これから
前回の撮影での一幕。
作者「……」
非リア充クラスメイト達「……」
作者&非リア充クラスメイト達「リア充爆発しろ!!」
「う~ん……」
俺は迷宮の横穴の中で目覚めた。
上半身は裸で、下半身は薄い毛布がかかっているだけ。
服は端の方に投げ捨てられていた。
「んみゅ……」
俺の隣では俺と同じ様な格好で可愛い寝言を呟いているシルヴィアが健やかに眠っていた。
「……」
何となく、寝る前にしていた行為を思い出してしまい、気恥ずかしくなってしまった。
感想は……うん、凄かった。
最初はなるべく優しくしようとしていたのだが、我慢しきれなくなって、シルヴィアをメチャクチャにしてしまった。
しかし、意外にもシルヴィアは底無しだった様で、最初は痛がっていたが途中から自分から求め始めて、最後の方は侍女から聞いたというテクニックを駆使し、凄い事になった。
結果、十数ラウンドもしてしまった。
地面の上がびちゃびちゃになってしまい、(地面は俺の土魔法で真っ平らにならして置いた)このままでは寝れないので俺が創造魔法を使ってある程度の反発力を持ったベッドと毛布を作った。
「最初からこうすれば良かったのに~」
何て寝る前にシルヴィアがぶつくさ言っていたが、俺もその通りだと思う。
だけど、我慢出来なかったんだ。
あまり童貞をなめないで欲しい物だ。
……威張れる事では無いな。
創り出す為に魔力を20万程使ったが、那由多あれば雀の涙程しか魔力を使った感じがしなかった。
恐らく、那由多何て魔力がバカ見たいにあるのは俺が《神の代行者》何て称号を持っていることからわかる様に、《唯一神オメテオトル》の代わりになった事が原因だろう。
その事についてはまた説明していこうと思うので、今は置いておこう。
しかし、シルヴィアの寝顔は初めて見たが、……可愛いなぁ~。
「んん~……みゅる」
頬を撫でると自分から俺の掌に頬を押し付けてすりすりしてくる。
何この可愛い生き物。
この可愛いさで世界を救える気がする。
今までずっと気を張っていたのだろうし、昨日の行為で更に疲れただろうから、まだ暫く寝かせておこう。
「さて」
そろそろ行動を起こさねばなるまい。
調べる事や、するべき事がいくつかある。
まず、ここは何処の迷宮なのか?という事。
これに至っては実は俺は《ラジエルの書》にあった記憶で大体見当がついているのだが、新しく出来た迷宮かもしれないし、もし予想通りの場所ならある程度の準備をして地上へでなければならない。
脱出する前に何とか調べる事にしよう。
次に、シルヴィアの実力。
シルヴィアはここでは圧倒的に実力不足だし、俺がいつも守っているつもりだが、万が一もある。
これについてもある程度の目処がたっているし、シルヴィアさえ良いのなら直ぐにでも出来るっぽいので、これは心配はいらないだろう。
最後に、俺の魔法、スキル等の威力や能力の内容の実験。
《神格化》さえあれば《魔王》にすら勝てる実力を手に入れた俺だが、いつもいつも《神格化》していたら精神的に死ぬ。
俺は《不老不死》という名前でわかるスキルを持っているし、テオの“あの部屋”へ行けば回復するが、時間がかかるのであまり使いたくはない。
その為、他に《天使化》や《悪魔化》が戦力として使えるのか調べる必要があるし、《神格化》の精神的付加を何とかするスキルや魔法を探さねばならない。
それっぽいのが確かあったはず……。
この三つが結構重要なのだが、それよりももっと大事な問題がある。
それは……。
「地上に帰ったら何をするか。だな」
《魔王》は俺が殺してしまったし、《魔王》が死んだ事で魔力がうんちゃらかんちゃらで、召喚されたクラスメイトの奴等が元の世界へ帰れる筈だ。
あの第三王女の……え~と……ま、いいや。
そいつらが嘘をついていなければの話だが。
