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クソ弱勇者はチートつき!  作者: 甘味好き
一章 異世界召喚
2/30

姫様の訓練

前回の撮影での一幕。



カミュ(第三王女)「ファイアーボッ……~~~」

クラスメイト 「「「「「「「王女が噛んだっ!」」」」」」」

雄次郎「……カット」

あの後、俺達は自分のステータス板を近くの騎士達に見せてから、用意されていた勇者専用の部屋に入れられた。

中でも俺のステータス板を見せた時と、クラスのヤンキー筆頭の磯貝達也がステータス板を見せた時はどよめきが上がった。


「おお!」

「称号《勇者》とな!」

「勇者が二人とは素晴らしい!これで魔王軍にも対抗できる!」


等々、誉められ過ぎてむず痒くなるような言葉を大量に浴びせられた。


称号に勇者があるとステータスの上がりが凄いらしい。

今はそこそこでも将来はかなり期待出来る者の称号らしい。

何で俺なのかはわからなかったが。

勇者召喚された俺達が対して力を持っていなかったら、という不安を拭えたのは良いが、こうやって皆の前で誉められるのはヘタな嫉妬を買いそうで、いやだった。

磯貝は得意げだったが、俺は自分に分相応ではない力を与えられた事への疑問が頭の中をぐるぐると回っていた。


ちなみに、俺のステータス板と磯貝のステータス板の値は磯貝が均一で95で、俺より少しスペックが劣っていた。

磯貝より俺の方が上だとわかった時、磯貝の舌打ちが聞こえたが、スルーした。

こいつは何故か俺を目の敵にしてくる。

ちなみに、磯貝の属性は火だった。

属性については後述する。


俺達が召喚されたのは現地時間の真夜中で、電気のない世界ではもう就寝する時間なのか、個々の部屋に案内され、また朝食の時に詳しく話をするそうだ。


俺達に考えをまとめる時間をくれたという訳なのだろう。

半分位のクラスメイトは直ぐに寝た様だ。

あまりの展開について行けず、考える事を放棄したのだろう。

残りの生徒は頭の整理の為に起きていた様だ。

で、俺は


「寝たいけど……風呂に入って無いんだよなぁ」


どうでもいい理由で朝方まで起きてた気がする。


━━━


「───ですから、勇者様方には我々が最大限のサポートをします。何も今日の内に答えを出せという訳ではありませんので、良く考えてくださいませ」


朝、王宮のメイド達が俺達を呼んで、昨日の大広間とは違う広間に通され、そこで西洋風の豪華な朝食と、その後の朝風呂で癒された俺達を昨日の大広間で待っていたのは第三王女だった。


そこには昨日と同じ様に王様も騎士達もいた。


そこからの王女の話は大方昨日の話と同じで、最後に「サポートする」という言葉が入った位だった。


「……どうする?」

「つってもなぁ」

「勝手に召喚されて闘えって言われて、はいわかりました。って言うのはちょっと……」

「私は良いと思うけどなぁ」


賛成三割、残りが反対の様で、どうするか揉めていた時、俺はあることに気がついた。


「おい、第三王女」

「はい。何でしょう?」


俺がその疑問を言う前にもう一人の勇者である磯貝が先に話しかけてしまった。


「俺達が、もし断ったとして、直ぐに元の世界に返してくれるのか?」

「……」


空気が固まった。

いや、今まで誰も気づかなかったのもおかしいのだが、何分、急すぎる展開に戸惑っていたのだろう。

そして、王女の沈黙にクラスメイトが凍りついた。


「……直ぐに送り返す方法はありません」

「なっ……」

「しかし、魔王を倒せば帰れます」


王女の一言にクラスメイト達が息を飲んだが、続く言葉でほっとした様だ。

脱力して床に座り込む者もいた。


「……本当か?」

「ええ。魔王が溜め込んでいる魔力が世界に放出されれば空気中に魔力が満ちて、召喚が楽になるので、異世界への召喚も可能でしょう。……使うだけ使って、後はポイ。等と言う不義理な事は決してしないと約束いたしましょう」


