第51話 大地国の大軍勢
大魔王ソウマ(田峯壮馬):女神から「命の実」を託された、スキル?「城郭知識」「攻城知識」
アグレアス(消失):地2水2火2風2、スキル「知識(命の実とリンク)」、得物は鞭(鞭技)、奥義「彼岸の舞」
マルファス:地5水0火0風0、スキル「土木工事」「土人形創造IV」「遠隔活動」、得物はモーニングスター
ビフロン:地1水2火1風2、スキル「陽光召喚」「宝石加工」「死霊傀儡」「栽培」、得物はサック
ロレイ:地0水1火0風1、スキル「遠隔活動」「狩猟」「偵察」、得物は弓(弓技)
ピュセル:地0水5火1風0、スキル「水流操作」、得物は刀(刀技)
ハルパス:地3水0火0風3、スキル「経理」「兵站」「建築」、得物はハンドアックス
フルフル:地0水0火0風5、スキル「栽培」「精霊召喚」、得物は杖
ザガム:地0水4火4風0、スキル「酒造」「金属加工」、得物は長柄の鎚(鎚技)
ウサグー:地2水2火2風2、スキル「治癒」、得物は鞭(鞭技)
ソラス:地4水4火4風4、スキル「予知」「軍師」「大魔導」、得物はタクト
ビム:地0水0火5風0、スキル「戦鬼」、得物は大剣(剣技)
ゴブリンのセイル:地0水0火0風4、スキル「伝達」「転移」、得物は短剣
ソラス、セイル、ウサグーと共に主天守の上階へと向かい、一の丸の状況を確認。
既に戦闘は苛烈を極めており、緑の鎧を身に纏った兵たちと、骸骨兵たちが激しく斬り合いをしている。
「攻めよ! 攻めよ! 大魔王ソウマの首を挙げた者は恩賞は思いのままだぞ!」
そう叫んだのは、過去に二度ここに攻め込んで来ている冒険者風のおじさん。かつてここに来ていた商人の話によると、大地国の軍団長であるらしい。
「セイル。これからわらわの指示するように、そなたの風の妖精を伝令として飛ばしてくだされ」
ソラスが小さな緑色の石をセイルに渡す。
石を受け取ったセイルは、こくっと頷き、なにやらむにゃむにゃと呪文を唱え、トンボのような羽の生えた妖精を召喚。ではさっそくと、何かを指示しようとするソラスとセイルの間に手を挟み込んで制した。
「ソラス。その前にあの軍団長と話がしたいんだ。良いかな?」
ソラスが無言でセイルに合図を送る。するとセイルは、ぼんやりと輝く緑の石をこちらに向けた。
「大地国の軍団長、この声が聞こえるか?」
夢中で指示を与えていた軍団長が、その動きをぴたりと止め、周囲をキョロキョロと見渡す。
「その声は大魔王ソウマ! そのそっ首、今日こそ搔っ切ってやる。覚悟せよ!」
周囲に兵がいるから、威勢の良い態度を取らないといけなかったりするのだろう。セイルの妖精に向け、槍を向ける軍団長。
「その前に少し話が聞きたい。可能であれば交渉に応じようと思うのだが、どうか?」
軍団長の返答は「良いだろう」であった。
「こちらの要求はただ一つ。古王国の神器である風の笛の返却だ。とぼけても無駄だぞ。あのオカリナがここにある事は、もう調べが付いているのだ」
ソラスとセイルが同時にこちらを見る。「何の話ですか?」とソラスが小声でたずねる。だが、今はのんびりソラスに説明をしている暇はない。
「あれは俺がとある人物からいただいた物だ。あれにどんな意味があるかは知らんが、お前には返却できないな。あの時の狩人であれば考えない事も無いが」
すると軍団長は「くくく」と不気味な笑い声をあげた。
「狩人か。まあ狩人に見えなくもないか。あれは高原国の親衛隊長だ。そしてあの者はすでにこの世にはいない。あの国の姫を守ろうとして、派手に討死したよ。最後は同じエルフの兵たちにめった刺しにされ、肉片と化したわ」
あはははと高笑いする軍団長。槍を本丸に向けて掲げる。
「あれが無ければ、いくら神器を揃えても儀式ができないと知って、どこかに隠したところまではこちらも掴んでいた。だがまさか、何とか取られまいと、ここに託すとはな。考えたものよ」
軍団長がゆっくりと虎口を抜けて一の丸に足を踏み入れる。
