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神様になったので妹たちを勇者にして世界最強にします  作者: ほっぺ


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18/40

パーティ③







夕方、俺達は我が家に戻ると早めの夕食を取っていた。






「今日は夜からの依頼だし、お姉ちゃん張り切っちゃった♪」



「餃子に、レバニラ…スタミナ料理ばっかりね…」



「…美味しそう」


沢山の種類の料理をテーブルに置くと、環は2人に大盛りご飯を添える。



「こっ、こんなに食べられないわよ!?」


「あらあら、魔法使いさんなんだから沢山食べないと!」


「職業は関係ないじゃないっ!」


2人の言い合いを見ていた留奈は無言で俺の口にご飯を放り投げる。



「…ぎ…ぎゃ…」


「…しーっ、静かに」



飲み込むことすら大変な量に震えていたが、環はそれを決して見逃さなかった。



「…留奈ちゃんも、沢山食べましょうねぇ?」



テーブルが大きく揺れると、留奈の前にはおかわり茶碗が…。



「…食べます!」



圧に耐えられず箸を取ると、目尻に涙を浮かべながら料理を頬張る留奈。


今夜は何も起きなければ良いが…。








準備も済ませ、用意ができた俺達は再び森へと向かって歩いていく。

街灯すらないこの道は3人の恐怖をジリジリと上げていく。



「昼間とは全然様子が違うわね…何だか薄気味悪いって言うか…」


「ひいっ!澄香ちゃん変な事言わないでっ!」


「…たま姉、怖い?」


「そ、そんな事ないわ?お、お姉ちゃんですもの!」



引き攣った笑顔で言う環をジッと見つめ、留奈はそっと俺を差し出して抱かせた。



「…フーちゃん、あったかいよ」



ふわりと優しい笑顔で言いながら、留奈は澄香の後ろをついていく。

その優しさに感動し、嬉しそうな笑顔で環は俺を強く抱き締める。



「うふふっ、本当…懐かしい、暖かさだわ」



初めて俺の体に顔を埋め、誰にも聞こえないように静かに呟く。






「あっ!お姉ちゃん!さっきの家よ!」


「…明かり、ついてる」


「本当ねぇ…じゃあもう一度、お話を聞きに行きましょう?」


「そうね!きちんと聞かないとっ!」



今度は澄香がドアをノックする。


ガチャリと音を立てて、先ほど会って男がドアから顔を出した。



「…こんばんは」


「こんばんは!あの、夜になったら来いって言われたんですけど…」



「ああ…そうだ。きっともう庭には奴らがいるさ。ほら、聞こえてくるだろ?」



男は視線を庭に送った。

俺達も言われるがまま、庭を見つめてみる。




「……っ!!」




一瞬でこの辺り一帯の空気が変わった。




木に爪を立てる音、野菜を齧る音。


それに鳴き声か?犬のような吠える声が何重も聞こえる。



「庭は好きにしてくれ。家に入られなければ、それで良い」


淡々と言う男。

言い切る前にドアは思い切り良く閉められた。




「…何よ!あの態度!…でも、1匹じゃない感じがしない?」



「ええ…何匹も居るような声だったわ…」


「留奈ちゃん、説得に行けそう?」



今も鳴り止まない鳴き声に、困った様子で環は留奈に問い掛けた。



「…ん、何とかなる、と思う」



少し表情が曇ったが、留奈はいつも通りのペースでそう答えた。



「お姉ちゃん、何で留奈に任せるの?皆でさっさと追い払えば良いじゃない!」



留奈の力を知らない澄香は戦う気満々だった。




「あのね、留奈ちゃんは不思議な力があるみたいなの。動物と話せる、力が…」


「ええっ!?そんなお伽話みたいな事あるって言うの?」

「じゃあ…このアホ鳥が何言ってるかも分かる訳?」




(マジか…?俺の存在、バレて―――)




「フーちゃんは、分からない…」



(あ、危ねええ…)



核心を突く質問に俺はガチガチに固まっていたが、留奈は首を横に振り残念そうに呟いた。



「…でも、あそこに居るワンちゃん達は分かるよ」



スッと庭を指差す。



「楽しい、お腹いっばい、もっとくれって…言ってる」


「随分楽しそうにしてるじゃない!人ん家の庭を荒らしておいて!」


「悪気がないのは仕方ないわよねぇ…危ないかもしれないけど、庭へ行ってみましょうか?」



俺達は急いで庭へと向かう。




『キャン!キャン!』



目の前には頭の両脇にツノを生やした犬?らしき生き物。


…ツノ生えてる時点でモンスターだろ!




