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【完結】あの山にダンジョンを築城しよう! ~命の実を守るために俺だけの城に引き篭もってやる~  作者: 敷知遠江守
第十一章 平城(中篇)

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第46話 ドラゴンのビム

田峯壮馬:女神から「命の実」を託された、スキル?「城郭知識」「攻城知識」

アグレアス(消失):地2水2火2風2、スキル「知識(命の実とリンク)」、得物は鞭(鞭技)、奥義「彼岸の舞」

マルファス:地5水0火0風0、スキル「土木工事」「土人形創造IVソロちゃん」「遠隔活動」、得物はモーニングスター

ビフロン:地1水2火1風2、スキル「陽光召喚」「宝石加工」「死霊傀儡」「栽培」、得物はサック

ロレイ:地0水1火0風1、スキル「遠隔活動」「狩猟」「偵察」、得物は弓(弓技)

ピュセル:地0水5火1風0、スキル「水流操作」、得物は刀(刀技)

ハルパス:地3水0火0風3、スキル「経理」「兵站」「建築」、得物はハンドアックス

フルフル:地0水0火0風5、スキル「栽培」「精霊召喚」、得物は杖

ザガム:地0水4火4風0、スキル「酒造」「金属加工」、得物は長柄の鎚(鎚技)

ウサグー:地2水2火2風2、スキル「治癒」、得物は鞭(鞭技)

梟のソラス:地4水4火4風4、スキル「予知」「軍師」「大魔導」、得物はタクト

 ソラスにとって、俺への進言というのは経験値になっているらしい。指揮を執りたいと進言した翌日、早くもソラスは梟から女性へと姿を変えた。

 ……『ないすばでえ』が功を奏したわけではないと思いたい。


 その衣装は、白地に赤の矢絣柄の和服に紫紺のロングスカートという古めかしいもの。ここまでなら、ピュセルやロレイに似た格好なので新鮮味は無い。むしろ、ソラスの口調からすれば、かなり想像通り。

 驚いたのはその背。これまで最も小さかったマルファスを下回る背の低さ。顔も丸顔童顔で、まるで中学生のよう。見ようによっては小学生にも見える。だが、マルファスと違いそれなりに胸はある。髪型は長い焦げ茶の髪を首の後ろで髪飾りで束ねたという大人びたもので、ギャップが半端無い。

 声は子供っぽいのに、口調は老婆のよう。そして相変わらずの小声。


 何だろう、このそこはかとなく感じる背徳感は。



 この城の指揮をソラスが執るという話だったのだが、その内容は多岐に渡っていた。これまでそれぞれが思い思いに動いていただけなので、ソラスからみたら、ほぼ無秩序に見えていたのだろう。

 食事はザガムとウサグーとソラス、掃除はハルパスとフルフル、農作業はマルファスとビフロン、狩猟がロレイとピュセルといった感じに割り振った。さらには本丸での部屋割りから、戦闘時の基本行動まできっちりと決めた。


 それと、ザガムとビフロンには暇な時間にお宝を作ってもらう事になった。そのお宝は、一の丸の多聞櫓の奥と鍛冶場に宝箱を設置し、その中に入れておく。

 一の丸はマルファスの土人形ソロちゃんと、ビフロンがこれまでコレクションしてきた冒険者や敵兵の屍からなる骸骨兵が守っている。そこを抜けて多聞櫓に突入できた者には、お宝を持ち帰ってもらおうという仕組み。そうする事で、これまで以上に冒険者が財宝目当てにやってくるはず。



 そんなこんなで数日が経過。季節は厳冬となっている。

 だが、天守閣の中央に温泉があるおかげで居住空間は比較的暖かい。そんな暖かな部屋で食後の蜜柑に舌鼓。


 以前三の丸に植えていた果樹は、勇者の襲撃の際にほとんどが斬り倒されてしまった。ここが魔法やスキルの凄いところで、倒れてしまった木を切り株の上に立てて、ビフロンが魔法を唱えると見事に元通り。蜜柑も熟して甘酸っぱい香りと味を提供してくれた。


 ただ、こうしている間にもお宝を求めて冒険者たちがやってきて、骸骨兵となった元冒険者たちと死闘をを繰り広げている。食事中に断末魔の声が聞こえたりすると、若干食事が不味く感じてしまうのだが、これも命の実を黒橡色を保つ為。多少の事は我慢。


 そうは言っても、夜寝ている時に来る冒険者が本当に迷惑。前の世界で毎晩夜になるとどこからともなくやってくる珍走団を思い出す。もういっその事、夜来た奴はさっさと宝石を与えて追い返そうとソラスに相談した事がある。


「それだけはなりません。そんな事をすれば、冒険者内にこの洞窟は夜に忍び込めば楽勝だという情報が流れてしまい、夜の襲撃が今より増えてしまいます。むしろ逆に、昼間より夜の方が攻略しづらいと思わせるべきです」


 具体的には?

