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不思議な宇宙(そら)のもとで  作者: まほ。かんた。
不思議な海のテツロウ
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第二章 不思議な海のテツロウ③

南十字島に到着したテツロウ。


巨大な妹たち――エミ、ミニ、リオ。

そして幼馴染のエアリとともに、


少し不思議で穏やかな昼のひとときを過ごします。


今回は、海を望むランチ回です。

■第二章 第三話


 テツロウは時計を見る。


 「もう、12時か……」


 朝、天の川市の港を出たフェリーで、

 ここ南十字島近海へとやって来た。


 スターライトと呼ばれる物質を採取し、

 持ち帰るために。


 ――いや、正確には。


 南十字島ではなく、


 その近くにある、もう一つの島。


 しかもその島は、

 本島よりも広いようにさえ見える。


 その中央には、


 巨大なログハウスが建っていた。


 内部には、


 巨大な畳が敷き詰められた

 広大な大広間。


 その一角のテーブルの上に、


 テツロウの特別個室が置かれていた。


 窓の向こうには、


 巨大な妹――ミニの顔が広がっている。


 ミニは頬杖をつきながら、


 テツロウを観察するように、

 じっと見つめていた。


 その奥では、


 エアリが巨大なノートパソコンを操作し、


 リオがその隣で手伝っている。


 そして――


 「兄さん、みなさん。

  お昼にしましょう~!」


 明るい声が響いた。


 奥から、


 大きなランチボックスを抱えたエミが歩いてくる。


 エミは、テツロウのいる個室の前まで来ると、


 やさしく微笑んだ。


 「兄さん、今日も私が作りました。

  いっぱい食べてくださいね」


 水着の上にエプロン姿。


 その姿が、窓いっぱいに広がる。


 テツロウは思わず視線を逸らした。


 「もう、兄さんったら……」


 エミは少しだけ悪戯っぽく笑う。


 そして、ふと振り返り――


 「ミニちゃんも、

  外のテーブルと椅子、用意してね」


 と声をかけた。


 「はーい!」


 ミニは元気よく手を挙げると、


 そのまま大きな足取りで、

 ログハウスの外へと出ていった。


 床がわずかに揺れる。


 その動きだけで、

 彼女の大きさが改めて実感される。


 そのとき、


 リオが静かに歩み寄ってきた。


 「お兄様、今回は

  わたくしが運びましょう」


 そう言って、


 テツロウのいる特別個室を、

 そっと持ち上げる。


 視界が、ゆっくりと上昇していく。


 窓の外には、


 リオの落ち着いた表情と、


 その隣に立つエミの姿が広がる。


 どちらも、水着姿のまま。


 そのスケール感に、


 テツロウは改めて息をのんだ。


 リオは、個室を胸元へと大事そうに抱えながら、


 「さあ、お兄様。参りましょう」


 と、穏やかに言った。


 エミも横に並び、


 やさしく微笑みながら歩き出す。


 二人はそのまま、


 ログハウスの出口へと向かっていく。


 巨大な扉が開かれ、


 まばゆい光が差し込んだ。


 外には、


 青い空と海が広がっている。


 潮風が、


 わずかに室内へと入り込んできた。


 テツロウの視界が、


 一気に開ける。


 そのまま、


 リオとエミに運ばれながら、


 テツロウはログハウスの外へと出ていった――


 扉を抜けた瞬間、


 視界が一気に開ける。


 青い空。


 どこまでも広がる海。


 潮風が、やわらかく頬をなでた。


 そのまま、特別個室は


 丸い大きなテーブルの上へと運ばれていく。


 ゆっくりと、


 慎重に、


 音もなく置かれた。


 テツロウは個室の中から外を見渡す。


 そこには――


 四方を囲むように、


 巨大な彼女たちが座っていた。


 正面にエミ。


 右にミニ。


 左にリオ。


 そして少し後方に、


 ノートパソコンを操作しながら座るエアリ。


 見上げれば、


 それぞれの顔が、空の代わりのように広がっている。


 「……なんだこれ……」


 思わず呟いた。


 そのとき、


 リオがそっと手を差し入れる。


 「お兄様、こちらへ」


 テツロウは個室の扉を開け、


 リオの手のひらへと乗る。


 そのまま、


 やさしく持ち上げられる。


 「怖くありませんか?」


 「……ああ、大丈夫だ」


 リオの手は、


 驚くほど安定していた。


 やがて、


 テツロウは小さな椅子の上へと降ろされる。


 目の前には、


 テツロウ用の小さなテーブル。


 その周囲には、


 巨大な彼女たちが同じ食卓を囲んでいる。


 「いい景色でしょう?」


 リオが微笑む。


 「……まあな」


 テツロウは苦笑した。


