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神様になったので妹たちを勇者にして世界最強にします  作者: ほっぺ


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始まりの街④





ビーッ!ビーッ!



突然鳴り響く警告音。

これは世界か?それとも…俺か?




『ゼウス様がお呼びです。至急帰還して下さい』




し、しまった!完全に忘れてた!

俺は慌ててフーちゃんの機能を止め、眠らせる事にした。



ピピッ



『スリープモード 機能中』




急に静かになった俺を不思議そうに見つめる留奈。



「…フーちゃん、寝ちゃった?」

「あらあら、モンスターも眠るのねぇ…」





ピピッ



俺の意識はフーちゃんから狭間へと戻る。

眼前には顔を真っ赤にして鎮座するゼウス…。




「いや!そのっ、これは違くてぇ…」


「なぁーーにが違うんじゃこのバカもんがぁ!」



鈍い音と共に俺は妖精からドロップキックを顔面に食らう…。

それだけの事をしたのだ、これくらいは当然…痛い。



「いでぇー!」



「ワシのチカラを使ってお主の半身を造るとは良い度胸じゃのぉ…」

「あれだけ顕現してはいかんと警告したのに…これでは因果律が狂ってしまうぞ!」



一喝した瞬間、ゼウスの体が青白く稲光る。



「ひっ!すみませんっ!でも、妹を放っておけなくて…」



頬を摩り、心から謝罪する。

ゼウスは情けない俺を見て、大きなため息を吐いていた。





「…いいか?お主の半身、フーちゃん?だったかの」



「あの時、お主は小さな禁忌を犯し、世界へと顕現してしまった」



「あの半身がモンスターに食われでもしたら大変な事になるんじゃぞ!!」




ビカッ!と真っ白な空間に稲妻が走る。




…とんでもない事をしてしまった。





俺は妹達を助けたいだけだった。

神のチカラの強大さなど知らずに。




「じゃ、じゃあどうすれば良いんだよ!?あの半身を消せば良いってのか!?」


「ふん!ワシが消せと言うたとて聞くお主じゃあるまい!死ぬ気で食われんようにせんかい!」



「…!!」





…この世界で出会った謎の男。



もし、そいつが、ゼウスを狙っているとしたら…?



あの邪悪な目線を思い出し、俺は恐怖で言葉を失った。



ゼウスも、俺も、神として機能しなくなる…?




絶対に、阻止しないと…!




「ごめん……俺、頑張るから」



「当たり前じゃ!何のためにチカラを渡したのか思い出せ!」


「………」



「誰だって、守りたいモノがあるのは分かるがな…」



「…すまん」



厳しい視線から


現実から逃れるように俺は、我が家の画面を見る。

あいつらもそろそろ家に帰ってくる頃だろう。



お、家の前まで着いたぞ。







「やっと帰って来れたぁ!もうヘトヘトォ」



「あらあら、じゃあ早く夕飯にしなくちゃ♪」


「…ん、るなも疲れた、フーちゃんもそう言ってる」


「その鳥もう寝てるじゃない…」




呆れながら話す澄香を横目に留奈は俺の半身を大事そうに抱き締めながら、家の中へと入っていく。



この時、誰も違和感に気付かなかった。




フーちゃん(俺)が家に入っても消えない事を。






「皆ー!ご飯出来たわよぉー!」



環の声とほぼ同時に上の部屋から2人がバタバタと階段を降りて食卓へと駆け付ける。



「……お腹、空いた」


「あたしも、今日は色々あったし、お昼のお弁当だけじゃ全然足りないわよ」


色々と思い出したのか、大きなため息を吐いて項垂れる澄香。

そんな澄香の頭をポンポンと撫でたのは留奈だった。




「すみ姉、すごかった」


「あ、ありがと…」



「さぁ、早く食べましょ♪お姉ちゃんもお腹ペコペコよぉ…」







深夜。





皆が寝静まった頃、1人庭へと出ていく澄香。

今日の出来事を思い出し、悔しそうな表情で魔法の練習を始めようとしていた。



落ちていた枝を杖に見立て、心の中で強く願う。




(炎よ、出でよ!!)





静寂。




「何でっ…!!」





どんなに強く願っても、届かなかった。




「――っ!!」

「あたしは…最強じゃ、なかったの…っ!?」




夜が白むまで、手に血が滲んでも、何度も枝を振り続けた。


必死に、ただ必死に。





夜が明ける。





(…もうすぐ朝ね、皆が起きてくる前には部屋に戻らないと…)



グスッ、と鼻を啜り流れ続けた涙を手で拭うと、澄香は足早に自室へと戻って行った。








(…澄香ちゃん)




環は物音も立てず、暗闇から澄香の後ろ姿を見守る事しか出来なかった。








翌日。





「皆ー!朝ごはん出来てるわよぉー!」



今日も環は朝一番で起き、早くから朝食の準備をしていた。

弁当もちゃんと用意している。




「…ふぁあ…おはよ」

「ぎゃーっ!」



フーちゃんになった俺は、留奈に引き摺られながらテーブルに座らされる。


目にクマが出来た顔で、小さく震えながら降りて来た澄香。

その姿を見た環は一瞬で心配そうな表情になり、慌てて駆け寄る。






「おはよう、澄香ちゃん…?」


「うん、おはよう、お姉ちゃん」


「今日は…寝不足かしら?それとも何か嫌な事でも、あった?」



重い沈黙。

空気が苦しくて俺が潰れそうだ。




「……大丈夫よ、大した事じゃない、心配しないで」




いつもの笑顔を作る事すら出来ない澄香はフイと視線を環から離すと、食事の挨拶もせず小さく俯いて朝食を食べ始める。




(澄香ちゃん…私達には言いたくないのね…)




寂しそうに背中を見つめる環。



澄香の食事は3人の中で1番最後に終わった。

小刻みに手が震え、大好物すら喉に通っていない。






珍しく静かな食卓の空気を割ったのは、留奈だった。





「……今日は、どーする?」




俺を頭に乗せながら、留奈は2人を見回すと質問する。



「今日は、そう、ね…昨日出来なかった街を探索するのはどうかしら!」



いつもより声を弾ませて提案する環。

その様子を見て小さく溜息を吐いてから澄香も頷く。



「そーね、折角だし、街がどんな所か偵察に行きましょ」


「澄香ちゃん…!」


「…お姉ちゃん、ごめん、空気悪くした」




申し訳なさそうに謝る澄香の手を思い切り引っ張り、環は痛烈なハグをする。





「いーのっ!お姉ちゃん、どんな澄香ちゃんでも大好きだからっ♡」



「………」

 


「……たま姉、すみ姉が死んじゃう」



ハッ、と我に返った環は慌てて澄香から離れ申し訳なさそうに頭を撫でた。



「ごめんね!澄香ちゃん!…痛くない?」


「大丈夫……一瞬走馬灯は見えたけど…」







「…みんなー用意して行くよー」




そんな事など我関せず。

留奈はもう準備万端で玄関の前で仁王立ちしていた。

そして俺は今日も留奈の腕の中へ収まる。



「ぎゃー!」

「…フーちゃんも、早くしろって、言ってる」



(言ってません!)




「ちょっ、待ってよー!」



「あっ!お弁当持った?忘れ物はない?」



「大丈夫よ!お姉ちゃんたらそればっかり!」



「…ふふっ、そうね、それじゃ、行きましょうか♪」





3人は足並み揃えてオルドの探索へと再び向かうのであった。




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