正直怪しいと思っているが、それは考えない事にしよう。
で、その仮定なら恐らく、今すぐ王宮へ帰れば元の世界へ帰される事になるだろう。
《魔王》を倒した英雄として歓待を受けるかもしれない。
唯一の懸念材料は俺達をここへ飛ばした磯貝だが、まぁ、俺の力があれば磯貝何てすぐに倒せるだろう。
大丈夫だ。
しかし、俺が目処をつけた迷宮の場所は直ぐにウィーン王国へ帰れる様な場所に無いし、何より俺はシルヴィアという、人生初の恋人を置いて元の世界へ帰る何て考えられなくなっていた。
しかし、シルヴィアが王国へ帰りたいと願えば俺は協力するし、何よりもまずそれを実行するつもりだ。
その場合、俺はシルヴィアと別れる事になるだろう。
生きている限りまた会えるだろうし、磯貝さえどうにかすれば王女のしシルヴィアなら行き倒れるという事も無いだろう。
それなら俺はウィーン王国へ愛着は無いし、逆に俺が最弱として虐められはしなかったものの、同情の目線を当てられ続けた屈辱的、とまではいかないが、思い出したくは無い思い出の場所だ。
召喚だって、一種の拉致だし、《魔王》を殺す様に仕向けたのだって俺達はほぼタダ働きだ。
そんな国は少なくとも俺は嫌だ。
それに、何となくだが、あの国は嫌な感じがする。
俺は自分の生き方を変えてくれたこの世界に愛着が湧いてしまったし、俺はテオに信頼されてこの世界を“任されている”から、そんなに早々とこの世界を離れる訳にはいかない。
一応、そういう事になっている。
ま、やろうとすれば勝手に帰れるのだが。
それは恩を仇で返す様な物になるだろう。
という訳なので、今後の予定はシルヴィア次第。
シルヴィアが帰国を望むなら、俺が王宮まで送ってから別れる。
それ以外を望むならその条件によるって感じかな。
取り敢えず、シルヴィアが起きるまで待つ事にして、今は……
「食事を取りに行くか」
かれこれ俺は五日以上前に王宮で取った昼食を最後に飯を食っていないのだ。
昨日はシルヴィアを食べた……じゃなくて。
ともかく、俺は《不老不死》のスキルがあるおかげで、“まだ”空腹感や、飢餓感に襲われていないっぽいし、《神格化》状態の時に体に栄養を“与えた”が、そろそろ何かを食べないと俺も腹が減ってくる。
不老不死だろうと腹は減るとか良く聞く話だし、死なない奴が封印されて何も飲まず食わずで気が狂った様な話も良く聞く。
正直それは勘弁してほしいな。
俺は自分の作った結界を抜けて外にいる魔物を探す。
この結界は《魔王》が使っていた物と殆どつくりが同じで、障壁で囲まれた中は魔物が活動出来ない様に魔力が障壁の外に排出される。
それにより、魔物が新しく産まれないし、今いる魔物も生命活動にもっとも必要な魔力が無くなった事で人間で言う酸欠の様な状態になり、魔力になって散らばってしまう。
その魔力も結界の効果ですぐに外に出され、魔物が結界の中で活動出来なくなる様になる。
この結界は最初に術者が込めた魔力に比例して長い時間もつのだが、《魔王》で精々一ヶ月だ。
普通の騎士なら一時的な非難程度に半日出来れば上等だろう。
そもそも結界とは、これも《ラジエルの書》で手に入れた記憶だが、魔力で生成した何の力も加えられていない障壁を作り、それに更に魔力を加え、能力を付加していく。
付加していく能力は様々だが、強い能力ほど必要な魔力が増えていくので、そこら辺にいるの《結界師》なら通過で探知するタイプの結界を一週間張れれば御の字だろう。
結界の形も好きにカスタム出来て、俺と《魔王》が使ったのは自分を中心に球形の障壁を作り、それを迷宮の洞窟の造りによって形を変えていって、目的の広さになったら自分の場所に魔物が通る道が無いように全ての通路や道を塞ぐ、“マジックボール”と呼ばれるやり方だ。(呼び方はテオが生きていた時代のもの)
他にも色々方法があるが、それはまた今度。
