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【完結】あの山にダンジョンを築城しよう! ~命の実を守るために俺だけの城に引き篭もってやる~  作者: 敷知遠江守
第十章 平城(前篇)

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第41話 予知の刻

田峯壮馬:女神から「命の実」を託された、スキル?「城郭知識」「攻城知識」

アグレアス:地2水2火2風2、スキル「知識(命の実とリンク)」、得物は鞭(鞭技)、奥義「彼岸の舞」

マルファス:地5水0火0風0、スキル「土木工事」「土人形創造IVソロちゃん」「遠隔活動」、得物はモーニングスター

ビフロン:地1水2火1風2、スキル「陽光召喚」「宝石加工」「死霊傀儡」「栽培」、得物はサック

ロレイ:地0水1火0風1、スキル「遠隔活動」「狩猟」「偵察」、得物は弓(弓技)

ピュセル:地0水5火1風0、スキル「水流操作」、得物は刀(刀技)

ハルパス:地3水0火0風3、スキル「経理」「兵站」「建築」、得物はハンドアックス

フルフル:地0水0火0風5、スキル「栽培」「精霊召喚」、得物は杖

ザガム:地0水4火4風0、スキル「酒造」「金属加工」、得物は長柄の鎚(鎚技)

ウサグー:地2水2火2風2、スキル「治癒」、得物は鞭(鞭技)

梟のソラス:地4水4火4風4、スキル「予知」「軍師」「大魔導」、得物はタクト

 最後に一人残った女勇者だったが、完全に自我が失われているらしく、狂ったように剣を振っている。

 その都度、衝撃波が剣から放たれ、風の刃となって飛んで行く。狙いを付けていないので飛んで行く方向はでたらめなのだが、極稀にアグレアスたちに向けて飛んで行く。


 ザガムは奥義の発動で体力がほぼ尽きてしまったアグレアスの身を守り、ピュセルが必死に自分の腕を再生させようとしているウサグーの身を守っている。


 鳴り続けるガンガンという破壊音に驚き、マルファスとビフロンが様子を伺いに天守閣にやってきた。

 マルファスの姿を見てフルフルが、ここからでは魔法の制御が難しいと言って、風魔法を身に纏って二の丸へ降りて行く。


「気のせいやろか? だんだんあの女勇者の体が膨らんできとる気がするんですけど」


 ハルパスの指摘で気が付いた。ここに来た時、女勇者の体は女性にしては少し筋肉質という程度であった。だが今の女勇者はまるで重量挙げ選手のよう。しかも白っぽかった肌は、遠目から見てもわかるくらい橙色に変色してきている。


「恐らく、あの剣に込められた神の力が解放され始めているのでしょう。もうすぐあの女は完全に魂を剣に壊され、肉体を進化させ、新たな段階に進みます。わらわが見た予知の一つが、まさにその光景でした」


 ソラスが思いつめたような表情で二の丸を見つめる。


 すると突然女勇者の動きが止まった。両手を振ってはいるが、剣から手が離れてしまっており、まるで獣が敵を威嚇しているかのようになってしまっている。剣は女勇者の前の空間に浮かんでおり、女勇者を淡い緑の光線で照らしている。


「グギギギグァァァァァァァ!!」


 この世のものとは思えない女勇者の咆哮が洞窟内に鳴り響く。着ていた鎧が弾け飛び、服がビリビリと裂けていく。


「グガガガガグギギィィィィィ!!」


 四つん這いになった女勇者の体がぼこぼこと膨張していく。明らかに肌が硬質化しており、腰から尾のようなものが伸び始めている。

 

「マルファス、一の丸からソロちゃんを向かわせてくれ。ソロちゃんならまた作れば良い。だから背後から襲わせよう」


 マルファスがコクッと頷き、天守閣を飛び出して行く。


 二の丸を見ると、異形の化け物は大きく口を開いてアグレアスたちの方を向き、右手を伸ばして攻撃態勢を取っている。

 最後に宙に漂っていた剣が化け物の胸部にめり込む。それと共に化け物の目が赤く不気味に光った。


「汚ラワシキ、悪魔ドモヨ。神ノ裁キヲ、ソノ身ニ受ケヨ」


 誰の声かもわからない声が聞こえた後、化け物の口から光線が放たれた。

 化け物の狙いはピュセル。光線がゆらゆらとブレながらピュセルに向かって行く。

 どの程度の威力か見たかったのだろう。ピュセルは光線からひらりと身をずらして光線を避けた後で刀で斬りつけてみた。どうやら光線はかなりの威力があるらしく、剣先が粉々に砕け散る。


