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神様になったので妹たちを勇者にして世界最強にします  作者: ほっぺ


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始まりの街⑤





始まりの街 オルド



人口数百人と言った小さな街だが、ギルド、武器屋、道具屋や露店など、人々がそれぞれ逞しく暮らしている。



「昨日は街を見ている余裕なんてなかったけど、こうして見ると素敵な街ねぇ…」



「そーね、見た感じ何でも揃ってる」

「…しかもこの世界、人間以外の動物?も生活してるみたいよ…?」



そう言いながら澄香は魚人族へと目線を向けた。

全身は魚なのだが、足だけが妙に人間よりに作られておりお世辞にも可愛らしいとは言えない姿だ。



「……おさかなー!」



まだ見ぬ種族を見つけ大興奮の留奈は、魚人族を指差しては大きい声で言い放ってしまった。



「―――!?」


その言葉にショックを受けたのか魚人族は持っていた紙袋をドサッと床に落とし、今にも泣きそうな顔をしてこちらを凝視する。



(ぎゃあぁ!!無知故の罪ー!!)




「る、留奈!あんた何言ってんのよっ!あの人?今にも泣きそうじゃない!」


「……でも、魚、だった」


「この世には思っても言っちゃダメな事が沢山あるのよっ!」

「…あっ!お姉ちゃん!」


魚人族に向かって猛ダッシュで走って行く環。

身振り手振りで説明をしている様子で、最後はペコペコ頭を何回も下げて魚人族の帰りを見送っていた。

そしてげっそりとした顔で静かにこちらへと戻ってきた。



「な、なんとか…ご機嫌で帰って頂いたわ… 」

「お昼のお弁当、一つ無くなってしまったけれど…」


「さすがお姉ちゃん!魚の人も最後笑顔だったしきっと喜んでるわよ!」


「……2人とも、ごめんなさい」



安堵の会話をしている2人に割って入るように謝罪をする留奈。申し訳なさそうに、2人の顔色を窺っている。



「だーいじょうぶよ!お姉ちゃんが何とかしてくれたじゃない!」

「…まぁ、これに懲りたら人を指差すのは厳禁だからね!」



「うふふ…留奈ちゃんは動物が大好きですものねぇ」

「知らない生き物見ちゃうと楽しくなっちゃうのは仕方ない事だと思うわぁ♪」


「…!」

「……でも、悪い事したから謝る。もうしない、から」



「ぎゃー!」



腕の中に居る俺を押し潰すほど強く抱き締めながら、留奈はポツリポツリと言葉を紡ぐ。

誰かを傷つけてしまった事、2人に迷惑を掛けてしまった事、自分にとっては後悔しかないのだろう。

そんな事を思っていると、頭が真っ白になって…



「ぎゃ、ぎゃ…」


「…っ、フーちゃん!」


今にも千切れそうになっている俺に気づいたのか、留奈は抱き締めていた力を大きく緩め、俺の体に顔を埋める。


「……ごめんなさい」


「ぎゃーっ!」


気にするな、と言ってみたが伝わらないだろう。

小さい羽で、留奈の頭をポンポンと撫でてやった。

顔を埋めたままの留奈だが少しだけ嬉しそうにしている気がした。




「ほら!次のところに行くわよー!」



澄香の掛け声でハッと顔を上げ、留奈は2人を急いで追いかけて行く。





「…へー、宿屋とかもあるのね」


「お家に帰れない時に役に立ちそうねぇ♪」


「…げ、おひとり様金貨1枚、って書いてあるわよ…」


「えっ!?じゃあ私達が泊まったら金貨3枚…!?」




それぞれの財布を開け、中身を見る2人。

悲しいが日本円しか入っていない。

…そのまま何事も無かったかのように財布をしまう。




「…ここは縁遠いお店ね!次!行きましょ!」


「ええ!」



「……むぅ、ついていけない」



3人はそそくさと足早にその場を後にする。





「次は道具屋ね!冒険に使えるアイテムが買えるのかしら」



「うふふ…早速入ってみましょ♪」



「…ワクワク」




重厚な木の扉をゆっくりを開き、店の中へと入って行く。




「いらっしゃーい」



迎えてくれたのはフードを被った…猫の獣人か?