という訳で魔物の邪魔が無くなった空間でシルヴィアとたのし……じゃなくて、ゆっくりと休んだ訳だが、魔物を狩っていない為、食糧が手に入って無い。
その為、俺は今結界の障壁の真っ正面にいる。
魔物では無い俺は結界の効果で魔力枯渇で死ぬ訳では無いし、魔力が枯渇するのは魔物の周りだけという効果があるので魔物がいないこの空間ではこの結界は無害に等しい。
しかし、代わりに魔物以外の生物が通り抜けようとすると壊れてしまうという性質をもつ。
《魔王》は結界の範囲から出ていった後に結界を張っていたのだろうし、入って来るときは一度結界を壊してから、また結界を作ったのだろう。
俺もやろうと思えば出来るが、しかし“実験”の為に今回はそれを使わずに通過する。
「《転移》!!」
《魔王》との戦闘中に作った魔法、転移魔法。
これはコストパフォーマンスが悪すぎて、俺以外は連発したら魔力枯渇で死にかける様な状態になってしまうので、これはハズレ魔法となる。
しかし、これからも使って行かねばならない様な性能をしているので使用になれていかねばならないだろう。
目の前の障壁の先の空間へ合わせて転移する。
勿論、成功した。
どうやらイメージさえちゃんとしていれば成功率は100%の様だ。
今回は距離が十メートル位しか無かったし、目の前にイメージする場所があったので消費魔力は1000で済んだ。
やはり上手く使えば意外とアタリなのかもしれない。
まだまだ実験は必要だが。
それは次の機会にする事にして、
「取り敢えず、狩るか」
本来の目的の魔物狩り&食糧調達をする事にしよう。
───
「おっ、起きてたか」
横穴に帰って来るとシルヴィアが起きていた。
ちなみに魔物の焼肉は激ウマだった。
実際に口の中で肉が溶けたりもしたが……って今は関係無いか。
「あっ、えと、そのっ、あうぅぅぅぅ」
何故か俺の顔を見た瞬間に顔が紅潮してテンパってしまった。
恐らく、昨日の情事を思いだしているのだろう。
そんな態度をされるとこっちまで恥ずかしくなってしまうので勘弁して貰いたいのだが……。
「あ、貴方、ごご飯にする?それともお風呂にすりゅっ!!」
「落ち着け!舌を噛むなぁ!」
パニックになりすぎて訳のわからないボケをかまして舌を噛んでいた。
可愛いが、結構ガチで噛んでいたので早く止血して欲しい。
てか、俺がする。
俺が近づくと更にパニクるシルヴィアの肩を掴み、無理矢理こちらを向かせる。
出血しているのに顔は赤い。
「良いから俺を見ろ」
「うひぇ!……ひゃい」
目を閉じて唇を差し出すシルヴィア。
何故かキスをねだっている様に見えるが、気のせいだろう。
「《ヒール・パーフェクション》」
「あ……治った」
名前の通り、対象を完璧に治癒させる最上級治癒魔法、《ヒール・パーフェクション》。
魔力や精神的なダメージは回復出来ないが、体に受けたダメージや、受けた毒などは完全に消し去る事ができるゲームであったら終盤で回復職が最後から二番目位に覚える大技だ。
普通なら詠唱に時間がかかり過ぎて実践では使い物にならない魔法だが、今の俺のスペックなら殆ど何でもありだ。
全魔法詠唱破棄何て造作も無い。
「え?え?え?」
「あはははは……」
しかし、それなりに治癒魔法の知識のあるシルヴィアからしてみれば俺がやったのは半端無い事何だろう。
やり過ぎた感が拭えない。
実際それなりの威力の治癒魔法なら舌を切った程度なら容易く治せただろう。
ちょっと調子に乗りすぎていたのかもしれない。
反省反省。
「……雄次郎はそんなに凄くなっていたの?」
「いやぁ、それほどでもあります」
まぁ、シルヴィアなら理解してくれるだろうと思うから大丈夫だろう。
いざとなったらテオに教えて貰った事にしようか。
あ、でもシルヴィアはテオに会った事は信じて無いんだっけ?
