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神様になったので妹たちを勇者にして世界最強にします  作者: ほっぺ


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初めて①






「あーー!疲れたぁ!お風呂入ろーっと」




「澄香ちゃん!まだご飯の準備が…!」



「お姉ちゃん、お弁当作ったの忘れてない?あれ、今日の晩御飯でいいから」



「あらあら、そう言えばそうだったわねぇ」




「って事だから!入ってきまーす!」




今日も俺達は我が家へ無事に戻る事ができた。

澄香は足早に浴室へと向かい、残された2人は居間で早めの夕御飯となった。



環は晩御飯の用意もせず、両腕を組みながら俯き一点を見据えて何かを真剣に考えているようだ。

その向かいで留奈はいつも通り、マイペースにお弁当をモグモグと頬張っている。


俺にごぼうを食わせながら。



(…どうして俺の嫌いなものだけ食わせるんだ!たまには卵焼きとか食わせてくれ!)



「ぎゃー!ぎゃっ!」



「…ふふ、フーちゃん、それ好きでしょ」



苦手な物を食べさらせれて暴れている俺を楽しそうに見つめる留奈。

…こいつ、もしかして分かってやってるのか?

疑いの眼差しを向けるも、考え込んでいた環が不意に重い口を開ける。




「…あの、ね、留奈ちゃん」



「私、考えている事があるの」


申し訳なさそうに、留奈へと視線を向ける。

固く両手を握りしめた環の手が、これからの事を暗喩するかのようだ。




「……分かってる、すみ姉の、こと」



「留奈ちゃん…!?」


「…さっき、武器屋さんで、杖見てた…ずっと」

「きっと、すごく欲しいもの、なんだよね?」



2人共、武器屋での澄香が忘れられなかったらしい。

それはそうだ、あんなに悲しい顔されたら誰だって心配になっちまうよな…。



「ええ…!ええ!私もそう、思ってるわ…!」

「実はね…昨日の深夜、澄香ちゃん…ずっと、魔法の練習をしてたみたいなの」

「朝が来る前まで…手から血を流すくらい、必死に」

「…でも、澄香ちゃんは、きっと練習してる所は誰にも見せたくないんだと思うわ」



「…だから、声、かけれなくって」




昨日の夜の事を思い出し、今にも泣きそうに瞳を潤ませながら環は留奈に状況を伝える。

そんな事になってるとは思わない留奈は目を丸々とさせ、驚きを隠せない様子だった。




「…るなも、見ててあげたかったな…」

「…じゃあ、今すぐ、杖買いに行こ?」


「でもほら、私達まだお金がないでしょう?」


「だからね、留奈ちゃん…」



意を決した瞳は、留奈を真っ直ぐ見つめた。




「明日の朝、私達2人で依頼を受けに行きましょう!」





「…ん、分かった!すみ姉の為なら何だって、やれるよ」





…おお…まさかの初依頼はこの2人でやるのか!




……大丈夫か?めちゃくちゃ心配なんだが…?




いや、この2人の意思を無駄にしちゃいけねえよな!

俺も陰からサポートしてやらねぇと!



それじゃあまずは、あっちに帰るか…





ピピッ




「…お、帰ってきたのか」

「ワシ暇すぎて死にそう」



だらーっと地面に寝そべっている妖精が嫌味の一言。



「ごめんごめん、今から俺も気合い入れるからさ!」

「それに…」


「それに?」


「お前にも聞いておきたい事が沢山あるからな」







――――深夜



今日も澄香は枝を振る。血豆が出来た努力の手で。


目を瞑り、枝先に全ての意識を集中させる。


ヒュッ、と空気を切り裂く音だけが周辺に木霊した。



(炎を、出でよ!)


(出でよっ!)



何一つ変わらない状況。

いくら試行を重ねても、光が灯る事はない。



「…っ、ひっ、ぐ」



(どうして…こうなのよ…っ!)


(…あの杖があったら、魔法、使えるのかな…)


(あたしは…!化け物を倒して…!お姉ちゃん達を守らなくちゃいけないのに…!)



悔しさ、不甲斐なさ、自分の才能のなさ


色々な感情を宿した涙で前が見えなくなる。

それでも、澄香は朝が来るまで杖を振るうだろう。






その様子を、俺は画面越しにずっと見つめていた。



「なぁ、ゼウス…どうして、澄香は魔法が使えないんだ?」



俺がそう尋ねると、ゼウスは羽を羽ばたかせ、食い入るように画面越しの澄香を見つめる。




「そうじゃのう…あの子は特別な存在、全属性の魔法適性を持っておる」

「じゃが…魔法を使うには魔力が必要じゃ」



「つまり澄香には魔力が足りないってことか…?」



「その通りじゃ。あの子は、全ての属性を使う為の魔力がまだまだ少ない」

「体が無意識に全属性の魔法を出そうとするから、すぐに魔力切れになっとるんじゃのぉ」




頭の悪い俺でもようやく理解出来た。

澄香は魔力の絶対量が少ないから今はまだ、何にもなれないんだ。

もしそう言う事なら…


「なあ、ゼウス」

「…俺は人間に攻撃する事はできないし、ステータスに干渉する事もできない、んだよな?」


一呼吸置いた後、確認の為に質問をする。

これはこの先、俺にとってもあいつらにとっても大事な事になる。


「ああ、その通りじゃとも」



肯定の頷きで返すゼウス。



「それならさ、澄香に…潜在能力を付けてあげる事は可能か?」



「…潜在能力ぅ?」




聞き馴染みのない言葉に首を傾げながらも、ゼウスは興味があると言った様子で俺に近づいて来た。




「ああ、例えば…」



ピピッ



澄香のステータス画面を開く。





『潜在能力 毎日魔力+1』





「…ほっほー!なるほどのぉ、これなら干渉と言うよりかは成長に近い」

「しかも毎日の底上げならその内魔法も使えるようになる訳じゃなあ!」

「お主、中々やるではないか!」



初めて見るステータスに満足げに笑うゼウス。

さぁ、後はコマンドを入力すれば…!



『潜在能力 付与完了しました』



おおーー!!やったぞ!澄香!

もうお前の努力は無駄じゃなくなる!

頑張った分、絶対に返ってくるんだ!



「…よっし!成功!」

「後はあの子自身の成長を待つだけじゃなぁ」

「ああ…」



頑張れよ…!お前はきっと、いや、絶対…

最強の魔法使いになれるからな!








そして、環と留奈も明日の準備を着々と進めていた。



「…おにぎりも作ったし、飲み物もバッチリ!」



「…あとは、お金だけよねぇ…」



弾けそうなほど膨らんだリュックに目線を向けつつも、環は頬に手を当て肩を落としながら大きな溜息を吐く。




「…ふふん、たま姉、わたしに任せて」



自信満々のドヤ顔で準備を終わらせた留奈が階段から降りながら言い放つ。

手には澄香のスクールバッグ。



「ええ!これ、澄香ちゃんのバッグ…!?」





「…これがわたしの考えた、最強の金策」








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