 ミニがすぐに顔を近づけてくる。


 「お兄ちゃん、早く食べよー!」


 その勢いで、


 テーブルがわずかに揺れる。


 「うおっ!揺れる揺れる!」


 「ミニ、落ち着いて」


 エミがやさしく注意する。


 「はーい……」


 ミニはしゅんとしながらも、


 楽しそうに座り直した。


 エミは、ランチボックスをテーブルへと置く。


 蓋が開かれる。


 中には、


 丁寧に並べられたサンドイッチと、


 焼き色の美しいアップルパイ。


 テツロウから見れば、


 それは建物のような大きさだった。


 「……でかすぎるだろ……」


 「大丈夫です、兄さん」


 エミは微笑みながら、


 ナイフで丁寧に切り分けていく。


 やがて、


 小さな皿に盛られた一切れが、


 テツロウの前へと運ばれる。


 「はい、どうぞ」


 「……ありがとう」


 テツロウは、それを見て一瞬手を止めた。


 取り分けられてはいる。


 だが――


 それでもなお、


 そのサンドイッチは巨大だった。


 テツロウの体と、


 ほとんど変わらない大きさ。


 目の前にあるそれは、


 もはや“食べ物”というより――


 壁だった。


 「……マジかよ……」


 小さく呟きながら、


 テツロウはナイフを手に取る。


 サンドイッチの表面へと刃を当て、


 少しずつ削るように切り取っていく。


 ザクッ……


 ザクッ……


 パンの層を崩しながら、


 ようやく一口分を切り出す。


 それを口に運ぶ。


 「……うまいな」


 思わず、素直な声が漏れた。


 その様子を、


 巨大な彼女たちは見守っていた。


 ミニは興味津々といった様子で身を乗り出し、


 「お兄ちゃん、小さいー!」


 と楽しそうに笑う。


 エミはやさしく目を細めながら、


 「ちゃんと食べられてますね……よかった」


 と、ほっとしたように微笑む。


 リオは腕を組みながら、


 「そのサイズでも食べるのね……」


 と、少し感心したように呟いた。


 エアリはノートパソコンを操作しながら、


 「摂取量、問題なさそうですね」


 と淡々と確認している。


 そのとき。


 ミニがティーカップを持ち上げた。


 「お兄ちゃん、これも飲むー?」


 その拍子に、


 紅茶がわずかに揺れる。


 ほんの数滴。


 だがそれは、


 テツロウにとっては“熱い雨”だった。


 「うわっ!? あっつ!!」


 水滴が肩や腕に降り注ぐ。


 「兄さん!?」


 エミがすぐに身を乗り出した。


 「ミニちゃん、気をつけて!」


 「ご、ごめんお兄ちゃん!」


 ミニは慌ててカップを持ち直す。


 エミはすぐに顔を近づける。


 「大丈夫ですか?」


 「ちょっと熱かっただけだ……」


 エミはほっとした表情を浮かべる。


 「すぐ冷ましますね」


 エミは、テツロウを

 

 やさしく掌にのせ、顔に近づける

挿絵(By みてみん)


 視界いっぱいに広がるその輪郭。


 やがて、


 巨大な唇が、


 すぐ目の前までやさしく寄せられた。


 その大きさは、


 テツロウの体を覆い尽くしてしまいそうなほどだったが――


 そこには、


 不思議と圧迫感はなかった。


 ――ふぅ……


 やわらかな風が、全身を包み込む。


 じんわりと、


 熱が引いていく。


 「……すごいな……」


 テツロウは小さく呟いた。


 エミは少し照れながら、


 「強すぎませんでしたか?」


 と心配そうに見つめる。


 「いや、大丈夫だ」


 テツロウは小さく笑った。


 ミニはしょんぼりしながら言う。


 「ごめんね、お兄ちゃん……」


 リオが静かに口を開く。


 「ミニ、次は気をつけなさい」


 「はーい……」


 その様子を見ながら、


 エアリが手元の画面を確認しつつ口を開いた。


 「明日も天候は安定してるみたいですし」


 少しだけ顔を上げる。


 「今日は、思いっきり楽しみましょう。

  せっかく来たんですから……テツロウさんも」


 ミニの表情が一気に明るくなる。


 「やったー!海いこ海!」


 エミも微笑む。


 「いいですね、兄さん」


 リオも静かに頷いた。


 「食後に行きましょうか」


 テツロウは、


 目の前に広がる青い海を見つめる。


 穏やかな時間。


 だが、その先には――


 まだ知らない世界が広がっている。


 「……よし」


 小さく、そう呟いた。


 ミニが海の方を指差す。


 「行こっか、お兄ちゃん!」


 青い海が、まぶしく輝いていた――


(第四話:海水浴へ続く)


次回は、いよいよ海水浴。


巨大な彼女たちとの“海”は、

どんなスケールになるのか――


引き続きお楽しみください。

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