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神様になったので妹たちを勇者にして世界最強にします  作者: ほっぺ


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歓迎②





闘技大会の準備のため、武器屋へと到着した俺達。



「うーん。何を買うのが良いのかしら?」


「お姉ちゃんは、盾が欲しいわぁ」


「…ん、最優先は、たま姉」



大きく頷くと共に、環を盾が置かれている場所へと連れて行く留奈。



(やっぱり、皆分かってるんだよな)



森の主との戦いで、重傷を負ったのは環だけ。



真剣に盾を選ぶ環の体に残った生々しい傷痕を静かに見つめる2人。

守る事の代償がこんなにも大きいのだと改めて実感する。



「この前は木の盾だったし…今回はもっと硬い物にしようかしら♪」


「盾だけじゃなくて、鎧とかも買いましょっ!」


「…わたし達も、着替え、しよ」




3人は目を輝かせて装備を選び、何とか金貨1枚以内で全部を買うことが出来た。




「お買い上げどもっすー」




留奈と澄香は魔力が少し上がるローブ。


環は銅の盾と軽鎧を。



「うふふっ、何だかとっても強くなった気分♪」


「あたしもっ!力が湧いてくる感じがするわ!」




「……馬車、乗れるお金ある、よね?」




声を弾ませて話をしていた3人だったが留奈の一言により、自分達が買ってしまった装備に目を配る。




しまった、と顔面がどんどんと青ざめていく。





「ま、まずは幾らで乗れるのか聞きに行くわよっ!」



「ええ…!馬車乗り場は広場の外れあるみたいだわ!」



「…急げー」




大急ぎで乗り場へと向かう。

着く頃には息も絶え絶えになっていた。


膝が笑う。


澄香が肩で呼吸を繰り返しながら、馬車を引いている御者に声を掛ける。




「ちょ、ちょっと良い?今から3人でディスクレシア城に行きたいんだけど…」



「おや、君達も闘技大会に参加するのかい?」



「ええ、幾らで行けるの?」



「3人だと…銀貨3枚必要だねぇ」



財布係の留奈が、慌てて財布を開ける。


…銀貨は3枚。ギリギリだ。






「…行けるよ、皆」



小さくガッツポーズをしている留奈。

だが、2人は財布を覗き込むと大きく肩を落とす。



「貴重なお金がぁーっ!」



「まぁまぁ、仕方ない事だもの。依頼でお金を稼ぎましょう?」




「…おじさん、3人乗ります」




俺は留奈のぬいぐるみとして隠れながら、3人は無事に馬車へと乗る事が出来た。



「ほいじゃ、出発するよ!」



その掛け声と共に、馬がゆっくりと動き出す。

車輪の音が、王都へと向かって進んでいく。



「お姉ちゃん…お弁当持ってきてる?」


「ふふっ、勿論よぉ?」


「良かったぁー」


安堵のため息を吐くと澄香は椅子に寄り掛かる。

街から離れていく景色を見ながら、ポツリと本音が漏れた。



「大会、絶対優勝するから…」


「そうね、私も同じ気持ちよ?」


「…るなも、そう思ってる」



決意の言葉を聞いた瞬間、俺の体が仄かに光を放つ。


何に反応したんだ?


