9.
待たせたな!
(待っていないのは理解している)
誤字が多いのはデフォなので諦めてください。
よくやく夏休みに入り、師匠のいる所へ帰宅。
「ただいま」
「おう、これ仕事だ」
「帰宅一番に仕事は酷い!」
「まぁ、お前が当主なんだから仕方ねぇだろ」
と言われ渋々仕事へ。
要人暗殺とか、魔族領密偵とかをしているうちに夏休みは終わろうとしていた。
…何と言うか一瞬で夏休みが終わったとしか思えない。
当主だから仕方ないのだけれど。
一ヶ月ちょっと夏休みがあったのだが、残りは1週間ほど。
現在休んだのはアレの日で3日ほど休んだだけである。
ようやく終わり、自分のもっとも落ち着くスペースの、ベットの上で疲れを癒していると、師匠がとんでもない仕事を投げつけてきやがった。
「これが最後だから、夏の思い出としてでも行って来い」
と渡されたのは三大貴族の護衛と言う名目のパーティー参加の招待状であった。
「行く気がないのだが師匠」
「あ?この国の主要人間は強制参加だボケ」
「それって色んな意味でツッコミ満載なのだが」
と言うことはこのゴッツイ師匠も参加していたと言うことなのだろうか。
…師匠の背広姿……笑しか出てこない。
いや、割とカッコいいかもしれない。
「何を想像したかは分からんがさっさとお前の服の仕上がり見に行くぞ」
「!?」
いやいや、急に服と言われてもドレスですか!?
絶対嫌なんですが。
「ほれ“転移”」
師匠に手を掴まれると転移を使われあっと言う間に何時ぞや制服を取りに行った店に連れられた。
おもむろに店の扉を開けられると、
「あら、ハイルノークさん。ご注文の品はできてますy―――何時ぞやの可愛い子!」
やたらテンションの高い雰囲気おっとりとした女性に捕まる。
解せぬ。
「こいつ若干成長したっぽいから、あん時の数値と違うと思うんだが」
…何故ばれてるし!
「はいはーい。さっ、シファちゃんこっちでお着換えタイム…の前に体を綺麗に洗おっか」
語尾に音符が付きそうなほどハイテンションな女性に連れ去られ、いつ脱がしたと聞きたくなりつつも怖くて聞けず、体を揉まれたりしながらも、最終的にさっぱりとした気分になるからイラつく。
その後流れるように布地の少ない下着やガター(?)とかを着て、ドレスを着せられる。その間に髪を弄られるがブラシをかけられるのがまた気持ちがいい。
…アリアに毎日やられていたがそれ以上のテクニックの持ち主だったとは。
髪型は何と言うか綺麗に纏められ、眼帯のある方の目は髪で隠される感じとなった。
「ねぇ、バストサイズが上がってるのにウエストが細くなってるってどうすればこうなるのかお姉さんに言ってごらん?」
そう言われながらコルセットを絞められるのだが、ほとんど苦痛がない。
「何をと言われても、普通の生活を…」
「へー」
何故かとても怖い。
「ちなみに体重は?」
「47ですが…」
「女の敵め!」
俺、男っす。
精神まだ男っす。
何だかんだで、店員との会話の末、割とすぐに出来き、それを着たまま脱がされない。
…元々、制服の時のデータで作ったからほとんど手直しはいらない様なものだったのだが、女的にはうらやましい成長を俺はしてしまったらしい。
………泣いても良いですよね?
「師匠、なんで俺はこれを脱がされないのでしょう」
「パーティーは今日だぞ?後脱がされるのは夜のベッt―――」
「一遍死ね!」
何と言うか話が本当に唐突すぎる。
○△□
師匠にドレスのまま空中23連撃を放つと店員さんが
「髪が乱れるのでやめてください!」
突っ込みどころを疑問に思いながらも、涙目で懇願されたのでそこでやめておいた。
その後師匠に愚痴を言うこと20分ほど。
店の前に一台の馬車が止まった。
「シファ・ハイルノーツ様ですね」
「あ、はい」
「お迎えに上がりました。どうぞこちらへ」
師匠とは違った、良い年の取り方をした格好の良い初老が出てきて華麗にエスコートしてきた。
……かっこいい。
ヤバい、この人紳士すぎる。
いつかこうなりたい男ランキングの上位にランクインしたね。
師匠のニヤついた目線を横目にため息を吐きながらも、乗り込む。
……服の内側にナイフを忍ばせることができる服のおかげでどうにか任務は熟せそうだ。
そんなことを考えている間に王城へ到着。
いや、会場が王城かよ!