「…行ってくる」


「ぎゃー!」


留奈が勢い良く群れの中へ走るのを見て、俺は慌てて頭の上の定位置に座る。

万が一、何かあったら守れるように。





「…こんばんは。ワンちゃん」



「キャン!?…グルルル…」



一言挨拶した瞬間、複数の犬が留奈を鋭く睨み付け、威嚇の声を上げた。


そんな事は全く気にせず話を続ける。




「…ちょっと、相談。森に、帰って欲しい」


「…ここのおじさん、庭を荒らされて、困ってるって」

「…るなが、ご飯もお水も用意してあげるから――」




「ギャォン!!」




「きゃっ…!」



留奈が言い終える前に犬達は大きく叫び、俺達に向かって全員が飛び掛かってきた。

留奈は油断してしまい、その場に尻餅をついてしまう。



(危ねえ!留奈!)



――ビリッ!



俺は新しく付与したバフを使ってみた。

真っ白く光り輝き、全身から小さな雷が瞬間的に放電された。


…ゼウスみてえなチカラは使えない、か。



「キャンッ!」


俺に触れた犬は驚いて後退し、他の仲間と合流した。

あの感じだと、ダメージは入っていないようだ。




「留奈ちゃん!」

「留奈っ!」



2人は襲ってきた奴らを躱しながら、その場に座り込む留奈に向かって叫んだ。



「…っ、大丈夫。少し、びっくりしただけ」


強張った面持ちで言う留奈だが、その足は小刻みに震えていた。



「ガウッ!ガウッ!」


「こんのぉ!お仕置きが必要なみたいねっ!」


態勢を立て直し、今度は各々に向かって突撃してくる犬達。


澄香は杖を取り出し、魔法の準備を始めた。



「―――炎よ、出でよっ!」



杖が光った。


…だけだった。




「…えっ!?炎が出なっ、きゃああ!」




「危ないっ!澄香ちゃん!!」




「ヴゥッ!ギャン!」





「――――ぐっ…!」



動揺で体一つ動かせなかった澄香を、環は突き飛ばす。


同時に、背中に犬の牙が突き刺さった。



一瞬の静寂のあと


環の背中から、血の筋がスーっと通る。




(嘘、だろ?…血?)



「あ、ああっ…お姉ちゃんっ!」


「…だ、大丈夫。これくらい、全然痛くないわ♪」



背中を抉られたまま、額からジワジワと汗が流れてくる。

それでも環は澄香に強がった笑顔で言葉を紡ぐ。



「嫌っ!いやぁあっ!!」


「…!!すみ姉!落ち着いて!」


その光景を目にした留奈は異常なほどに膨れ上がる魔力の波動を感じた。


だが、その言葉は届かず…



ボオォオッ!!



澄香の杖の先に炎が渦巻き、特大の光球になる。


どんどん膨らむソレは、風を巻き込みながら俺達を飲み込むほど大きくなり…


そして、とてつもない速さで家の庭へと飛んでいき激しい光と共に爆散した。



「…クゥン」


犬達を巻き添えにし、辺りは焦げ臭い焼けた匂いが充満する。

怯えた犬達は情けない声を出すと、森の手前まで逃げて行った。



(やったか…?!)



「……アオォーーン!!」




俺の目の前が、真っ暗になる。



大きな雄叫びと共にズシン、と地面が揺れた。

巨大な狼が殺意に満ちた目で俺を見下している。

逞しい四肢が一歩前に出ると、倒れていた木を一瞬で薙ぎ倒した。


視線が合う。

俺はゴクリと息を飲んだ。




こいつが、親玉なのか…?




いや、それよりも――!



俺は後ろを振り返った。



環は体がボロボロになり、息も絶え絶えで澄香の前に立ち尽くす。

澄香は、顔面蒼白でへたり込んでいる。


かろうじて留奈は、火傷は負っているが体は動かせそうだ。




「る、なちゃん…頼りないお姉ちゃんで、ごめんね?」


「…いい…良いから!わたしがやる…だから、っ」


「………」






(あたしが、2人を?)


目の前に広がるのは赤い、血の海。


(皆を守るのは、あたしの役目…なのに?)


現実を受け入れ出した澄香の体は、ガタガタと震えが止まらなくなっている。



(くそっ…俺はもう庇う事しか出来ねぇ…!どうすれば…!)



凄まじいオーラで俺を見下す群れの主。

爪は巨大で、鋭く光る眼差し。

荒々しく伸びる太い牙。



―――勝てない。



そう思ってしまった俺の心臓は跳ね上がり、空気が重くなっていく。




絶望の第2ラウンドが幕を開けた。



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