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神様になったので妹たちを勇者にして世界最強にします  作者: ほっぺ


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我が家②





静かに部屋のドアが開いた。

ゆっくりと俺達を見渡しながら、ギルドマスターが入ってくる。




「元気そうで何よりだよ」


「ええ、治療士さんのお陰で傷も癒えましたわ」




怯えた様子を見せる留奈の前に立ちはだかるように、環が前に出て会話を続ける。




「こんな所に来て大丈夫なのですか?まだ街は大変なんじゃ…」



「ああ、思っていたより、被害は深刻だった…」



「でも、大会に出てくれた冒険者も頑張ってくれてね。どうにか、魔物は全て抑え込む事が出来たよ」



そう言いながら、ギルドマスターは環の横をすり抜けて留奈の前にしゃがみ込む。



そして、耳元でそっと呟いた。




「雷神様にも、感謝をお伝え下さい」


「…ん」


留奈は同意するように頷いて見せる。

言い終えると同時に立ち上がり、2人を見つめた。



「おっと!忘れる所だった。優勝の褒美を受け取りに来るようにと国王様が」

「それでは、私は見回りに戻るとしよう。街の後始末が山積みでね…」




踵を返すと、颯爽と部屋を出て行く。

最後はしっかり、俺へと目線が向けていた。




「あっ!ちょっと…言いたい事だけ言って帰るなんてっ!」


「うふふっ、褒美ってどんな物かしらねぇ?」



頬に手を当てながら楽しそうに声を弾ませて話す環。



「…きっと、お金とか」



俺を抱き締めながら小さく呟く留奈。

ふと、思い立ったように俺を両手で拾い上げ舐め回すように見つめる。



「…フーちゃんは、凄い人だもんね」



その瞬間、俺の体が脈打つように光った。



「……」



バレてる。多分、いや絶対に。

固まったまま動けなくなってしまった。


そんな俺を見て、留奈ははにかんだ笑顔を見せて再び強く抱き締めた。



「…ふふっ、心配、しないで」



確信めいた笑みを見せ、俺を頭の上に乗せた。



「いつもの定位置に戻ったわね」


「お似合いよぉ♪」



微笑ましそうに顔を緩ませながら2人はその光景を目にする。


その時、またドアのノック音が響き渡る。




和やかだった雰囲気が一瞬で静かになる。

3人は咄嗟に携えていた武器に手を充てた。




「失礼します!城までの馬車が…ひいい!」



国王の従者が報告に入ってきた。

しかし、あまりの緊迫した雰囲気に思わず恐怖の声が叫び上がってしまう。




「あら、そんな事までやってくれるのねっ!」


「これで道に迷わなくて済むわねぇ」


「…早く、乗りに行こ」



その言葉を聞いた留奈は一目散に部屋から出ていく。

後ろ姿を追いかけるように慌てて走り出す2人。



「お待ちしておりました!準備はいつでも!」



「…お馬さん、よろしくね」



大きく立派な装飾が施された馬車が目の前に停められている。

愛おしそうに馬を撫でる留奈。



「あ、あたし達が最初に乗ったのより何倍もデカいじゃない…!」


「あらあら、最高待遇なのかしら?ありがたいわねぇ」




馬車に乗りながら落ち着かない様子で辺りを見回した後、中も特別広い事に嘆願のため息が出てしまう。



「うわぁー!すごっ…ここで暮らせるわよ!」



「…るな、これが欲しい」



「お家では飼えませんっ」



馬車が走り出す。

3人の楽しそうな会話が響く中、車輪がゆっくりと動き出した。



窓の外の景色が流れるように後ろへ消えて行く。

気付けば巨大な城門が目の前に迫っていた。




「お話が終わったら、戻ってきて下さいね」


「ありがとっ!待ってて」


「わざわざ有難うございました」


「…行ってくるー」




御者にお礼を言い、門番に通され城へと入っていく3人。



荘厳な雰囲気、高貴な佇まい。



謎の像。

巨大な人物画。

金の、扉?



