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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

始まりのプロローグ

作者: るーと3

これはどこかの世界の、どこかの時代の



残酷非道な美しい化け物とある男の出会いのお話し。





++++++++++++++

++++++++++++++

++++++++++++++

++++++++++++++

私はヴァンシーである。名前はまだ無い。


てか人間ですら無い。




いや、姿形は人間よりだけど目は爬虫類みたいな瞳孔だし。


自由自在な爪の変化とか

超人的な身体能力とか

これまた超人的な魔力とか



でも決定的に違うのは超雑食。って所。



ヴァンシーって言うのは人間達が勝手に付けた種族名みたいなモノで古代語で、「悪魔」って意味みたい。


これは食べた人間の知識から得た。



ヴァンシーは食べたり殺したりした者の知識や魔力を吸収出来るらしく、それはこの世界の他種族は絶対出来ない。



だからヴァンシーは無限に強くなり、魔王ですら手を出さない種族なんだ。


ちなみにこの世界は魔族も居るし人間や精霊族も居るけど私達はそれら何でも食べる。



基本足が着いていて食べないのは机と椅子位だ(人間は上手い事言う。)



んで話を私に戻すと、所謂、輪廻?転生?みたいな感じだ。


全てではないけど前世の記憶がある。



黒髪黒目のジョシダイセーだったらしい。自分の名前は思い出せないけど。


だからと言って人間が食べれない!なぁんて事はない。


美味いよ、人間。

一応血ぃ抜いて焼くよ。


そう言う問題じゃないか。


基本ヴァンシーは道徳心が無い。


つまり残酷非道。



この間は雄のヴァンシーが1つの村を襲って、男共は腸で崖からバンジー。

若い女共は取り敢えず犯し殺して、子供は食べてた。



腸バンジーは別にやりたくないけど私も残酷非道って事。



最近ヴァンシー狩りを魔族と人間が手を組んで行なってるらしく私の所にも来た。


まぁ、ぐちゃぐちゃにして見えるところに吊るしておいた。


私はご飯の必要な時しか他種族を殺さない。


売られた喧嘩は買うけど(他のヴァンシーは無差別だ。





私達の住んでる所は魔界と人間界と精霊界の合流地点である森。


資源豊富で此処でしか採れない物とかあるからヴァンシーが怖くても皆やって来る。




ヴァンシーは基本単独行動だけど最近意外とツルんだりしてるみたいだ。


ヴァンシー狩りで死んだ奴もいるらしいし気を付けてんだね。


私はツルまないのか?

いやぁ…ちょっと問題があって。


私は他のヴァンシーとは少し違う。



本来私達の特徴は紅目に紅髪。


でも私は黒目に紅い爬虫類みたいな瞳孔と黒髪だ。



それだけならまだしも…

食べちゃうんだよねぇ。


何って、ヴァンシーを。


普通同族では喧嘩とか縄張りとかで殺し合いするけど、食べはしない。


ってか食べれない。



個々のヴァンシーの知識や魔力が大きすぎて同族を食べると頭破裂するんだって。



何ソレ怖ッ!!!だよね。


でも私は食べれる。

同族だし頭破裂らしいけど、



全然平気で、一番好物だったりする。


まぁ同族だから遠慮してるよ!?


ただ生まれたて(基本ヴァンシーは生まれた時から成人の姿だ)はお腹が減りすぎて結構食べちゃったけど。



だから私は生まれたてで普通のヴァンシー以上の力を持ってしまった。



もぅね、凄いよ。


残酷非道なあのヴァンシーが私に会うと青ざめて隠れちゃうんだから。


ちょっと悲しい。


仕方無いじゃないか。弱肉強食ですよ?



そんなこんなで私は服用の動物の皮を剥ぎながら1人だけで回想したいるわけだ。


(ヴァンシーは皆服を着てない!まぁ下半身が紅い鱗で隠れてるけど私は太股に気持ち程度黒い鱗があるだけ。しかも上半身は普通に人間だから隠したい!!これは前世の記憶からの気持ちだと思う)



だから頑張って鹿の皮を川の水で洗っていたんだ。


そしたら、上流から何かが流れてきた。





……人間の生首。



うわ、うわわ、どんどん死体が流れてくる。


人間ばっか!


棚からぼた餅だー!!

