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神様になったので妹たちを勇者にして世界最強にします  作者: ほっぺ


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パーティ①




世界の境界





皆が寝静まった頃、俺はここへ戻ってきた。


今日のチカラを知るために。




「おー!遅かったのぉ!来ると思っておったぞい!」


地べたに寝転がっていた妖精は俺に向かって羽ばたいて来た。



「…ああ、今日のスライムの件だ」


「何じゃ、もう分かっとるのか」



「当たり前だろ?俺はあの半身にそんな設定をつけた記憶はないからな」



「…なぁ、ゼウス。一体何をしてくれたんだ?」



その場に座り込み、真剣な眼差しを向けて問い掛けた。


小さく俯き暫く考えていたが、ようやく重い口を開けた。



「あれはな、ワシがやったんじゃ!」


「それは分かってるっての!」




「…守ってくれたのか?」


「当たり前じゃ!神のチカラが奪われるなぞ言語道断じゃからのぉ!」


「…チカラ、まだあるよな?」


「まあ、それなりに、な」



明らかに何かを隠しているが、俺はそれ以上何も聞けなかった。




「俺は…あいつらを最強にできればそれで良いって思ってた。でも、世界は広い」



「……」



無言で聞く。

俺の言葉が終わるまで。




「だからさ!俺、フーちゃんにめっちゃバフかけるわ!」



「…マジ!?」



予想していたのと違う答えに目を見開いて絶叫する。



「そんな事したらますます狙われるではないか!」

 

「安心しろ!やられないようにするだけだからさ」


「違う!そう意味ではなくて…」




「どれどれ?俺のステータスは、っと」



俺はゼウスの言葉に耳を貸すこともなく、フーちゃんのステータス画面を出す。



「…ひっく。最低値じゃん」


「持ち主のステータスが反映されてるのぉ」


「うるせえ!余計なこと言うな!」

「さて、始めるか…」




『コマンドを入力して下さい』



ピピッ


『MP 増加』『身代わり』

『発電』『体力増加』

『アクション』『器用』



フーちゃんにしてやれる、最低限のコマンド。

これ以上はあいつらの存在に関わるかもしれない。



「よし!これで少しくらい、役には立てるだろ…」



横で渋い顔をして画面を見つめる妖精。



「…何回くらい庇えるんじゃ?」


「分かんねえけど…多分、一回くらいしか出来ねえ」


「一回、か。それくらいでええ」

「それに…」


「それに?」


「…いや、何でもない。気にするな!」



一瞬、ゼウスの体が薄くなる。



突然の出来事に、俺は瞬きを繰り返した。



ゼウスは元気に笑っている。



あれ?気の所為、なのか?


いや、そんな筈はない。

でもここで聞いたって、ゼウスは答えてくれないだろう。




「何にせよ、これでお主も動けるようになった訳じゃな!」


「…おう!あいつらのサポートバッチリだぜ!」




「…一つ言うておくが…くれぐれも、干渉し過ぎるでないぞ?」



その一言だけで辺りの空気が一変する。



「あ、ああ、分かった」



ゼウスは無言で頷いた。





俺はフーちゃんに戻る。

顕現した瞬間、前よりも力が漲るのを感じた。


そして、横に留奈と共に深い眠りに落ちていく。





海が唸りを上げる。小さな船が渦に飲まれていく。


因果が、歪む。


世界が揺らいだ事を知っているのは神達だけだった。






翌日。






「皆ー!朝御飯できましたよぉー」



朝一番、環の号令で澄香と留奈が上から降りてきた。

留奈は俺を抱き締めて眠そうに呟く。



「…まだ、眠い…」


「ふぁああ…お姉ちゃんはいつも元気ね…」



澄香はボソッと本音を溢すと、俺に目線が向いた。



「何かさ、昨日より青くなってない?」


「…確かに、濃くなった」



俺を抱き締めたまま、留奈は頷く。



バフの所為か?

俺は暫く、窓ガラスの自分を見続けていた。



 

「うふふっ、今日は3人で!街へ行きましょうねぇ♪」



「そーね、あたしは昨日行けなかったし…今日から本番よ!」




「よし!じゃあ、準備してくる!」

「…わたしもー」



駆け足で階段を駆け上っていく2人。

俺を居間に残して…。



2人が用意をしている間、初めて環と俺だけの空間になった。



「ねえ、フーちゃん?」


「ぎゃっ!?」



突然の呼び掛けに飛び跳ねる。



「…あの時、助けてくれてありがとう」


「フーちゃんは…可愛いだけのモンスターじゃ、ないのよね?」


感謝を伝えながらもその眼差しは真剣だった。

環は俺に対して鋭い質問を投げ掛ける。



心臓が飛び出すくらい、跳ね上がった。



「…………」



俺の正体を見透かすような、熱い視線。




「ぎゃーー!」




俺は足早に庭へと走り去って行く。

ここでリアクションをしてはいけない…!