俺としてはその理論なら魔力を溜めれば魔王を倒さなくても行けると思うのだが、それなりの理由があるのだろうと考えて、黙っていた。

王女の話を聞いた磯貝はしばし考え、答えが出たように顔をあげて高らかに宣言した。


「ならやってやるぜ!お前ら!元の世界に帰りたい奴は俺に協力しろ!!」


磯貝がそう言うとクラスメイト達は少し迷っていた。

そりゃそうだ。

今までクラスで孤立してきたヤンキーがいきなり仕切りだし、しかも自分達にはそれほど力が無い、挙げ句の果てに勝手に召喚されて魔王を倒さない限り帰れない等と言われれば皆そうなるだろう。

磯貝に賛同したのは磯貝の取り巻き達だけだった。

王女達もどうするか決めかねている様だ。

ほとんどが自分達の性なのだから責任を感じていたのだろう。


クラスメイト達の態度が気に入らないのか、磯貝は俺に矛先を向けて来た。


「おい、空閑!」

「はい何でしょう?」


何となく俺にくると予感していた俺は心の準備を整えてから返事をした。


「お前()勇者何だろ?だったら参加するよな?魔王退治」


磯貝はわざわざ自分も勇者なのを強調して言ってくる辺り、このテンプレ展開に興奮しているといえた。

確かにこの時点で状況に混乱している奴がほとんどだったが、磯貝とその取り巻きを含め、数人はこの怒濤の展開に興奮していた。


「ええ。……俺には分不相応な力ですが、協力しましょう。……皆さんがどうするかは皆さんの意思に任せます!」


取り敢えず、協力することを俺は決めていた。

少なくともこの時の俺はテンプレ展開をちょっとだけ面白いと思っていたんだよ。


しかし、俺の返事は磯貝には不服だったようで、


「何でコイツらにも協力させねぇんだよ!」

「人を死地に送り出すかも知れないのに、それを強制するのはダメでしょう」


俺としては当然の事を言ったまでだが、磯貝の常識では違った様だ。

押し黙ったが、盛大に舌打ちをしていた。


「それなら……」

「空閑君がやるなら……」

「それに頑張れば強くなれるんだろ……」

「良し。皆、やろうぜ」

「「「おー!」」」


俺が協力するから参加すると言い出すクラスメイト達を見て更に機嫌を悪くする磯貝とその取り巻きから王女が場をまとめるまで、俺は睨まれ続けた。


「皆様……ありがとうございます!」


寒極極まった様に王女が泣き出した。

近くにいた騎士が介抱していたが、俺には王女の口元が三日月方に裂けているように目えなくも無かった。


「うむ。では、早速これからの事を話そうかの」


と、そこで今まで黙っていた王様が喋りだした。

王女が泣いてしまったので、その後を引き継いだのだろう。


「貴殿らにはまず、貴殿らがどこまで戦えるかを調べる為に一週間後、ある迷宮へ行って貰う」

「迷宮?」


どうやら異世界はテンプレばっかの様だ。

作者、たぶんテンプレ大好きだろ。


「迷宮とは、ある程度魔力が溜まった場所に自然に生まれる迷宮と、はるか昔に生まれた魔法で作られる迷宮の二種類がある。残念ながら後者の方の迷宮の情報は持っていない。近くにあるのは前者の自然に生まれた迷宮のみなのだ。貴殿らに行って貰う迷宮では魔物という生物が出てくる。魔物は殺すと魔石になり、魔石はある程度の大きさになると高価で売れる為、冒険者という者達が良く迷宮に潜っている。ついでに言うと、魔物だけでは無いが、殺すと経験値にもなる。ボスと呼ばれる魔物もいるが、その事は後々話そう。何、貴殿らには一般人でも倒せるレベルの魔物がいる所に行って貰うだけだ。他に冒険者が居ない様にも図ろう。魔物を倒せばレベルも上がるし良いことづくしだ」


異世界の迷宮はどこまでもテンプレの様だ。

てか、そんな危険そうな所にいきなり俺達みたいなひよっこが行っても大丈夫なのか?

