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神様になったので妹たちを勇者にして世界最強にします  作者: ほっぺ


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闘技大会②






遅れて来た歓声を浴びながら、リングを後にする3人。




「ふぅー楽勝だったわねっ!」


「澄香ちゃんの力があったからよぉ」


「…ん、わたしもそう思う」



額の汗を拭いつつもそう語る澄香に、2人は嬉しそうに笑顔を見せた。



ふと、別の会場の試合が目に入る。



「あたし達とは違うグループの人達ねっ!ちょっと見て行かない?」


「ふふっ、そうねぇ。参考に出来るものはなんでもやりましょう!」


「…わくわく」



もうすぐ始まる試合に心弾ませてリングへと向かう3人。

既にパーティが入場しており、激闘の予感を彷彿とさせる。




試合が始まる…。





「…始めっ!」



号令と共に、2つのパーティがぶつかり合った。

盾が軋む音。荒い息遣い。



その様子を澄香は前のめりになりながら真剣に見ていた。




「わぁっ!すごい…これが王都の戦いなのねっ!」



「レベルが高くて魅入っちゃうわぁ…」



「…ふむふむ、なるほど」






「勝者、チームD!」







1つの試合が終わる度、拍手や応援の声が選手達へと届く。

誇らしげにリングから降りていくのを、真剣に見つめていた。





「あたし達も、もっとチームワークを出しましょっ!」



「ええ…1人だけで動くのは危険、って事なのね」



「…ん、るなも連携、してくよ」



「ぎゃーっ!」



「アンタは居るだけで良いのよっ!」



俺を諌めながらも、初めて見る他人の試合に興奮気味に話す澄香。

ぎゅっと力強く両手を握るが、魔力の波動は感じない。

無言で、力無く解かれる拳。



「あら?澄香ちゃん、どうしたの?」



その様子に気付いた環が声を掛けるが、いつもの様に明るい返事で返す。



「…何でもないわっ!心配しないで!」

「ほら、そろそろあたし達の出番みたいよ?」



物凄い形相で人探しをしている男が、3人視界に捉えるととてつもない速さで走ってきた。




「皆さんっ!勝った方は待機所に居て下さいと…」



「ごめんなさいねぇ。他の試合も見ておきたくって♪」


「見れたから満足だわっ!さぁ、次の試合に行くわよ!」


「…ごーごー」



心配を他所に待機所へと戻っていく。

男は戸惑いを隠せずに肩を落としながら、3人の後を追いかけていった。



「おや、遅いお帰りだね」



待機所で待っていたギルドマスターが、皮肉のようにポツリと呟く。



「まーね。敵情視察ってやつよ」


「…勉強、してきた」



2人とも満足そうに言い放つと、その表情にマスターは目を細めて小さく笑みを浮かべた。


俺を見ながら。



「そうだね、君達には是非とも決勝に進んで欲しいものだよ」


「そのぬいぐるみも含めて、ね」


「………っ」


突き刺さるような視線。

それを遮るように留奈が慌てて俺をローブの中に押し込んだ。




「さぁ、そろそろ二回戦の始まりだ。楽しんできたまえ」



「ふんっ!言われなくても勝ってくるわよっ!」



「お心遣い感謝しますわ」


「……」



ヒリついた雰囲気。

誰1人喋らぬまま、3人はリングへと上がっていった。





真ん中に立つのは、ギルドマスター。




「一回戦を突破した2チームに盛大な拍手を!」



波のように流れる拍手を噛み締めている3人。

観衆の中には、先程敗れたチームもおり小さく拍手を送っていた。




「次に戦うのは…チームA VS チームG!」

「この試合に勝てば、優勝は目前だ!」




颯爽をリングへと上がってきたチームG。



剣を携えたエルフの男。

弓を背中に背負うエルフの女。

小柄で杖を持ったエルフの少女。



全員が同じ種族のパーティのようだ。



その1人に環が強い反応を示した。



「あっ!貴方は…さっきの…!」


「おや、まさかこんな所で逢うなんて…」



そこに立っていたのは、ギルドへと案内してくれた男だった。

にこやかに笑みを見せて3人に手を振っている。



「げっ!あいつも参加者だったの?」


「佇まいが剣士さんだったけど…困った再会ねぇ」


「…あの人、強い。気を付けて」



留奈は強い魔力の波動を男から感じており、静かに忠告する。




「…それでは、試合開始!」





号令と共に始まった二回戦。




木々のせせらぎだけが聞こえる。




鎧が擦れる音と同時に、剣士が前に出て来た。



「はぁあっ!」


「っ、えぇいっ!」



その攻撃を、環が迎え打つ。

辺りは、盾が剣を弾く音だけが聞こえた。



「僕の攻撃を防ぐとは、中々ですね!」


「ええ、これでも聖騎士ですのでっ!」



環は大きく盾を振り回し、剣士から距離を取るが…




「隙だらけよっ!」



高速の矢が環に向かって降り注ぐ。

剣士の後ろからエルフの女が風の矢を放った。



「きゃあっ!くっ…こんなの、痛くもないわ…!」


「…たま姉?」


不意の攻撃を食らい何ヶ所も傷付き、血が滲み出る。

環の様子に違和感を覚えながらも留奈は咄嗟に回復を試みる。



しかし、回復魔法が発動しない。




(…あの小さい子、もしかして)




