第弐拾陸話 実戦訓練Ⅱ
気が付くと朝を迎えていた。どれほど眠っていたのだろうか、眠気や吐き気などは無いが記憶が曖昧だ
「取り合えず、ネラのところに行くかぁ……」
昨日の話ではネラも同じ宿屋に泊まっているらしく、状況を確認しに向かうことにした
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コンコンコン……
「ネラ!居る?」
部屋の扉をノックすると中で何やらドタバタと音がした
「ごめんね、寝てた?」
「うん、ビックリしたよ……どうしたの?」
「いやぁ実はちょっと昨日の五大老の話以降くらいからちょっと記憶が無くて……」
「あ~かなり飲んでたからねぇ……取り合えず今日は実践訓練だよ」
「今日の相手もネラ?」
「いや、ルシウス。曰く、二対一で指一本でも触れれば勝ちで良いらしい」
「私たち飛べないけどどうすれば良いんだろうね」
「あ、確かに……いや流石のルシウスも飛び出したりはしないでしょ」
「あの人ならやりかねない悪い意味での信頼がある」
「それはまぁ、確かに……」
「投擲武器とか作れない?」
「殺傷能力ついても良ければ……」
「私たちの攻撃避けられないルシウスが悪いし作ってから向かおう、卑怯とは言わせない」
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「あの~お嬢さん方?なんか途轍もなく物騒な物持ってるように見えるのは俺だけか?」
「「うん、ルシウスだけだよ!だから早く始めよう!!」」
「んな訳あるか、ちょっと一旦話し合おう」
「「はぁい……」」
「その手に持ってる岩で出来たモーニングスターみたいな武器はなんだ」
「あ、これ人用のボーラだよ。投げなければメイスとして使えるタイプのね」
「よく考えると飛ばれたら私たちどうしようもないので投擲武器を準備したんですよ」
「いや、流石に修行だって言ってるのに飛びはしねぇよ」
「ワタシ達としてはやりかねないからって事で作って来たんだよ」
「流石にそれ当たったら俺無事じゃすまないから置いてきなさい、オジサン飛ばないから」
「ちぇ、投擲武器で遊びたかったけど良いや。置いてこよ、ゼラム」
「はぁい」
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「と言うことで、仕切り直して修行内容は逃げ回る俺に指一本で良いから触れる事だ、勿論魔術を使ったって良いし俺がお前らに自発的に攻撃することは無いが迎撃はするからその辺は気を付けろ」
「「はい!!」」
「んじゃ、始めるぞ」
そう言うとルシウスは宙空に火炎球を一つ放った
「あいつが炸裂したらスタートだ」
パンッ
『影爪拳 朧飛歩』
弾けると同時にネラが朧飛歩で一気に距離を詰めた
「なんで当たらないの!!!」
「攻撃が大振りすぎるな」
「うわっ!!」
「ネラ、大丈夫!?」
「ったく容赦ないね本当に」
ルシウスが軽く弾いただけでネラが吹き飛ばされてきた
「これがSSランクか……」
「だね、私がどうにか一撃入れるから上手いこと撹乱できそう?」
「どうにかって、どうするつもり?」
「例えば分身作れる魔術とか知らない?」
「一応聞いたことは上級魔術の筈だよ?」
「大丈夫、魔術はイメージ出来れば発動できるってルシウスが言ってた」
「なら、ワタシが撹乱を続けるけどどれだけ時間稼げるか分からないから早く決めてね?」
「任せて、必ず決める」
「なぁ、作戦会議してないでかかって来いよ~俺まで飯食えなくなるだろ?」
「はいはい、今行きますよ」
『影爪拳 朧飛歩』
「何回同じ手使ったって無駄だって」
2人が戦闘を再開したのを確認すると私はイメージの構築に入った。思考、魔力、容姿、すべてを模倣する人形を作り出すイメージをする。意のままに操れる、私自身の身代わりを。
『水・樹二系統合成上級魔術 水樹傀影』
「おい、ゼラム!今の魔力はなんだ!?」
「私のとっておきですよっ!!!」
「おい、まだワタシに有効打入れてないで他所見する余裕あるの?」
「ゼラムがマジでヤバい気がするから急いでお前は倒させてもらうぞ」
一瞬ルシウスの意識がネラに向いたタイミングで形代には最大出力の身体強化をかけ、私は魔力を押さえた
「ったぁ!!!」
ルシウスが一撃でネラを吹き飛ばし形代に意識を向けた瞬間に忍びよる
「おいおいおい、流石にその出力じゃ長時間も持たないだろ」
「えぇ、なので一撃で決めます」
まるで意識を練るようなポーズを取らせ、意識を完全に向けさせたところで私はルシウスの背中に触れた。
「取った!!!」
「は!?ちょっと待てどうなってやがる」
「流石ゼラムだよ!!!」
「ルシウスが教えてくれたでしょ?魔術はイメージだって。だから私は私の完全な偽物を作り出す魔術を発動させたの」
「それがさっきのバカ魔力か……」
「あ、人形ちゃん消えちゃった」
「アレ魔力を伝達用の紐みたいにしてるから魔力バカ食いするんだよね」
「え、俺そんな事まで教えてないんだけど……?」
「多分同じ状況でルシウスならこうするかなって」
「それは……そうだな。しゃーない、今日も修行は終わりだ終わり」
「え、終わりで良いの?」
「今日はこれしかやる予定組んでないしネラも強いから疲れたし良いよもう」
「それじゃ、帰ろう帰ろう!!」
「あ、勝ったご褒美で今日もルシウスの奢りで!」
「元よりそのつもりだから安心しとけ」