「あっ!?フーちゃん!…ふふっ、きっと優しい子なのよね…」



颯爽と駆け出す俺の背を見て、環は微笑ましそうに呟いた。






準備が出来た俺達は、今日もオルドへとやって来た。


第一の目標。


冒険者として登録する。


第二の目標。


金を稼ぐ。



ようやく3人揃ったんだ。

最強パーティが。



「うーん、まずは武器屋で何か買う?」


「…お金、足りない」


「ぐっ…じゃあ、依頼を受けに行きましょ!」


「…お金、足りない」


「もう八方塞がりじゃないのーっ!」



自分の提案を悉く却下され、頭を抱えながら膝から崩れ落ちる澄香。



「お、落ち着いて!澄香ちゃん!」


「うう…何よお姉ちゃん…策でもあるって言うの?」


「ええ!勿論!まずは冒険者登録所に行ってみましょ!」


「どうして?」


今にも泣き出しそうな声で尋ねる。

環は澄香を立ち上がらせ、手を引きながら話を続ける。



「昨日、草むしりをしたと言ったでしょう?」


「そう言えば…」


「あの仕事、実はギルドって所からの依頼だったみたいなの!」


「そうなの?」


「お金が欲しくて嘘、吐いちゃったんだけどね。でも、そのギルドに行けばお仕事は貰えるはずだわ!」


「…ほら、着いたわ!澄香ちゃん!」



初めて来た日、大変な目にあった場所。

3人がゴクリと息を呑み、ゆっくりと扉を開いた。





「いらっしゃいませ!冒険者登録所へようこそ――」




俺達の顔を見た受付嬢は固まっていた。




しまった!


あいつら、高そうな水晶ぶっ壊しちまったんだった…!!




(どうにか誤魔化さねえと――)




「あ、あなた方は…!」


「この前はお騒がせして申し訳ありませんでしたわ…」



申し訳ないと環は頭を下げるが、受付嬢は慌てて両手を横に振る。




「とっ、とんでもないです!実はあなた方にお話がありまして!」



「え、話、ですか?」



「この前、職業診断されましたよね!?」

「あの水晶が割れる事なんて今まで一度も無かったんですっ!」

「ギルドマスターも皆さんに興味が湧いたようで、ぜひ無料で冒険者登録を、と!」



澄香は目を輝かせて受付嬢に問い掛ける。



「つまり、今から冒険者ってこと!?」



「はい!そのようになります!」


「やったぁ!これでどんな依頼も受けられるのよねっ!?」


「いえいえっ、全部の依頼が受けられる訳では…」


「そーなのね…ふぅん」



残念そうに肩を落とす澄香を見つつも、環がまた受付嬢へと質問する。


「具体的には、どのような事をすれば良いのです?」


「あっ!こちらにお名前をご記入して頂ければ!」



「…名前?」



3人全員で顔を見合わせる。

その下で俺も頭を抱えた。



(文字の学習はさせてねえ…)

(そうだ!俺が代わりに名前書いてやれば良いじゃねえか!)



俺は一瞬で留奈の頭から飛び降り、素早く嘴でペンを握る。



「ええっ!?動物が字を書いてるっ!?」




受付嬢は目の前の事実に混乱している。

他の冒険者からも注目の的だ。



「……フーちゃん?」


「何かアホ鳥がやり始めたわよ…止めなくて良いの?お姉ちゃん」


「…うふふっ、何となくだけど…大丈夫な気がするわ♪」



俺は急いで3人分の書類を書き上げた。

現地の言葉で。



「あ、有難うございます!えーと…」




書き上げた書類を暫く凝視し…




「大丈夫です!皆さんは、パーティでの登録になりました!」



「冒険者として、これから頑張って下さいねっ!」





「パーティ?」




カウンターから離れながら澄香が反応する。


「あらあら、私達3人1組なのねぇ」

「…ん、わたしはそれが良い」

「まぁ…2人がそう言うなら、あたしは良いけど」



受け取ったギルドカードを3人は真剣に見つめる。



階級はD…1番下。


でも冒険者になった。


顔を上げる。自然と目線が合った。

3人は笑顔で見つめ合い、自分のカードを力強く握り締める。




「さぁ、冒険の始まりよっ!」





澄香の雄叫びを、ギルドマスターが聞いていた。

静かに、目を細めて。

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