少女の杖から黒いオーラが見えた瞬間

辺りの空気、体が一段と重くなる。


気付くと周りにドス黒い半円状のドームが出来ていた。

まるで、何かを拒絶するように。



「何、この壁…っ!お姉ちゃん!危ないっ!」



澄香は薄暗い空間に戸惑いながらも、第二波の攻撃に応戦しようと1人、杖を握り締める。


矢を迎え打つ為の魔法。



「くっ…やっぱり、フーが居ないと…でもっ!」



魔力が不安定になり、作られたのは小さな火球。


それでも、相手に向かって火球と飛ばす澄香。


「邪魔ですわっ!」


風の力によっていとも容易く消し飛ぶ炎。

それに合わせるように、剣士が澄香へと目標を変え攻撃をけしかける。



(危ないっ!澄香!)



俺は留奈から飛び出すと、自身のチカラを使って精一杯の電気を放った。



「っ、雷の鳥…か?厭らしい小細工をしてくるね」


「すみ姉!下がって!」



剣士の一瞬の動揺を見逃さなかった留奈は、地面に魔法陣を描くと召喚の準備を始めた。


黄緑色の魔法陣がとびきり強い輝きを見せる。



「……いくよ」



留奈の掛け声と共に、色とりどりのスライム達が溢れ出てきた。



「スライム!?」


「…召喚士、ですって!?」



敵の驚きも聞こえないほど集中している。

周りを見渡すと、留奈は標的を定めた。



「…まずは、あの子」



指を刺した先は、魔法使いの少女。青い塊が一直線に伸びた。



「ひゃあーっ」



大量群がってきたスライムに困惑しながらも、必死で抵抗を見せる少女。

何匹か魔法で消えてしまうが、徐々に杖が溶けていく。




「…たま姉、赤いスライム、沢山殴って」



「ええ!?わ、分かったわ!えいっ!」



環は申し訳なさそうにしながらも、スライムを殴打していく。

その欠片から、段々と増えていく。



「…数が多いですわっ!」



魔法の矢を放ちながら後退する弓使い。



「まだ魔法は使えるの!?」


「ぶ、武器が溶けちゃいましたぁー」



環はその隙を見逃さず、孤立していた剣士に向かっていく。



「てやぁっ!」



強引に盾を振り翳すが、剣士は再び剣で迎え打った。



「お姉さんは、まだ戦いが不慣れな様子ですね」


「それでも、守らなきゃいけないの…!」



環の盾から金色の光が放たれる。

強い思いに呼応するように、光は盾に収縮していく。



暗い空間が、眩く輝いた。



「はぁっ!」



大きな掛け声と同じくして、盾は強い衝撃波を放つと剣士は大きく吹き飛ばされる。



ぷにっ、と柔らかい音が剣士の耳を擽る。

下敷きになっていたのは赤いスライム達。


慌てて体勢を立て直そうと起き上がろうとした瞬間、留奈が叫んだ。



「…自爆っ!」



ぶるぶると振動したその直後、激しい爆破音が耳を劈いた。

その言葉を発した留奈は、ぜぇぜぇと苦しそうな呼吸で

倒れ込んでしまった。



誰かがゴクリと息を呑む。




一帯が焦げた匂いと共に荒々しい煙に包まれる。



爆破の衝撃で、弓使いと魔法使いはリングから飛び出してしまった。

ドームが消え、爽やかな空が広がる。



「リングアウト!退場!」



「…そんなっ!」


「ふえー負けちゃいましたぁ」



悔しそうな瞳でリングを見つめる弓使い。

悲しみに暮れる魔法使い。

だが、あと1人残っている。



「…ぐっ、想像以上だね。これは…」



ゆっくりと、煙が風に流されていく。



ボロボロになりながらも、静かに立ち上がる剣士。

その眼差しはまだ勝利を見据えている。



静寂を切り裂くような、風の音が聞こえた。



「…っ!?」



その攻撃を咄嗟に防ぐ環。


また、空気を刻む音。



「僕はね、魔法剣士なんだ。魔力が切れるまで撃ち続ける…!」


「…受けて立つわ」



環との距離を少しずつ縮めながら、衝撃波を飛ばし続ける剣士。

金色の光は、揺らぐ事なく攻撃を防ぎ続ける。


風を受ける度、膝が震えていく。



傷一つない盾がやけに重く感じる。

膝をつきそうになるが、心だけは折れない。




そして――




目の前で、剣士が大きく倒れ込む。



「だっ、大丈夫ですか!?」



思わず敵に駆け寄り、声を掛けてしまう環。



「はは…完敗だ。もう…魔力が残って…」



小さく笑いながら呟くが言い切る事なく、そのまま気を失ってしまった。




その様子を見ていたギルドマスターは大きく宣言した。





「勝者!チームA!」



決着がついた瞬間、色めき立つ会場。

熱戦を終えた3人は、足早にリングを後にする。



「留奈ちゃん…熱が!」

「いや、お姉ちゃんも血だらけじゃないっ!」


「…まだ、やれる」


留奈を抱き抱えながら待機所に戻る。

ベッドに寝かせると、澄香は環の体に包帯を巻いていく。



無言で唇を噛み締める澄香。

そんな澄香の頭を優しく撫でる環。




「…大丈夫。さぁ、お昼を食べましょう?」



重い空気のまま、昼食が始まる。


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