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神様になったので妹たちを勇者にして世界最強にします  作者: ほっぺ


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始まりの街③






職業診断部屋から出て来た3人を待ち構えていたのは、澄香が怨みを抱えているゴロツキ共であった。





「おっ、帰ってきたぜぇ」

「ギャハハ!職業はありましたかぁー?」

「こんな成りであるわけねーだろ!」

「それもそーだな!ハッハー!」



心底楽しそうに笑っていやがる…!

再び怒りに身を任せそうになるが、拳を強く握り締め、歯を食い縛り怒りが収まるのを待つ。



落ち着け。



今のあいつらには立派な職業適性があるんだ。





俯いていた澄香が顔を上げ、怨恨の炎を目に宿しながら物凄い勢いでゴロツキが集まっているテーブルへと向かう。




壊れんばかりにテーブルに両手を叩きつけ、ゴロツキを鋭い眼光で睨み付ける。




「…もうあんた達なんか1ミリも怖くないのよ…!」




「はっ、はぁ!?何言ってんだテメェ!」

「さっきまで今にも泣きそうな顔してたじゃねぇか!」

「どうせ虚勢だろ!このガキ!」



どうやら今の澄香にはそんな言葉は何一つ響きやしないらしい。

俺が靴下脱ぎっぱなしにしてた時と同じ顔してる…!

思い出して俺の震えが止まらなくなった。



「あ・の・ねぇ…今のあたしはめちゃくちゃ怒ってるんだから…」

「この最強魔法使い澄香様をコケにした事、後悔させてやるわっ!食らいなさい!」






「プロミネンス・バーストォ!!!」







威勢の良い声とは裏腹に、辺りはシン…と静寂に包まれた。


ゼウスだけがその呪文にピクリと体が反応したが、何もない事を知るとフワフワと羽を羽ばたかせ俺から離れて行ってしまった。




「っぷ、だはわっははは!!!」

「勢いだけは良いんだなぁ、ねーちゃん♪」

「ぷろみねんすばーすとぉー?そんな呪文聞いたこともねーぜ!ギャハハ!」





「…っ!?なっ、あたしは心に浮かんだ言葉を言った、だけでっ…!」



「おほほほほ!!失礼しましたわぁ!さ…行きましょ!澄香ちゃん!」


「…お姉ちゃんっ!引っ張らないでよっ!もうっ!」



大慌てで環が澄香の腕を掴むと、2人を抱えているとは思えない速さでギルドから走り去って行った。





――――街郊外





街外れの広場のベンチで2人を休ませる環。




「こ、ここまで来れば大丈夫…かしら」



「なんでっ…どうしてよ!!あたしは最強の魔法使いじゃなかったの!?」

「魔法が使えない魔法使いなんか…意味、無いじゃない…っ!」



俯き、肩を小刻みに震わせる澄香。

自分の理想とかけ離れた現実を突きつけられ、声を押し殺して泣いている…。


ここでも、俺は何も出来ないのか?

 



いや!ここは1つ、妹の為に何かしてやらねえと!



俺は今、ここから抜け出す事も、俺自体が顕現する事も出来ない。

それなら…俺のチカラで自身の半身を作って傍に行かせてやれば良いんだ。



モンスターでも何でも良い。



短い時間で俺はありったけのデザインを考えた。


……



出来た!!



最高傑作の鳥のモンスター!



さぁ、今すぐあいつの傍に行け……俺!




ピピッ



『雷鳥 フルングニル』



そのコマンドが発動した瞬間、俺の視界は大きく歪み、やがて目が焼けるような眩さを感じた。




俺の目の前には…





「……なに、このヘンな生き物」





俯き、涙を浮かべている澄香の姿だった。




(澄香…!俺が励ましにきたぞぉー!!)