「良い物あるよぉ、見てってちょーだいっ」


初めて見る猫耳、留奈が反応しない訳もなく…


「…!!」

「……もふもふ」


「しーっ!聞こえたら怒られるわよ!」



「おやおや、小さいお嬢さん、僕の耳、気になるのかい?」

「初めて見る顔だねぇ、観光か何か?」



銀色の耳をぴくりと動かしながら、店主は俺達3人を舐め回すように見つめる。

…ん?やけに俺の事見てないか?



「ええ、そうなんです…」

「最近この街にやってきたばかりで…今どんな所か見て回っていますわ♪」


視線を遮るように大きく前に出て、柔らかくも少し冷たい笑顔で環は店主にそう答える。



「何だ、そうだったんだね!」

「じゃあ僕の店もじっくり見て行ってくれ!値段はまぁ、ソコソコするけどね…」


毛先が黒い尻尾をパタパタを動かして店主は楽しそうにそう告げ、3人が店内を見ているのを笑顔で見つめていた。



「…へー、ポーション、毒消し、薬草、何でもあるのねー」


「あらあら、防御力や攻撃力が上がる薬ですって♪」


「…ヘンな玉、ヘンな紙、使い方、分からない」



各々が好きな物を手に取り、じっくりと眺めては戻す。

沢山の種類がある道具屋はまるで天国のようだった。



「あっ!もうこんな時間!あんまり長居してると日が暮れちゃうわ!」



「長居してすみませんね、店主さん」



「…猫さん、またね」




「また来てねー!」



慌てて店から出て行く3人の背に楽しそうに手を振る店主。

次は何か買ってやらねぇとな…。





次は、武器屋。



「…ん、強そうな武器、いっぱい」



「あらあら、この盾大きくて素敵ねぇ♪」

「ぎゃー!」

「うふふ♪フーちゃんもそう思う?」



俺達の金ではとてもじゃないが買えない武器。

これがあれば、大きな戦力アップに繋がるのだが…。


気付いたら、澄香は杖の前で立ち尽くしていた。


血豆が出来た赤い手で、小さな杖をそっと握り締める。



(これがあれば…魔法も、簡単に出せるのかしら…)



はぁ、と深い溜息を吐いても尚、澄香は杖を握ったままそこから離れない。


(でも、これ…銀貨5枚…って書いてある…)

(あたしにそんなお金なんかないし、それに…)

(買って…ダメだった時は、どうするの?)

(そんなの……絶望しかないじゃない…っ)



杖の前で葛藤している様子を見ていた環は澄香に向かって優しく問い掛ける。



「澄香ちゃん…それ、気になってるの?」



はっ!と目が覚めたように澄香が顔を上げると、握っていた杖を商品棚に戻し、物凄い勢いで首を横に振った。



「ぜっ、全然!ただ興味があったから見てただけ!別に欲しいとか1ミリも思ってないからっ!」


「つ、次のところ…行きましょっ!」



これ以上は質問させないと、無理矢理話を遮り次の場所を足早に目指す澄香。



その後姿を2人と俺は心配そうに見つめていた。



…どうにか、してやりてぇよな。



俺は心の中で密かに決心する。





露店街




「あらあらぁ、お野菜からお魚まで…何でも売っているのねぇ…」

「お家の食材が尽きたら、ここに買いに来ようかしら♪」


「…たま姉、オークのお肉、だって」


「そっ、それは…美味しいのかしら?」


「お姉ちゃんなら、何でも美味しく出来るじゃない」



料理に使えそうなハーブ、アクセサリーや指輪など色々な物が露店に並べられている。

銅貨で買える物もあるし、ここはお手軽な店が多いな。


「ぎゃっ!」

「…え、フーちゃん、これ欲しいの?」


しまった!ピーマンみたいな野菜の前で叫んでしまった!!


「うふふ♪もしかしてフーちゃんはこのお野菜が大好きなのかもしれないわねぇ♡」


「…モンスターに好き嫌いとかあるのかしら…」



怪訝そうな顔で俺を見る澄香。






ゴーン、ゴーン




広場の時計からけたたましい音が鳴り響き、夕方の時刻を伝える。




「えー!もうこんな時間!?」



「あっと言う間だったわねぇ…」



「……もう、帰る?」



「そうねぇ…夜になって危ない人に絡まれたら危険だわ、そろそろお家に帰りましょうか」

「澄香ちゃんも、それで良い?」


「ええ、構わないわ、今のあたし達に買える物はないし

…今日は探索だしね」


「…分かった、帰ろ」


「ぎゃー!」




夕日を背に、3人は帰路に着く。

それぞれの想いを胸に秘めて。

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