今日の夜ご飯にしよう。


無駄な殺生は嫌だから最近果物ばかりだったんだ。

ラッキー。


ある程度拾う。

うん、豊作。楽しみだ。



と思ってホクホクしていたら上空に沢山の紅い槍が出現した。

あれは…ヴァンシーの魔法?


大の大人よりも大きいであろうその槍は、少しでも体に掠ると消滅しちゃう。



それが森の四方八方に放たれた。


多分逃げ出した獲物を仕留める為。


うん。でもね。

滅茶苦茶こっちに飛んでくるよ!


うわわわわ





モウモウと土煙が舞う。私の周りは結構森が無くなっていた。

全部避けれたけどさ。


でも!!さっきまであった私のご飯(死体)まで消滅してる!!!


苦労して集めたのに。

凄く楽しみだったのに。



「………コロス。」

我慢してたけど、今日の夜ご飯はヴァンシーで決定。



気配を探って、そこを目指す。

空を走る。勿論魔力を使って。



ちくしょ。見てろよー。


何だかヴァンシーになって短気になった。

本能を理性で抑えたりしてるけど本質ヴァンシーだしやっぱ無理はあるよね。




お、見えてきた。

見事に周りの木が無くなってる。


しかも死体だらけのまさに死地。



少し上空で様子を窺う。



えっと?

雄のヴァンシーが二匹。

生きてる人間が30人程。


あ、一匹ヴァンシー殺してんじゃん。凄い凄い。


でもこのままじゃ人間は皆殺しだろうな。



人間の方を見ると、細マッチョのイケメンさんを囲むように他の奴等が陣営を組んでる。


何かやけにキラキラした男だ。


「殿下!ここは我々が食い止めます!!」

んん、キラキラはデンカと言うらしい。



「馬鹿を言え!お前らを置いて行けるわけが無い!!!」

おー、ウツクシイ友情?ね。

でも皆ボロボロ。

デンカだって剣は構えてるけど右腕が垂れ下がったままだ。



観察している内にまたヴァンシーの魔法が。


10Mの横幅がありそうな炎。ってかマグマ?


それが人間達に放たれる。


あちゃー。もしや全滅?

