付けされている様で、皆と一緒に訓練する所からは離れた場所でやっていた。

お陰で移動が大変だ。


「明日から迷宮に入るのだ。君は成長率が低いのだから人より頑張らねばならない」

「で、でも……ほら!今日頑張り過ぎて明日筋肉痛になってもアレですし」

「私は治癒魔法を使える。知っているだろう?」


姫様が治癒魔法を使えるのと、治癒魔法は筋肉痛まで治せる事の両方を言っているのだろう。

因みに、治癒魔法は基本四属性を使えれば、能力の大小はあれども、全員使える。


「……それに俺はレベルアップで……」

「問答無用!!さあ行くぞ!」


逃げ出そうとした俺の首根っこを掴んで姫様は高笑いしながら朝の訓練場へ歩きだした。


案の定、ボロボロにされたが、直ぐに治されてリトライの繰り返しが夕食の準備が出来たと言われるまで三十回は続いた。

夕食が無かったら五十回は軽く越えただろう。


━━━


「いや~疲れたねぇ♪」

「……成人は今日訓練をしていないと思うのですが」

「王女の訓練はどうだった?」

「ひめさ……第三王女のシゴキは辛すぎますね」


俺は明日に向けてという名目のパーティー会場にいた。

と言ってもそれなりの大きさの会場にクラスメイト達と姫様、騎士団がいて、明日の為に今日は一杯食べて早めに寝る!という事らしいので、それほど堅苦しく無い。


俺は少し遅れて姫様と来た。

男子からは嫉妬の目が、女子からは少し熱い目が向けられた。

会場で久しぶりに喋った成人から、俺がこんな目を向けられる理由を聞くと、俺にはと姫様が特訓という名目でイチャイチャしているという噂が流れているらしかった。


「……何故、そんな噂が流れているのです?」

「いや、だって何時も一緒にいるし、いつもの訓練の前の朝食も一緒に来るから、……そういう関係じゃないの?って」

「……」

「でぇ?そこんとこどうなのよ?」


コイツは人前ではちゃんと対応する癖に二人になると野次馬根性丸出しで俺と真紀の仲や、聖の仲を聞いてくる。

人の色恋好きって女子かよ!とか思ったりする。


「違いますよ。そんな根も葉もない噂を信じないでください」


敬語を忘れない様に注意しながらなるべく丁寧に話したつもりだが、怒気が出ていた様で、若干怯えられた。


で、強引に話を剃らした成人の言葉で冒頭に戻る。


「頑張れよ、勇者サマ♪」

「称号だけですよ。今じゃ貴方よりも弱い」


訓練の一環でクラスメイト達と組手をしたりしたが、ステータスの上がりが遅い俺は三日目で勇者なのに負けたりしていた。

今じゃ勝てるのは一部の男子とかしか居ない。

女子とはやらない。

ゴリラなどはオスよりもメスの方が強い事もあるらしい。

別に女子がゴリラなんて一言も言っていない。


「しっかし、何でだろうなぁ?勇者のお前より一般人クラスの俺らの方が強くなっちまったって。

勇者の称号って強くなりやすいんだろ?どういう事だろな?バグ?」

「ゲームじゃ無いんですから。……レベルアップした時にあまり強くなって無かったら称号の間違いですね」

「そうなら無いと良いな。大丈夫!お前は勇者さ!」


成人は良い奴だった。

ヤバい泣きそう。


「あ、空閑く~ん」

「お、出たハーレム要員」

「黙りましょうか」


ステータスが上がっている事でケガをしないだろうと予測をつけて全力の回し蹴りを成人の顔面に叩き込んだ。

前言撤回、成人は悪い(こういう)奴だったね。


「ぐおおお! 顔面はダメだって!」

「誰がハーレム要員じゃあ!!」

「待って待って!今はダメ!真紀の全力は体力0になるから!」

「知るかぁ!」

「ぐほぉ!」


子犬の様に走り寄ってきた真紀が成人の言葉を聞いて顔面を押さえて転がっている成人のナニに飛び蹴りを叩き込んだ。

幸い、成人は死んではいない様で、ピクピクと痙攣していた。


「体力0にはなりませんでしたね」

「ちっ……」

「男としては0になったと思う……」


うまい事を言いながら聖が来た。


「あ、ハーレムよ──」

「──潰れろ!」


成人が皆まで言う前に聖の踵落としが成人の股間──は成人が転がって何とか避けた。

しかし、


「もういっちょぉ!」

「何故ぇ!?」


サッカーボールの様に成人が蹴り飛ばされた。

アイツ、俺達の中で一番体力があるんじゃないかな。

そのまま転がって、歩いていた人にぶつかった。


「家のがすいませ……げ!」

「ああん!雄次郎!そこにいたのね!最近見かけな──」


俺は話しかけた相手と逆の方向へ全力で走りだした。

嫌な予感がしていたのだが、的中した様だ。


「逃がさないわ!」

「来ないでください!」

「嫌よ!」


俺を追いかけている真紀と同じ位の身長の巨乳の奴は九条院 静。

名前だけ聞いてみると何処かのお嬢様で、おしとやかな印象を受けるだろう。

確かに静は九条院家のお嬢様だし、人前ではおしとやかだ。

しかしだ!アイツは俺にだけ当たりが強い!

