第47話 四連国の襲撃
田峯壮馬:女神から「命の実」を託された、スキル?「城郭知識」「攻城知識」
アグレアス(消失):地2水2火2風2、スキル「知識(命の実とリンク)」、得物は鞭(鞭技)、奥義「彼岸の舞」
マルファス:地5水0火0風0、スキル「土木工事」「土人形創造IV」「遠隔活動」、得物はモーニングスター
ビフロン:地1水2火1風2、スキル「陽光召喚」「宝石加工」「死霊傀儡」「栽培」、得物はサック
ロレイ:地0水1火0風1、スキル「遠隔活動」「狩猟」「偵察」、得物は弓(弓技)
ピュセル:地0水5火1風0、スキル「水流操作」、得物は刀(刀技)
ハルパス:地3水0火0風3、スキル「経理」「兵站」「建築」、得物はハンドアックス
フルフル:地0水0火0風5、スキル「栽培」「精霊召喚」、得物は杖
ザガム:地0水4火4風0、スキル「酒造」「金属加工」、得物は長柄の鎚(鎚技)
ウサグー:地2水2火2風2、スキル「治癒」、得物は鞭(鞭技)
ソラス:地4水4火4風4、スキル「予知」「軍師」「大魔導」、得物はタクト
ドラゴンのビム:迷い込んだ暴れ竜
黒い糸のような霧が伸びて、それまで大暴れしていたドラゴンが気を失って大人しくなった。
さて、本丸へ運び込もうと、四人でドラゴンを持ち上げたのだが、これが何とも重たくて、一の丸を出ようとした時点でソラスがへばってしまった。ピュセルも顔が真っ赤。さすがに鍛冶を生業にしているだけあって、ザガムは涼しい顔をしているのだが、俺の腕は情けなくもプルプルと震えてしまっている。
ザガムも竜から手を離し、地面にへたり込んでいるソラスの前に立った。
「なあ、ソラス。私は風魔法の事はよくわからないんだが、フルフルを呼んだら、このデカブツを魔法で浮かせて運べたりはしないのかい?」
その指摘にソラスはパンと手を叩き、「その手があった」と言って立ち上がり、どこからともなくタクトを出し風魔法を唱え始める。するとドラゴンが薄い緑の風に包まれてふわりと宙に浮いた。
「あんたがやれるのかい!」
ザガムの冷静な指摘が妙に小気味良く、思わず吹き出してしまった。
ピュセルが拳を握りしめてソラスを睨んでいる。
「う、うちの軍師は、ちょ、ちょっと、ポ、ポンコツすぎじゃないでしょうか。ち、智の巨人が、き、聞いて呆れます」
ザガムとピュセルから顔を背け、ソラスは一人、ドラゴンをふわふわと浮かせて歩いて行く。
「凄いんだか、凄くないんだか……」
ソラスの背にそう呟くと、ザガムとピュセルが同時に笑い出した。
それからほどなくして、ドラゴンは目を覚ました。その時点で起きた者たちは温泉に行っており、部屋には俺とドラゴンの二人だけ。
目を覚ましたドラゴンは俺の顔をそのトカゲのような細い瞳孔でじっと見つめてきた。
「えっと、ビムだったね。体調はどうだい?」
その声にビムは半身を起こし、何かを言おうと口を開けた。
ぐぅぅぅぅ
ビムより先にビムのお腹が返答。恥ずかしさでビムは目をキュっと閉じて俯いてしまった。
「ああ、お腹が空いているのか。ちょっと待ってて。蜜柑を取って来るから」
隣の部屋が厨房になっており、そこの木箱から収穫した蜜柑をいくつか取り出し、ビムの下に戻った。
蜜柑を手渡すと、ビムは長い鍵爪の付いた手で器用に外皮を剥き、口の中にぽいと放り込む。さらにもう一つ、続けてもう一つ。それで少し落ち着いたようで、急に布団の上に正座をして頭を下げた。
「俺はビムです。この美味しい蜜柑の味は一生忘れません。俺は体が丈夫なのが取り柄です。ですから、何でも仰せ付けください」
……口調と声が全然合って無い。なんでこんなに声が高いの? なんでこんな「押忍!」みたいな口調なのに、こんな可愛い萌声なんだよ。
そこに風呂からソラスたちがぞろぞろと帰って来た。蜜柑の匂いに反応し、私も蜜柑を食べようと言って厨房に向かって行ってしまった。
最後にザガムがひょいとこちらに顔だけ出す。