 アグレアスがゆっくりとピュセルに近寄り、それに合わせてザガムもじりじりと移動する。


「あの女勇者……だった化け物は風の力を使っていました。であれば恐らくは火には弱いはず。ザガム。確かあなたの火の魔法とフルフルの風魔法を合わせる事で、爆発させられましたわね。その高温で水魔法を蒸発させれば大爆発が起きるはず」


 アグレアスの話を聞きながら、ピュセルが砕けた刀の先を手でなぞっていく。水の塊が刃に定着し、刀が元の長さに戻っていき、それを再度目の前の化け物に構える。


「わ、私の水魔法は、ち、近くにしか発動できません。そ、そんな事したら、わ、私が、ま、巻き込まれてしまいますよ。うわっ!」


 化け物の口から再度光線が放たれ、ピュセルがひらりと身を避ける。だが服にかすったようで、右脇部の服が溶けてしまい、真っ白な肌が露わになった。


「ピュセル。あなたが魔法が苦手なのは知っている。だから、奴の頭上に水球を出してくれれば良い。あとは私とフルフルで上手い事やるから。それだけなら、今のあなたならできるでしょう?」


 ザガムも必死の表情をしている。

 ピュセルが背後をちらりと見る。

 ウサグーがダラダラと脂汗を流し、消えかかる意識の中、必死に自分の腕を魔法で再生している。このままでは、いつかウサグーに光線が当たってしまうだろう。恐らくそれを避ける気力は今のウサグーには無いだろう。


「わ、わかりました。つ、次の光線の、す、すぐ後に発動させます! そ、それを合図に!」


 決死の表情をするピュセルにザガムとフルフルが小さく頷く。


「汚ラワシキ悪魔ドモメ! 神ノ裁きヲ食ラヱ!!」


 化け物が一際大きく口を開け、胸の剣から緑色の光が口内に吸い込まれて行く。

 先ほどとは比べ物にならない光が口内に立ち込める。その光がピュセルたちに向けられた。


 そこにソロちゃんがやってきて、下半身を戟で突き差した。そのせいで化け物の顔が少し下に向けられる。だが化け物は構わず光を口から吐き出した。

 先ほどまでの光線とは異なり、まるで光の柱が伸びるかのように口内から吐き出される。地面がチリチリと音を立てて溶けていく。それが徐々にピュセルたちに近づいてくる。


 ピュセルが避け、ザガムが避け、フルフルが避け、アグレアスも避けた。だが、光線の先にウサグーがいる。


「ウサグー!!」


 アグレアスが鞭を伸ばしウサグーを光線の射線軸から移動させる。

 だが、化け物がウサグーを追って顔を動かした。そのせいで光の柱がウサグーを追いかける形となる。そのウサグーの前にアグレアスがいた。


 一瞬の出来事であった。


 光の柱がアグレアスを下から上に舐めるようになぞっていく。


 それと同時にピュセルが大きな水球を化け物の首の上に出現させる。そこにザガムが高温の火球を発生させ、それをフルフルが風魔法を送り、三つの魔法が合わさって大爆発が発生。その振動で洞窟の天井からパラパラと小石や砂が落ちて来る。爆風で埃が立ち上り、二の丸が煙に包まれる。


 埃をフルフルが風魔法で吹き飛ばすと、化け物はまだ生きて呻き声をあげていた。その体には大きな風穴が開いてる。

 千切れかけている胴をフルフルが風魔法で切断。さらにピュセルが駆け寄って首を跳ね飛ばす。

 ポロリと零れ落ちるように地に落ちた剣をザガムが鎚で叩く。剣に付いていた宝石が砕け散り、化け物の体が徐々に女勇者に戻っていく。



 化け物を倒し、一安心したピュセル、ザガム、フルフルが後ろを振り返ると、そこにいたのは一人だけ。

 足が震えて立つ事ができず、片手で這いながら、地に落ちた細い二本の腕に向かって行くウサグー。


「姉さん……姉さん……」


 残されたアグレアスの腕に少しづつ近づくウサグー。

 ザガムも、ピュセルも、フルフルも、すぐに状況を把握し、その場にペタリと座り込んでしまった。


 ウサグーがアグレアスの腕に辿り着き、ぎゅっと抱き抱える。


「姉さぁぁぁぁぁぁん!!」

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