前に俺が引っ越したのは言ったと思うが、その時に通っていた中学に静もいたのだ。

色々あって助けてやったら懐かれて、帰って来た学校にまで引っ付いてくる始末。

こな世界に来てからは会って居なかったが、アイツの面倒臭さはヤバい!

どのくらいかって言うとシャツについたカレーうどんの染みよりも面倒臭い!

……ごめん主婦層しかわからんよな!


……てか、俺も大概テンプレ好きだな!

何だよ何処かのお嬢様って!幼馴染みとか何だよ!マシなの真紀しかいねぇぞ!


「待ちなさい!」

「久しぶりに賑やかだねぇ」

「そうだねぇ」


既に復活していた成人と真紀が染々と言った。

見てたなら助けて欲しかったが。

あと成人は何故、あんなに元気なんだ? さっきの聖の蹴りでアバラ数本いったはずだが。


本当に久しぶりに元の世界の面々と和んだ。

この後、俺は静に捕まったが、直ぐに成人が助けてくれた。

流石クラスのリーダー。

惚れてしまいそうだ。

……やはりナニは無事だったようだ。


静が静かに(ダジャレじゃ無い!)なった所で、静も入れて今までの訓練の事や、どの位ステータスが上がったかを聞いた。

やはり訓練は俺と比べると少々イージーだった様だ。

俺の訓練の内容を話すと皆驚いていた。

静は「あのアマ殺す!」とか叫んでいたが、俺と成人と真紀で必死に止めた。


成人と真紀は召喚者補正で平均的に10位ずつ上がっていった様だ。

これは他の召喚者とほとんど同じ位だ。


聖と静は聖は魔力が重点的に上がっていったらしく、初めてした時の六倍程になっていた。

これはヤバいな。

確か、魔力と魔法の威力は比例するらしいから普通に考えて、聖は魔法だけなら召喚者最強になると成人が言っていた。

聖って典型的な魔法使いっぽい雰囲気あるもんな。


静は、……何と三人目の勇者だった。


「召喚された時にパニックになってしまって……」


本人曰く、召喚された時にパニックになってしまい、気絶していたらしい。

ステータス板は本人が呼び出すか、特殊なスキル(まぁ、鑑定とかそういう感じのやつだろ)を使わないと呼び出せないらしく、取りあえず医務室へ運んで置いてから説明を受けたらしい。


その時に勇者とわかったらしいが、毎日の姫様との特訓と、疲れたから雑談もせずに直ぐに眠っていた俺にはその情報が入って来なかった。

で、今日知ったという訳か。


「因みに、ステータスはどのくらい何ですか?」

「見せた方が速いわね」


良い忘れていたが、真紀は身長に見合った普通のB~C位、聖は小さいしから絶壁……少しはあるな、うん。

静は……Eに届くかも知れないだそうだ。(成人社統計)

別に静が腕を組むときに胸が上下したから思い出した訳じゃない。


「……」


何故か真紀と聖から殺気が出てきた。

なるほどこれが殺気か。


「ステータス。ほらどうぞ」


俺は静のステータス板を覗きこんだ。



※※※

九条院 静 女 16歳

レベル1

体力:500/500

筋力:200/200

敏捷:140/140

魔力:1020/1020

耐久:770/770

魔耐:770/770

属性 炎

《スキル》 言語理解

《称号》派生レアスキル持ち 勇者 召喚者


※※※


……異世界チートを、持ってました。

王様ー、ここに本物の勇者がいますよー。


「初めてしずちゃんの見るけど凄いね……」

「いや、これは異常だよ……」

「魔力ですら負けた……」

「訓練するまでは皆と同じ位だったんだけど、一日の訓練で100位上がったのよね。でも、私より凄い訓練を受けてる雄次郎はもっと凄いんでしょ!?」


……静、それは聞いちゃいけない事だよ。

本日三話目です。

あと二話更新します。

誤字脱字の指摘、感想などあったら受け付けております。

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