……ま、聞かれたらその時だ。
「……やっぱり《魔王》を倒したのは嘘じゃないのかぁ~」
「まだ疑ってたのかよ」
「ごめんね。でも、流石に信じられないでしょ?」
シルヴィアが、まだ俺を疑っていた事をウインクして誤魔化して来た。
シルヴィアは昨夜から既に話し方をずっと素の状態にしていて、俺以外が近くに存在するときは元の様な感じに戻すらしいが、俺と二人きりの時はずっとこんな感じで素のまま甘えてくるらしい。
可愛い過ぎてヤバい。
俺は危うくまたシルヴィアを襲いそうになったが、堪える。
今は聞くべき事がある。
俺は桃色になりかけていた空気を変える為にちょっと真面目になって声をかける。
「シルヴィア、君は今後どうする?」
俺の真面目な態度を見て、シルヴィアも姿勢を正して俺を見据える。
「私は雄次郎、貴方に全てを捧げるわ」
「……つまり?」
これと似たセリフは昨日も聞いていたので何となく意味はわかるが、一応聞いてみる。
「つまり、私は既に貴方の物で貴方がこれから王国へ帰ろうが、帰るまいが、私は貴方について行く。……私の初めてを奪った責任は勿論果たして貰うわよ」
最後の部分だけシルヴィアはおどけて言った。
恐らく、俺が本気でシルヴィアを拒絶した時に身を引いてくれる為だろう。
だけど、
「だけど、何でシルヴィアがそこまでする?したい事があるなら言っても良いし、帰りたいなら素直に──」
「惚れた男に最後までついて行きたいと思うのはダメ?」
俺の言葉はシルヴィアの決意のこもった言葉によって遮られた。
シルヴィアの目を見て、本気で俺についてくるとわかった時、嬉しいと思ってしまった。
そこでシルヴィアがフッと笑った。
「まぁ、やりたい事という程じゃないけど、取り敢えず、こんな場所で一生過ごすのは嫌かな」
シルヴィアが俺に抱きつきながら言った。
肩が少しだけ震えていた。
拒絶されたらどうしよう、とか思っていたのだろう。
それで俺はやっと決意した。
シルヴィアと一緒に生きていこうと。
そう決意した。
シルヴィアの押し返し、少しだけ不安げな顔にキスをする。
シルヴィアは受け入れてくれた。
数秒で唇を話して見つめ合う。
「これが答えだ」
キザだと思うけど勇気を出して言ってみた。
シルヴィアの反応は劇的で、硬直して、まず顔が赤くなり、次に耳が赤くなり、目元から涙が溢れそうになって、俺に抱きつきながらキスをした。
今度もすぐに顔を離した。
シルヴィアは物足りなそうだったが、まずするべき事がある。
俺はシルヴィアをあやしてから優しく諭す。
「まずはここから脱出しないとな」
「……うん!」
シルヴィアは飛びっきりの笑顔で返してくれた。
お楽しみいただけましたか?
これで今日の更新は終わりです。
明日は一話だけ更新する予定です。
ただ、次回は雄次郎ではなく、幼馴染みキャラの聖視点の話です。
雄次郎視点の時は雄次郎と仲良くしていた面々の事をあまり書けなかったので、迷宮でレベリングをしている彼らが書いてあります。
明日の更新もお楽しみにしていてください。
誤字脱字、感想など受け付けております。