一般人でも倒せるレベルの魔物って言ってるけど、俺と磯貝以外は皆一般人に毛が生えた程度何だよなぁ。


「勿論、貴殿らにはこの一週間鍛練を受けて貰う。レベルは上がらないが、ある程度の実践訓練になるだろう」


王様はいきなり無茶をさせる様な奴では無かった様だ。

ある程度の義理も果たしてくれているし、考えも良く分かる。

俺達を勝手に召喚した事を除けば好感を持てそうな相手だった。


それにしてもレベルかぁ……。

ヤバい、RPG見たいでワクワクしてきちゃった。


「何か、ワクワクするなぁ」

「あ、お前も?俺も俺も」

「よーし、強くなったるでぇ」

「ちょっと、テンションおかしくなってるよ」

「あれ?そう?」


クラスメイトの半数位は臆するかと思っていたが、杞憂だったようだ。

つか、皆タフ過ぎだろ。


「空閑君、頑張ろうね!」

「ええ。そうですね」


取り敢えず、真紀からの声に笑顔で(営業スマイルで)答える。


「…………」


何故か聖にじと目で見られた。

俺が何かしたのかよ?


「では、貴殿らには今日から鍛練をして貰う。教官は……」


そこで、大広間の扉がバーン!と開かれた。

そこには王様と同じ色の金色の髪を後ろで一くくりにしている美女が銀色の鎧を着ているという、どこかシュールな絵が広がっていた。


しかし、その女性を近くで見るとそんなシュールさは微塵も感じられなかった。

凛とした雰囲気と、切れ長で藍色の両目は歴戦の戦士を彷彿させた。

俺達が近づいてくるその女性に見惚れていると、女性にしては低いアルトボイスで女性は言った。


「たった今から貴様ら勇者共の教官になったウィーン王国第二王女、シルヴィア・エド・ウィーンだ!!

今日から一週間後までに貴様らを迷宮で戦える様にしてやる!!