今度は別の若い感じの男にエスコートされながら城の中へと進んだ。
談笑することもなく、大人しく会場の端でチビチビとウエイターから貰った、ワインを飲みながら周囲に危険な人物が居ないかを見張る。
今こそ慣れているものの、両目と片目だと視界の広さが異なり、見えないところが出てくる。
談笑ホント、何それ美味しいの?と感じで壁に寄りかかりながら不自然な音を探すが見当たりはしなかった。
普段なれないものを持っている人は独特の足取りに代わる。
それに伴い、危険人物を探したりするのは初歩中の初歩である。
…逆に手慣れている武器を潜ませている暗殺者の割合の方が高い。
不慣れな暗殺者に集中しているうちに、本命が仕事を済ませると言うのはよくある手段だ。
「あれ、シファちゃん?」
聞きなれた声で呼ばれたのでそちらを向くとアリアがいた。
この声の中一応は聞こえたが実際に声をかけられるとは思わなかった。
「これはアリア・バース・クエイツ様。お久しぶりです」
営業スマイルでことを済ませようとしたのだが、
「え、あ、シファちゃん!?何か悪いものでも食べたの!?」
『この国のトップが多くいる中では普通にしゃべるのでは無礼だろう』
アリアのみに聞こえるように調整し注意をする。
「う、うん。そうだね」
「分かって頂けて何よりです」
「あ。それはそうとシファちゃ―――シファさんは何故このパーティーに?」
どうやらこちらも貴族モード的なものに代わったらしい。
「我家、ハイルノーツは王のお膝元の下で任務をこなす特殊部隊の様なものですから、ここに招待して頂いたのです」
「……つまり今日は、私たちの護衛と言うことですか?」
「と言う名目の元、少し楽しんで来いと言われどうすればいいのか分からずここにいた次第です」
一応、明かしたのはその内三大貴族ともそれなりに仕事関係で会う確率が高いからである。
「そうですか……ってか、シファちゃんの敬語が似合いすぎる!」
個人的にお姉さまと呼びたくなる感じ!だそうだ。
個人的には違和感しか感じないんだよなこの口調。
「では私は以後も任務がありますので失礼させていた出します」
…正確にはドレスコードが発生するようなパーティーなので、それに見合った服装をしているのが気恥ずかしいから全力で逃げているのだが。
だって、袖なしの背中が結構開いているようなドレスだぞ?
女子制服を嫌がっていた俺がこんなものを着ているとなると生物学的にはおかしいところはないのだろうが、個人的羞恥が酷いのだ。
あれだな、羞恥で死ねるな。
これがもし弟に遭遇なんかしたら一大事である。引き続き任務の警備を気配を薄くすると今度は人にぶつかりそうになった。
羞恥に気を取られ周囲の警戒をおろそかにし、人にぶつかりそうになる辺りで、ハイルノーツ的羞恥に見舞われる。
完全に溶け込むどころか飛んだ粗相を仕掛けた。
失礼をしたということで少し頭を下げ後にしようとするのだが、それはならず腕をつかまれる。
その時になり、ようやくぶつかりそうになった男の顔を見ることになり―――
「げっ」
「…それはいくら何でも不敬だろう」
ある意味弟よりも遭遇したら面倒な人物ジーク・フロスト・レンガルド
に遭遇するのであった。
あまりにも凍結中のこちらの人気が酷いことになっているのでこっそりと報告と最新話をすり替えて見ました。
次回話?
投稿は未定です。