「儀式というのはなんだ? オカリナが手に入ったら何ができるのだ?」
ふんという軍団長が鼻で笑う音が聞こえてくる。
「ここまで喋ったのだ。ついでだ。喋ってやろう」
――かつてこの地にあった芥子国。そこには光の石、水神の剣、虹の鏡という三つ神器があった。それはかつて、天の神がこの地に残していった四肢の欠片。
それを天の神に捧げるための神器もあり、それが大地の盃と風の笛。
それらはそれぞれ、尖塔、王立闘技場、生命の大樹、四連砦、高原の砦に収められていた。
光の石、水神の剣、虹の鏡を四連砦の大地の盃に向けて配し、高原の砦で風の笛を吹く。そうする事で天の神が三つの神器に宿った力を解放して加護を与えてくれる――
「つまりは、この地の絶対的な支配力を大地国が得る事ができるという事だ! わかったら大人しくオカリナを返せ!」
そう言って軍団長は左手の人差し指をこちらにピッと向けた。
何という苛つく態度だろうか。
「断る!」
俺の返答を聞くや否や、軍団長はセイルの妖精を槍で串刺しにした。
一の丸の戦況はまさに一進一退。とにかく敵兵の練度が尋常じゃなく高い。ハルパスが来てから、兵站スキルによって強化されて、圧倒的であった骸骨兵たちが押されに押されている。
優勢に戦っているのはマルファスのソロちゃんくらい。だがそのソロちゃんに軍団長が向かって行く。
「セイル。三の丸で待機しているビムたちに連絡。間もなく一の丸が突破されます。絶対に本丸に入れないように!」
ソラスが指示をして暫く後、一の丸と三の丸への扉が軍団長によって吹き飛ばされ、兵士たちが一斉に三の丸へ流れ込んだ。
すると、ソラスがなにやらごにょごにょと小声で指令を出し始めた。
たかが女性四人。兵たちは侮ってビムたちに闇雲に突っ込んで行った。だが、その兵たちは一瞬でビムの大剣の錆びと化した。
「そこの髭のおっさん。かかって来いよ。俺が相手してやる!」
ビムが大剣を片手で持ち、人差し指をクイクイと曲げて軍団長を挑発する。台詞が格好良いだけに、重ね重ね、萌え声であることが悔やまれる。
「抜かせ! 小童が!」
軍団長の槍からパリパリという音と共に閃光がほとばしる。
「『槍技 轟雷一閃』!」
雷をまとって光り輝く槍がビムを襲う。
ビムがそれを大剣の刀身で受け止める。
勝負はビムに軍配が上がった。大剣によって弾かれた槍に、ザガムが長柄の槌を振り上げる。その一撃で見事に槍の穂先が砕け散った。
ちっと舌打ちし、軍団長は次の武器である弓を手にする。だがそれも構える前にウサグーが鞭で絡め取ってしまった。
軍団長が周囲を見ると、驚く事に早くも三の丸に進入した兵の三分の一ほどが戦死していた。どの兵も矢で急所を一撃。後背にある二の丸の櫓から、ロレイが一矢一矢プチプチと兵たちを仕留めていたのだった。
「今日の勝負はお預けだ。だが、必ずオカリナは返してもらうからな!」
そう言って、軍団長は振り返った。相変わらず、判断も逃げ足も早い。
だが、三の丸を抜け、一の丸に入ろうという所でピュセルが立ちはだかっていた。先ほどソラスの指示を受け、じっと静かに待機していたのだ。
「い、いつぞやの、つ、続きをしましょうか」
ピュセルが正眼で刀を構える。
軍団長はそんなピュセルを忌々しいという目で睨み、懐から短剣を二本取り出して両手に持った。
身を低くし、両手を胸前でクロスさせてピュセルに突っ込んで来る軍団長。
踏み込みが鋭い!
刀を左から右に薙ぎながらピュセルはバックステップ。そのせいで、軍団長の短剣はピュセルの胸の辺りの服をバツ印に切り裂いただけに終わった。
そこで軍団長は足を止め、膝から崩れ落ちた。
バックステップの際、ピュセルの刀は、軍団長の首を真一文字に切り裂いていた。切り離された首が地面にゴロンと落ちて転がる。
無表情でその首にピュセルは刀を突き刺した。
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