ついでに助けてあげようと思ってたのに。



凄い煙が風で晴れていく。


そこには


無傷の人間達。

他の人間達を背に1人で防壁を張った男。


もう先には死しかないであろう中、そのギラギラした獰猛な赤銅の瞳。


同じ色の髪が土煙に舞っている。



鍛え抜かれた身体。

太い首や腕

広い肩幅


それらが黒い鉄の鎧に包まれている。



ゾクリ、


その目を見た瞬間私の体に何かが駆け抜けた。



欲しい。



ヴァンシーになってずっと埋まらなかった何かが彼処にある。


そう直感した。

攻撃を防がれたからだろう。ヴァンシー共は剥きになって新しい攻撃を仕掛けようとしている。


さっきの炎よりずっと大きなソレ。


前の槍の攻撃の後に30人程も残っていたのは彼が防壁を張ったのだろう。だとしたらもの凄い魔力だ。だけど流石に今回は駄目らしい。

顔を歪めて唇を噛んでいる。



あぁ、ダメだよ。血が出てる。……血の一滴さえも私のモノだ。


ヴァンシーが醜悪な笑みを貼り付け、炎を放つ。


赤銅の男はデンカを庇う様に前に出た。



「ハーッ!!!やっと死んだぜ!!ウザってェゴミ共がッ!!」


「かなり殺したからなぁ。あの黒髪より強くなったんじゃねぇか?」


「今の炎ヤバかったよなぁ!まぢ黒髪殺せんじゃねぇか?」


「それ、私のコト?」


「「!!?」」

目の前には馬鹿面の雄共。



「お前は………。」

そして後ろには赤銅の男。



馬鹿は置いといてクルリと振り向く。


あぁ、やっぱり欲しい。


私の目を見て今まで変わらなかった赤銅の男の顔色がザッ、と青ざめる。



「もう一匹ヴァンシーだと…ッ?」


「そんな…。」

絶望に満ちた声が何処からか溢れる。


だが、赤銅の男は青ざめたのも一瞬。



あの目を向けてきた。

生きる事を諦めていない目。


ゾクゾクするねー。



そこで馬鹿共が立ち直ったのか僅かに震えた声で怒鳴り散らす。

「黒髪ィ!邪魔すんじゃねぇッ!!」


「ソイツ等は俺等の獲物だ!」


「おい、俺達の力を見せてやろうぜ!!」

そう言って、前の倍ほどの数がある槍とさっきの炎の玉を出す。



「死ねェエェッッ!!!!」


「ウルサイ。」

片手で人間達全員を防壁で囲い、もう一方で迫る玉を薙ぎ払う。



「な……に!?」

相当自信があったのだろう。明らかに二匹は動揺している。


これには後ろの人間達も驚き、青かった顔を茶色にしている。


「ちょっと黙っててよ。」

私が右腕をフッと上げると雄共の下の地面が盛り上がり、二匹を肩まで飲み込んだ。


何かワーワー騒いでるけど構う程暇ではない。


だって早く手に入れないと。


そちらを向くと警戒心丸出しで身構える。



えーっと


「コンニチワ。」



し……ん。



「あれ?違う?挨拶だった気がするんだけどな。じゃぁゴキゲンヨウ?イイテンキネ?ダッフンダ?」


「……いや、最後のは知らない。」

あ、反応してくれた。


反応してほしい時はダッフンダなんだね。(違う)



「私はヴァンシーです。名前はまだ無い。」

何か敬語とタメ口が混ざってるけどいいや。

挨拶と自己紹介は大切だからね。


ヴァンシーって言ったら周りの人が2、3歩下がってしまった。


いかん。

優しく語りかけなきゃ。よし。


「このままではお前らは皆殺しです。」

満面の笑みで。



赤銅の男が地面に落ちている剣を取ろうとするが素早くその上に手を重ねる。



「!」


「ねぇ、取引をしませんか?」


「…取引だと…?」


赤銅の男の目が訝しげに細められる。



「うん。お前ら全員助けてアゲルよ。」

後ろのヴァンシーが更に騒ぎ立てる。



「みぃんな助けてアゲルよ。私、強いもん。」

男に近づき甘く甘く囁く。

少し身を引かれたのが悲しい。



「……条件は。」

赤銅の男の目が揺らぐ。

きっと本当はもう駄目だと絶望していたんだろう。



だから私はそこに漬け込む。

甘い毒をあげるんだ。



「お前。


………お前を頂戴?」


「待てッ!!!」

それまで成り行きを見ていたデンカが前に乗り出してきた。


赤銅の男は肩でそれを制する。


「私を、私をやろう!!煮るなり焼くなり好きにすればいい!だから…ギースには、コイツには手を出さないでくれ!!!」


「ヴォルフ!!」

男がデンカの名前を読ぶ。

てか男はギースって言うんのか。



「その条件を断れば…?」

ギースが聞く。



「人間達が皆殺しされたのを見た後にあの雄共を殺す。」

お前だけは助けるけどね、とは言わない。



「助かる保証は?」


は?保証?


「だって負けないもん。」

あっけらかんと言い放つ。

あの程度の捕縛で身動き出来ないんじゃ、まだまだ私のが強い。



「…選ぶ余地は無いか。」


「ギース!!どちらにせよお前が犠牲になる!!!代わりに俺がッ!」



……何、コイツ。



「黙っててよ。」

私から漏れた殺気で二人とも固まる。


だって、だって。

すんごーっく腹立つ。



「お前はいらないの。私が欲しいのはギース。何にも出来ないで守られる事しか出来ない無力な奴は邪魔しないで。」


「……ッ。」

デンカの顔が複雑な感情で歪む。



「周りの死体はお前を守る為に死んだんじゃないの?俺が俺がって、自己犠牲も大概にしなよ。…そうゆうの、キライ。」


デンカを守る様な陣営。


きっとコイツは守られるべき立場の人間。


てかギースは殺さないし。



「…黒のヴァンシー、お前に俺をやろう。だから皆を助けろ。」



静かにギースが言う。

命令口調だけどいいや。



紅い瞳孔が妖しく光り、笑みの形を象る。


白い肌に映えるピンクの唇の口端が上がり、靡く長い黒髪が顔を縁取る姿は。


状況を忘れるほど妖艶であり美しかった。




「お前の名は?」


「ギース・レンツァルト。」


真っ直ぐに見つめる瞳。

これは、契約。


「ギース・レンツァルト。私に、名を。」


「……名…。」


意味など無いけれど、私にとっては大切な契約。


私の、証。



「……アナト。」


「アナト…。私の名は、アナト。」


美しく、血にまみれた、戦いの女神。



これでお前は

「私のモノだ。」



ドォオン!!