城の中は異世界のようだった。




「こちらに、国王がいらっしゃいます!どうかご無礼のなきよう!」



「ええ、分かりました。謹んでお受け致しますわ」



客室の前まで案内され、忠告を受ける。

扉越しにも伝わる気高いオーラに、環は手が震え喉を小さく鳴らしながらも、扉をノックする。



「失礼いたします。お招きに預からせて頂いた者ですが…」



重厚な扉を開けながら言い放つ環。




「おおー!!ようこそ、我が街の勇者殿!」



その声に大きく振り向くと満面の笑顔で両手を広げ、大歓迎の言葉を述べている国王が居た。


屈託の無い表情に3人ともホッとした様子で部屋へと入っていく。




「君達の活躍…いや、勇敢さを見せて貰ったよ」



国王は全員を座らせると、途端に眉を眉間に寄せる。

街の被害を思い出しながら、語り続ける。




「まさか、クロノスが襲ってくるとは思わなくてな」



「クロノスって…あの杖ついたおっさんよね?」



「ああ、この国は雷神様を主神としていてな」

「じゃが、クロノスが数百年前に大戦争を仕掛けたのじゃ!」




「主神様の力添えもあって、勝つ事は出来たんじゃが…あの戦争を恨む者も多くての」




ふと、差し出された国王の右手が青白い光に包まれる。

謎の刻印が刻まれていた。



「これは?」


「わしらに代々伝わる神の加護…祝福じゃ」

「この力で、戦争を終わらせる事ができた。とてつもない力でな」



その言葉に呼応するように、俺の体もまた発光する。

波動に気付いた国王が目線を向けるも、無言で優しく微笑むだけだった。


多分、俺がゼウスでは無いと分かったのだろう。




「あたし達も、祝福を受ければ…って、もしかして!?」



思い付いたかのように言うと、前のめりになって国王へ顔を近付ける澄香。


勢いの良さに驚きながら、困ったように小さく首を横に振る。




「この力は代々、わしとギルドマスターの一族のみ受け継がれておる」



「あたし達は貴族じゃないからってこと?」



「いや、神に選ばれた血筋だからじゃ」



自分の刻印を静かに摩りながら、澄香の問いに答える。




「神に選ばれるなんて、あたし達にそんな奇跡あるのかしら…」



国王から告げられた言葉に、あからさまに肩を落とし席に沈み込む澄香。

そんな妹を横目に、環は話を続けた。




「クロノスはあなたの刻印を狙っているのです?」



「恐らくだが、そうだろう。先の戦争で雷神様に憎しみを持つ者にだけ、祝福を与えているようじゃ」



「ふーん、じゃあ何でこの街を襲ってきたのかしらね?」



「それは…」



俺へ視線を向けるが、3人を見つめ直し国王は言った。



「魔王とは別に、大会へ出ている者の芽を潰そうとしたのだろう」

「この地に勇者候補を集めてきて貰った訳じゃからな」



その言葉と同じくして、国王が席を立つ。

行き先は窓、一瞬にして混沌の地と化した城下町を哀しそうに一望している。




「全てが、終わってしまった訳ではない」



「生きている者さえ居れば、わしは国王として立つ事が出来る」



「奴は…クロノスはまだ終わっておらぬ。次はもっと恐ろしい形でやってくるはずじゃ」


「わしは、全ての民を守る義務がある」



決意に満ちた眼差しは、刻印をより眩く輝かせた。




「それで、あの…私達はどうして呼び出されたのでしょう?」

「褒美を、頂けるとお聞きしたのですが」



陰鬱とした雰囲気の中、申し訳無さそうに眉尻を下げて問う環。

国王は、思い出したようにハッと顔をあげてこちらを見つめた。



「おお!忘れておった!」



「勇者殿、国王からの頼みを一つ聞いて貰えるだろうか?」




「頼み?」




その一言で真剣な、威厳のある雰囲気が辺り一帯に広がった。

急な変化に3人は姿勢を正し、息を呑んだ。




沈黙が重くのし掛かる。






「…どうか、その素晴らしい力で魔王を、討ち倒してくれぬだろうか」




魔王、と言う強大な言葉に3人は背筋が冷えるのを感じた。



「今すぐ行けって言うの?」



複雑そうな表情で、澄香は問い掛ける。



「勇者殿が相応しい力を付けたらで良い。それまではわしらが意地でもここを守ろう」

「だからの…」



「この国の宿を一つプレゼントしよう!」




満開の笑顔でそう告げた国王は自慢気に両手を広げてアピールする。

褒美が家だと言う事を知ると、3人の目が点になる。




「え?宿?装備とかじゃなく?」


「ここが拠点になる事もあるだろうと思ってな!」


「…あらあら、どうしましょう?」


「セーブポイントは、増えれば増えるだけ良い」



嬉しそうに語る留奈。

頭を抱えながら大きくため息を吐いた澄香。



「いや、ゲームじゃないんだから…」


「有り難く頂戴しますわ!でも、そのお部屋はどこでしょうか?」



遮るように環が宣言すると、国王は再び窓に目線を向ける。

その先には馬車。




「君達を休ませたあの家がそうじゃよ」




俺達が運ばれた部屋…。

その家は他の宿よりも特別に作られたモノだと知るのはあと少し先である。

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