 そうたずねると、ソラスは目を細め口の端を片方だけ釣り上げ、悪巧みを思いついたような顔をした。


 ソラスの思いついた手、それはここの人たちの中でも一二を争う寝起きの悪さを誇るマルファスを叩き起こす事。

 無言で大暴れするソロちゃんから逃れた冒険者が噂を流してくれたおかげで、深夜の襲撃はほとんど無くなった。



 そんな事があり、そこから安心して寝むる事ができていたのだが、ある日の夜、とんでもない破裂音で叩き起こされる事になった。

 布団から跳ね起き、窓の外を見る。すると、一の丸のいたる所に火の手が上がっていた。


「なんですの、あれは……」


 隣の部屋で寝ているウサグーも、びっくりして様子を見に来た。姉もそうだったが、透け透けの寝間着が全く体を隠せていない。

 そのウサグーも、一の丸のあまりの惨状に呆れて口をあんぐりと開けてしまっている。


 一の丸では二足歩行の真っ赤な鱗のドラゴンが口から炎を吐き出して大暴れ。時折、「ギャオァ!」という雄叫びをあげ、塀を蹴り飛ばして壊しまくっている。


 ピュセル、ロレイ、フルフル、ザガム、ソラスと、次々に目をこすりながらやってきて、一の丸の惨状を目の当たりにして呆然。


「あ、ビムが来たのですね。壮馬様、すぐに命の実を持って契約に行ってくださいまし。このままだと城が壊されてしまいます」


 窓からドラゴンをじっと見ながらソラスは言った。そんなソラスを俺とウサグーが同時にじっとりとした目で見る。

 ソラスはぽわぽわした雰囲気を漂わせて一の丸をぼんやりと見ている。これはまだ寝ぼけている、そう感じたウサグーが、顔をずいとソラスに近付けた。


「ちょっとソラス、あなたお待ちなさいな。今あそこに行けというのは、死んで来いというのと同じ意味なんじゃありませんこと?」


 冷静な指摘を受け、ソラスがちらりとこちらを見て、はっとした顔をする。


「えっと、それではどなたかに壮馬様の援護をしてもらって……」


 皆から冷たい視線を浴び、肩をすくめるソラス。そんなソラスの態度に苛ついたザガムが、ギロリと睨みつける。


「おい、ソラス。お前、頭の中まだ寝てるだろ。ピュセル。頭から水かけてやれ」


 ザガムに言われ、無言でソラスの頭上に水の塊を発生させるピュセル。その顔はかなり不機嫌そう。

 水の塊は自由落下し、ソラスの髪をビシャビシャに濡らした。


「ど、どうですか? め、目は、さ、覚めましたか?」


 ポタリポタリとソラスの前髪から雫が垂れる。


「ありがとうございます。おかげで目が覚めました。さっそくですが、ピュセル、壮馬様の護衛をお願いします。ザガム。あなたも一緒に来てください。火焔魔法が飛んで来たら水魔法で防御をお願いします。わらわも行って支援いたします」


 三人に守られながら、暗闇の中、本丸を抜け三の丸へ。さらに三の丸から一の丸へ。

 一の丸の門を開けた瞬間に火の玉が飛んでくる。それをザガムが水魔法で包んで消火。


 その光景にドラゴンはいきり立ち、こちらに向けて口を大きく開けた。口の奥が白く輝く。


「あれはまずいです! ピュセル、ザガム、水の壁を!」


 ソラスの指示で、ピュセルとザガムが同時にゴニョゴニョと詠唱を始める。

 先にザガムが少し離れたところに水の壁を発生させ、次いでピュセルが近くに水の壁を発生させる。


 ドラゴンの吐き出した炎の柱が飛んできて、あっさりとザガムの水の壁を貫く。

その後ピュセルの水の壁に阻まれ、ジュウという音を立てて溶けて消えた。


「炎よ! 水よ! 風よ! 地よ! ここに集まりて、光と化せ!」


 ソラスの詠唱が終わり、突然ドラゴンの顔の前に光の球が現れた。

 こちらは眩しさに思わず顔を背けたが、ドラゴンはそういうわけにはいかなかったらしい。目を押えてドタンバタンとのたうち回る。


「壮馬様、今です! 命の実を!」

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