言うと同時に雄共の拘束が崩れる。


ふむ、やっぱり少しは強くなってるんだ。



「ちょっと待ってて。」

そう言ってギースを囲むように防壁を張る。(勿論他の人間達も)


一応30枚ほど張っとこう。


ギースが張っていた防壁は2枚だったけど、念には念をってね。


話を聞いていたのか雄共が挑むように、だけど少し焦ったように喚く。



「黒髪!!テメェ人間の味方するのか!!!」


「ただで済むと思ってんのか!?」


「後ろの男共々ブッ殺してやる!!」


………は?


「ねぇ、まさかお前達はギースに手を出そうとしてるの?」


「内臓引き出して首に括りつけて木に吊るしてやるよ!」


「ひゃははは!自分の脳みそ口に突っ込んでやったほうが良いんじゃねぇ?」


「ならどっちも…ッ!!!!」


醜悪な顔で笑っていた雄共との間合いを詰め、馬鹿な事をほざく片方の腹を爪で引き裂く。


そのままズルルと腸を引き摺り出す。

太陽の光を浴びてテカテカ光るソレは長く、適度な弾力がある。


腸を引き摺り出された位じゃまだヴァンシーは死なない。



出した腸を素早くソイツの首に括り付け魔力で造り出した岩の木に吊るしてやる。


ここまでが一瞬だった為、隣の雄は勿論自分の内臓で首吊りをしている雄も何があったか分からないような顔をしている。


一拍遅れ、耳をつんざくような潰れた悲鳴が首を吊った雄から上がる。



「ぐ、ぎ、あ゛ぁああ゛ぁ!!」


「ウルサイ。」



ゴキン

腸を思い切り引くと鈍い音と共に雄の頭が有らぬ方向に曲がる。


叫ぶから血が飛んできた。

汚いなぁ、もう。


そしてもう片方の雄を見やると、ソイツの顔は先程の威勢の良さなど微塵も感じさせない程に真っ青だった。



「…で?お前は何て言ってたっけかな。脳みそを口に突っ込むだっけ?」

言いながらユラリと近づく。



「ま、まま待ってくれ!!殺さない!あの野郎には手は出さないから!!だから…ッ!」


「命乞いしなくて良いよ。お前、死ぬんだもん。時間の無駄。」


そう言うと唇を震わせ、持てる最大の魔力であろう。上空を埋め尽くす程の紅い槍を出す。


おわ。凄い。



「がぁあ!!」

雄が手を振ると私と防壁目掛け降り注ぐ。


私は地面に同じ数だけの黒い槍を出し、放って降ってきた紅い槍を全て相殺させた。


防壁の方は…うん、5枚まで減ってる。沢山張っといて良かった。



「馬鹿がぁッ!!」

そう思ってたら背中から衝撃が。


尖って突き出た地面が私を背中から突き抜いていた。



コプリ。

口から血が溢れる。


ギースが何か叫んでいる。


私を心配してって訳では無いと思うけど何か嬉しい。


「ぎゃはははは!!あの槍は囮だ!!…ヤってやったぜ!!!あの黒髪を殺した!!!」


そして、お前。

本気でウルサイ。



胸に貫通している物に手をかけ引き抜く。


あ、服が穴開いた!

んにゃろ~ッ!!


私の傷は既になくなっていた。これには皆が唖然。


生まれた時に再生能力があるドラゴンを食べたんだ。


ヴァンシーは食べたり殺したりした者の能力なんかも吸収するから、私は再生能力が追い付く限り死なない。



だからさ、


「…もう良いかい?」



死んでよ。



ハッとしたかのように背を向けて逃げ出す雄。


馬鹿だなぁ。

背を向けるなんて。


直ぐに追い付き頭を鷲掴む。

ギリギリと力を込めれば簡単に雄の顔は砕け散った。



「あ、脳みそ食べさせるつもりが顔握り潰しちゃった。」


うわぁ、手が血やら内臓の液やらでベトベト。

顔にまで血が飛んでんじゃないのコレ。


サイアク。


このヴァンシーを食べる気にはならない。


そんな事より。



防壁を解きギースに近づく。


手は水を魔力で出して洗う。

後ろの人間達は皆後退りしているけど気にしない。


ギースに触りたい。

手を広げて抱き着こうとする。

だけどギースの顔が歪み、息を詰めたのを見て私は止まった。


…あ、何か今、凄く…。


広げた手を力無く垂らす。



ガッ


「…え?」

完全に垂らす前に私の手をギースが掴んだ。



「……すまない。お前のお陰で助かった。…………だから、そんな顔をするな。」


そんな顔?