留奈だけはその瞬間を見逃さなかった。

小さい声で、俺にだけ聞こえるようにそっと囁く。



「…フーちゃんも、頑張ってくれるんだね」



「ぎゃう!」



頭を撫でながら嬉しそうにそう告げると俺の体に顔を埋め、暫くすると寝息が聞こえてきた。



その様子に気付いた2人は留奈を見つめて柔らかい微笑みを浮かべる。



「全く!本当にマイペースなんだからっ」


「うふふっ、可愛い寝顔だわぁ」



馬車を揺籠にし、すやすやと気持ち良さそうに眠っている留奈。

畑が広がり続けていた景色が、段々と色付き始める。



城下町が見えてきた。




「わっ…あれが、城?って言うか、街広すぎじゃ無い!?」



「本当に…随分と栄えているみたいだわ」



「…んー、お城の街は豪華って、決まってる」




眠たい目を擦りながら、留奈がゆっくり顔を上げて目の前に見えてきた城に向かってボソッと呟く。





近付けば近付くほど、巨大で荘厳な城なのだと肌身で感じる。

馬車は城門前で止まると、申し訳無さそうに御者が告げる。



「すまないねぇ…馬車はここまでしか行けないんだ」



「大丈夫よ!送ってくれてありがとう、おじさんっ!」


「急なお願いを聞いて頂き、感謝しますわ」


「…ほい、お金です」



留奈は銀貨3枚を手渡すと、3人は御者にお辞儀をして城門へと向かっていく。


門は固く閉ざされており、門番の前から長い行列が伸びていた。


鈍い音を立てて開閉が繰り返される。




「…もしかして、手形みたいなものが必要なのかしらねぇ?」



「あ、あたし達そんな物持ってないわよ!?」



「…入れなかったら、困る」



周りの状況を見て慌てふためいていたが、少しずつ行列は流れていき、遂に3人の番が来てしまう。



「そこの3人!止まりなさい!」



語気を強めた門番が、ガシャンと槍を鳴らして引き留める。



物騒な気配を感じ、周囲が騒ぎ出した。



環は無言で妹達の前に出ると、息を呑みながらも毅然とした態度で言葉を発する。

喉元には門番の槍先が向けられた。




「失礼します。こちらのギルドに用事があって参りました」


「ギルド?…もしかして、闘技大会か?」


「はい、ギルドマスターからの手紙で城に行けと書かれておりましたので…」



震える手で胸元の鎧からあの手紙を取り出すと、そのまま門番に見せた。

手紙を見ただけで、門番の血相が変わる。

3人に勢い良く敬礼をすると、城門が音を立てて開かれていく。



「失礼しましたっ!参加者の方ですね、どうぞお入り下さいっ!」


「ありがとうございます♡」



晴れやかな笑顔を見せる環を筆頭に、門を潜って行く3人。



「あの手紙が手形みたいなモノなのね。上手くいって良かったぁー」



「留奈ちゃんが持たせてくれたお陰よぉ」



「…ふふん、手紙があれば行けるって、決まってる」




自慢気に語る留奈。

3人は街へ続く道を歩いていく。







閉ざされた城下町へとやっと辿り着いた。



だが、俺達の予想を遥かに超えて栄えている。



見知らぬ香辛料の匂い、煌びやかに空を舞う小さな龍…



自分が造った街ではない、現実の街。

その風景に、3人は思わず見惚れてしまっていた。




「うわぁー…オルドよりも沢山、人で溢れてるわっ」



「あらあら、知らない食材も並んでるわねぇ」



「…もふもふ!」



丸々とした兎、のような生き物が横切って行く。

…喋れたりするのか?



「さぁ皆、ギルドへ向かいましょう?」


「あっ、そうだったわねっ!」


「……もふもふ」



足早に走り去る謎の生き物に尾を引かれている留奈を横目に、ギルドを探して街中を探索して行く。



「王都なら、開けた場所にありそうなものだけどねー」



「うーん。建物が多すぎて見つからないわね…他の人に聞いてみましょう?」



「…じゃ、あの人」



留奈が指差したのは、耳が長くエルフのような姿をした男。

甲冑を着て、勇ましく歩いていた。



「あのっ、すみません!王都のギルドは何処にあるかご存知ありませんか?」


「おや、美しいご婦人。…ギルドでしたら、この先を真っ直ぐ行った広場にありますよ」


「ありがとうございます!」



「………」



浮き足立ってギルドへと向かって歩く3人を、男は品定めをするようにジッと見つめていた…。






念願のギルドがやっと目の前に現れる。


しかし、重厚な扉で閉ざされた建物の前に立ち尽くす3人。




「…入りましょうか」


「そーね。あのギルドマスターとやらに挨拶しないとっ」


「…ドキドキ」




重い扉を、環が静かに力を込めて開けていく。



3人が入った瞬間、ギルドに居た全員からの鋭い視線を感じた。

殺意すら感じる室内に、俺達はその場に固まって動けなくなってしまった。



乾いた音と共に、椅子が宙を舞う。

テーブルに叩きつけられる、何か。



部屋の隅でヒソヒソと、嘲笑のような嫌味のある声。




「…こんな奴らが大会に?」



遠くで吐き捨てるような言葉が聞こえた。



その声を聞いた環は、拳を強く握り締め肩を震わせて俯いてしまう。



(…私の妹を侮辱するなんて、許せない…!)



声がする方へ目線を向けるも、空気に呑まれた喉は発言する事すら出来なかった。

握り続けた拳からは血が滲み始める。




そんな重たい空気の中、小さな拍手が鳴り響いた。





「ようこそ、ギルドへ」





ギルドマスターが値踏みをするように、3人を見つめて歓迎の言葉を口に出す。



その視線の先に、俺が居たような気がした。



(こいつ…俺のチカラに気付いてるのか!?)



恐怖の余り、無意識に留奈の腕の中で震え上がってしまった。

留奈は震えを感じ、心配そうに目配せをする。





ギルドマスターがゆっくりと歩み寄ってくる。

その足音が、部屋の静寂を切り裂くように響いた。



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