急いで駆け寄ろうとした瞬間、俺は宙を舞った。


蹴られたのだ。最愛の妹に。





「何か目がギョロっとしてる!しかも変に丸い鳥だしっ!モンスターがあたしに近付いてんじゃないわよ!ふんっ!」




勢い良く地面へと向かっていく。



(…俺、もうパーティ離脱かな…はは)



この姿じゃ涙も出ねぇ…くそぉ…






「…ナイスキャッチー」





地面に落ちそうになる寸前で俺を助けてくれたのは、目が覚めた留奈だった。

この姿に何かを感じたのか、ジッと真剣な眼差しで見つめている。



(やべっ!もしかして…っ!?)



「…もふもふ、かわいー」



優しい笑顔でそう呟くと、俺のボディに顔を埋め、満足そうにもふもふを堪能していた。


…本当に、動物好きだなぁ。





「…留奈!そんなヤツ森にでも返してきなさいよ!しっしっ!」


涙を手で拭いながら、連れ帰られた俺を見てそう言い放つ澄香。

だが、心なしか元気になったようだ。

環もホッと胸を撫で下ろしている。




「でもさっき、澄香ちゃんに蹴られてたし、怪我でもしてたらどうしましょうねぇ?」




「…そ、そんなに強く蹴ってないわよ!?」



「…大丈夫、この子、頑丈」



分かったかのように自信満々に言い放つ留奈。

この体、ダメージは受けないようになっている。

痛みは感じるが、俺のチカラを分けているので死ぬ事はないように作った。


…バレて、ないよな?



「ぎゃーっ!」




「ひっ…!鳴いたっ…!」



「ふふっ、可愛らしいわねぇ♡」



「こんな声の鳥嫌よ!あたし!」



「…ふふ、きっと名前を付けて欲しいって、言ってる」




(言ってません!)



だがしかし伝えられる訳も無く…。



俺のこの半身、フルングニルと言う最高に格好良い名前は…




「フーちゃん」として呼ばれる事となった。




1人を除いて。




「誰があんなアホ鳥を名前で呼ぶかぁー!」




いつもの様子を取り戻した澄香。


そこで環が突然パン!と両手を叩く。




「そうだ!お姉ちゃん、お弁当作ってきたの忘れてたわ!」

「ほらほら、皆で食べましょ?…ね、澄香ちゃん?」



穏やかで優しい笑顔で言葉を紡ぐ。

その光景に俺は泣きそうになってしまったが、環はさっさと弁当を配り始めた。




「お姉ちゃん…」


「…すみ姉、食べよ」


「それじゃあ…」




「「「いただきます!」」」




弁当の中身は妹達の大好物が所狭しと敷き詰められ、ご馳走だった。



「お姉ちゃん張り切って作ったのよぉ♪」

「沢山食べてね♡」



「…うん、美味しい」



大好きな卵焼きを食べた後、ポツリと澄香が呟いた。



「…フーちゃんにも、あげるね」


(それは俺の嫌いなピーマンッ!!)



留奈の苦手な物を無理矢理口に入れられ、ジタバタしているとその光景を見た澄香がフッと小さく笑顔を見せた。




「ふふっ…それ、留奈の嫌いなやつじゃない」



「あらあら、フーちゃんに食べさせてご馳走様なんて悪い子ねぇ…?」



「…ご、ごめんなさい」


流石の留奈も、目が開いた環には敵わないようで慌てておかずを掻き込んで弁当は空っぽになった。



(あれ?)


その時、俺は感じたのだ。

体がじんわりと暖かくなるのを。



「ふーっ、何か、体がポカポカするわね」


「…元気に、なってきた」



その言葉に違和感を感じた俺は、初めて妹達のステータス画面を開いてみる。




ピピッ




神谷 環

『料理スキル SSS』

手料理で体力を少し回復させる事が出来る



な、何だってーー!?




弁当食って体力回復とか、最強クラスのスキルじゃねぇか!

毎回作って貰えば死ぬ事もないって事だよな?



え…俺の妹、すごくね?



て言うか俺、チート付与、したっけ?



もしかして…こいつら3人、最初から最強のポテンシャル秘めてるってこと!?






神のチカラよ…!仕事しろぉお!!




フーちゃん(俺)の叫びは届かず。

俺は留奈に抱き締められながら、我が家へと帰る事となる。




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