強く成りたければ、私に従え!!」


大広間中に第二王女の声が響き渡った。

耳がキーンとしている。

近くにいた生徒は目眩を起こしていた。

どんだけ声でかいんだよ。


「……シルヴィア、もう少し静かに自己紹介出来んのか?」

「はっ!申し訳ありません!」


何となく俺達の教官の性格がわかった瞬間だった。


━━━


その後、俺達の教官になった第二王女と一緒に訓練場へ行った。


「貴様らは異世界召喚者の特典として、特別な身体能力がある筈だ。今から訓練でそれを見る!」


そこからの事は思い出したくない。

うさぎ跳で、学校一つ位余裕で入る訓練場を10周したあたりから記憶がない。


いつもより体力が上がっているのは感じたが、所詮、俺達は元々一般人で、異世界チートもそれなりだ。

一日目は気がついたらボロボロの体で、ベッドに横になっていた。

直ぐに寝てしまったので、記憶がないが。


──翌朝。


「起きろ!」


という声で俺は叩き起こされた。

見ると第二王女が昨日と同じ騎士風の姿で俺のベッドの横に立っていた。


「何故、俺の部屋に?」

「貴様は唯一、昨日の訓練でリタイアしなかった。流石は勇者だ。それに比べ、もう一人と他の者は……」


どうやら昨日を生き残ったのは俺だけだったらしい。

じゃなくて、


「話がそれてませんか?」

「む?そうだな。実はだな。貴様に特別訓練をしてやろうと思ってな」

「特別訓練?」


この時、俺は嫌な予感しかしなかった。


「何、他の者は騎士団の奴等に任せるさ。貴様は私が直々に訓練をしてやろう」

「いや、良いです。第一、昨日の訓練でつか……れ……て?」

「ふふ、どうだ?これが回復魔法だ。貴様らの世界には無かったのだろう?体が軽かろう?筋肉痛等あるまい?」


どうやら何かの魔法で無理矢理回復させられたらしい。

体に害が無ければ良いのだが……。


「それに訓練で貴様らのステータスは上がっておるのだろう?」

「いやいや、そんな簡単に上がるモノ何ですか?」

「ん?普通はな」


言われたから一応ステータス板を見てみた。


※※※

空閑 雄次郎 男 16歳

レベル1

体力:101

筋力:101

敏捷:101

魔力:101

耐久:101

魔耐:101

属性:無

《スキル》 言語理解

《称号》勇者 召喚者


※※※


ほとんど上がっていなかった。


王女は俺のステータス板を見ると軽く頷いて、一般人で考えればまあまあだな。

と言った。


俺が思っていたよりステータスは上がるのが遅いらしい。

何故か勇者補整が、効いて無かったが、王女曰く、勇者にも色々あるので、レベルアップの時に期待。らしい。


その日から早朝は王女との個人レッスン(という名のシゴキ)、朝食を皆と食べた後は俺しかついて来れないシゴキ。

昼をとった後、やっと戦闘訓練になった。


王女様と騎士団の人達が一人一人に個人レッスンをして行く(剣の受け流し方や、攻撃の仕方、危なくなった時の逃げ方等だ)。

磯貝は元の世界ではよくケンカをしていたらしく、戦闘の技術が凄いらしい。

センスが良いと相手の騎士団長に誉められていた。

俺は勿論、王女との個人レッスンだった。

初日を耐えきった俺が気に入ったのか、朝よりも厳しくなっていた。

夜は皆、普通に死にかけていた。


──そんなこんなで5日が過ぎた。


皆、召喚者クオリティなのか、初日では死にかけていた奴等も5日目では鼻唄を歌いながら訓練に励んでいた。

何故か、俺は一日の訓練で1~2しか上がらないのに俺以外は平均10位上がっていた為、俺と同じか、それ以上の人間が殆どになった。

お陰で俺は勇者という称号だけが誇る所になってしまった。

どうした勇者補整。

磯貝とはステータスが遠く離れてしまい、アイツの俺への舐めた態度は段々エスカレートしていったが、嫌みを言われるだけだったのでスルーし続けた。

レベルアップした時だけ勇者補整が効く《勇者》もいたらしいから別に焦ってはいなかった。

第二王女様はめげずに頑張る俺を更に気に入った様で、訓練が無い時でも俺に引っ付いて来るようになった。

ある時、俺は第二王女について気になった事を王宮にいる奴等に聞いてみた。


何故第二王女がこんな事をしているかと聞くと、王族は代々魔力量が多く、第二王女がその血を色濃く受回復け継いでいるのもあるが、訓練を手伝ってくれた騎士団の連中曰く、王女は妾の子で、妾の子だから第二王女と言っても、継承権は第三王女の方が上だし、そもそも、第一王女と、王子達が健在の為、継承権などあまり関係無いそうだ。

子供は男四人、女が三人らしい。

王様は未だに現役らしい。

侍女を権力で侍らすなど羨ましい事この上なし。


話を戻すが、第三王女はそのまま何もしないでいると、他国との政略結婚で、好きでも無い奴と結婚させられるはめになるのが、嫌だったからだそうだ。

これは王女には言わないでくれと言われた。

理由は何となく察したので、了承した。


次の日の朝の訓練は気合いを入れて頑張った。

まぁ、直ぐにへばり始めたんだけどね。

王女はご機嫌だった。


5日目の朝、俺は王女のステータスを聞いてみた。


「貴様もいい顔をしてきたしなぁ。……よし」


第二王女は何故か朝は人の話を聞かない。

昼と夜は普通に話を聞いてくれるし、好感度が上がってきた最近では軍人見たいなしゃべり方も訓練の時以外は止めて普通の女の子のしゃべり方になる。


何故朝だけ話を聞かないのだろうか?


「ほら、見ろ」


朝でもたまに話を聞いてくれる事もあった。


※※※

シルヴィア・エド・ウィーン 女 15歳

レベル15

体力:550/550

筋力:410/410

敏捷:760/760

魔力:900/900

耐久:490/490

魔耐:600/600

属性:水 火

《スキル》 属性融合

《称号》 軍人姫 二属性持ち


※※※


まさかの年下だった。

いや、それより、


「王女様、ステータス高過ぎ無いですか?」

「ふふん……良かろう、シルヴィア姫と呼んで……も良いぞ」


ちょっと素が出てた。

話は聞いてくれなかった。

この子の将来が心配だ。

後、一国の王女を名前で呼び捨てする勇気は俺には無いので、姫様と呼ぶことを了承してもらった。


「姫様がこんなに強いのに、俺達勇者いるんですか?」

「……何を言うか。魔族の中には私クラスなどゴロゴロいるわ」


……レベルアップで強くならなきゃ俺は終わりって事ね……。

前書きに何か面白い物を入れて見たいと思っていたのでやって見ました。

良かったら感想下さい。


次回予告とかもやるかもです。

誤字脱字などあったら指摘して下さい。

感想も受け付けております。

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