分からないけど今の私の顔はギースを罰が悪そうにする様な顔なんだろう。



「…お前じゃないよ。」

手を掴んでいたギースの手にスルリと指を絡ませる。



「…アナト。」


「うん。」

今の私の顔は自分でも分かる。


だってギースに名前を呼んで貰うと胸がポカポカするんだ。


ギースはきっと私の事を恐ろしい化け物と思っているだろう。

でも、そんなのいいや。


「アナト。…出来れば殺るなら一思いに殺してほしい。」


は?

人がポカポカに浸っているのに何を言い出すんだ。



「隊長……ッ!」


「ギース隊長!」


「ギースッ!!」


後ろの人間達まで騒ぎ始めた。

何だ何だ!?



「え、…は?イヤイヤイヤ。殺さないし!やだよギースとさよならなんて!?」


言い方か?私の言い方かー!?


「…?ならば俺はお前に何を差し出せばいい。」


「え、本人?」


「………やはり食うのか。」


「イヤイヤッ!!!食べないから!私はギースと一緒に居たいの。」

そう言ってもまだ疑わしげに眉を潜めている。


うーん。

人間はこう言う時は何て言うんだ?


…あ、コレだ!!

パッと閃いた言葉を口にする。



「貴方は私のウンメイの人なの。だからケッコンして下さい。」

言ってる内容は半分も理解してないけど人間の時の記憶がこれを言えばずっと一緒に居られる。って結論付けてる。

ドラマとか言う言葉だ。


でも、あれー?ギースが固まっちゃってる。


ハッ!まさか…



「…嫌とか言う?」

ニコリと微笑んでギースに問うと勢い良く顔を左右に振る。


後々、この時の私の目は1ミリも笑っていなかったとギースは語った。



「良かったぁ。じゃぁお前の国に私も連れて行ってね。」


「ヴァンシーを国に連れて行くなんて…!」


「出来ない、何て言わないでしょデンカ。…ねぇ?」


こっちにも微笑んでやる。

ついでに後ろの人間達達にも。


皆勢い良く顔を上下に振る。

そんなしたら首取れるよ?



「どうでもいいが胸を隠さないか?」


…………空気読めないギースも良い。





そして、


国に連れて行って貰った私は、

ウルサイ国王や臣下を脅…彼等にヴァンシー狩りを手伝う代わりに干渉すんなと言う交換条件を出し


あれよあれよと言う間にギースとケッコン式を挙げた。



「…アナト。」


「ん、ギース。」


今ではギースからぎゅうって抱き締めてくれる。



「何だろう、ギースにぎゅうってされると胸がポカポカするけどドキドキもする。」


「……お前、それは誘い文句か?」


「ん?」


「…いや。」

そして私の瞼に唇を押し当てる。





私は残酷非道な心無い化け物。

でもギースと居るときは心がある。って実感出来る。


ギースには悪いけど、彼を手放す気は絶対に無い。




彼が何処かへ行くのなら私は殺してしまうだろう。


でも彼が居ない世界なんて耐えられない。


だから、ねぇ。

もっともっと堕ちてきて。





これはどこかの世界の、どこかの時代の



残酷非道な美しい化け物と赤銅の騎士との


恋物語のプロローグ。


読んで下さってありがとうございました(^^)/




本当はまだ書きたい事とかもあったのですが、短編にまとめました。




ちなみにアナトは本当に血にまみれた美しい戦いの女神の名前です(^-^)



彼女を文章にするのは楽しかったなー。


もしかしたら続き物も書くかもです!




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― 新着の感想 ―
[良い点] 無邪気に残酷な感じが凄く好きです!!
[良い点] 面白かったです 主人公がいいキャラしてますね 是非続編を書いてほしいです
[一言] すっごい面白かったです!! 出来れば続きが 読みたいです
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