「あ、そうだビム。あんたちょっと臭うよ。目が覚めたんなら、あんたも風呂入っておいでよ」
うなだれてプルプル震えるビム。あまりにも可哀そうで、まともにビムの顔が見れなかった。
◇◇◇
ビムはとにかくよく食べる。火の魔法が得意らしく、調理担当の一人として炒め物を担当してくれている。そのせいか、最近夕飯に中華料理がよく出るようになった。体を使う事が本当に好きらしく、よく骸骨兵に紛れて畑仕事で大はしゃぎしている。
そんなビムを、ソラスは一の丸に配置した。そこで少し経験を積ませようという事らしい。ところが、なかなか冒険者がやって来ない。もしかしたら周辺の冒険者は皆ビフロンの骸骨兵になってしまったのではないかと皆で笑い合っていた。
なかなか冒険者がやって来なかった理由、それはそこから何日か後に判明した。
かつて、ここに大軍を率いてやって来た白い鎧を身に纏った王。確か商人の話では四連国の王だという話であった。その王がこれまでとは比べ物にならない兵数で攻め寄せて来たのだった。
恐らくは大戦になるため、それに巻き込まれたくないと考え、冒険者は寄り付かなかったのだろう。
「ソラス、どこまでやっていいんだい?」
本丸の天守から王の軍隊を目の当たりにしたビムの第一声がそれであった。
「どうせ全て骸骨兵になるのです。一人残らずやってしまって構いません。王ごと全て。ただし、消炭にはしないでください。骸骨兵として使えなくなりますから」
それだけを聞くと、ビムは立てかけてあった大剣を肩に担いでゆっくりと天守を出て行った。
ソラスの指揮でマルファスのソロちゃんを中心に、ビフロンの骸骨兵が見事な配置で四連国の兵と対峙している。だが、これまで圧倒的に雑兵が多かった四連国の兵たちは、騎士が中心となっており、骸骨兵たちの攻撃がなかなか通らない。一体、また一体と骸骨兵たちが騎士たちの槍に粉砕されていく。
ソロちゃんは無双しているが、いかんせん敵の数が多く、攻撃を食らいまくり、マルファスの回復が追い付かず、満身創痍となっていく。
そんな極めて劣勢な状況の中、一の丸の扉が開き、ビムが入って来た。
「我はビム! 命のいらない者からかかって来い!」
三人の騎士がその萌え声を聞き、一斉にビムに向かって突っ込んで来る。ところが、ビムは大剣を肩に担いで棒立ちのまま。
そんなビムに騎士たちが一斉に槍を突き付ける。するとビムは自分の肩ほどの長さのある大剣を両手で持って豪快に横薙ぎにした。
三人の騎士の持っていた槍が綺麗に切断される。恐らく騎士たちは一瞬の事で全く気付かなかったであろう。自分の体までもが真っ二つにされていた事に。
そこからのビムを一言で形容するのであれば『戦鬼』。大剣をブンブン右に左に振るい、騎士たちを真っ二つに切り裂いていく。しかも相手が攻撃してくる前に大剣で薙ぎ払ってしまうので、全く手傷を負わない。その、あまりのビムの豪快な動きに、骸骨兵たちが巻き込まれないようにとビムから距離を取り、遠巻きに見ているだけになってしまっている。
バッタバッタと騎士たちを切断していくビム。
四連国の王はどうやら多聞櫓によって視界が遮られ、前線の状況がわからないらしい。騎士たちが次々に突入していくのを見て、大攻勢だと思ってしまっているらしい。「攻めよ! 攻めよ!」という景気の良い掛け声が聞こえてくる。
王の号令に合わせて騎士たちが次々に城内に突入して来る。そして先に突入していた者からビムの大剣の餌食となっていく。
騎士の三割ほどが血だまりに変えられたところで、ついに王が場内に進入した。虎口を抜け、喰違虎口も抜け、一の丸に進入した王が見た光景は、まさに凄惨な殺戮現場であった。
側近が「撤退しましょう!」と王に進言。王もその時点で撤退するつもりになっていたと思われる。だがビムは全力で王に向かって行き、退路に立ちふさがり、大剣を王に向けて構えた。
「さあ、俺と一騎打ちだ!」
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