表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】あの山にダンジョンを築城しよう! ~命の実を守るために俺だけの城に引き篭もってやる~  作者: 敷知遠江守
第十章 平城(前篇)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/52

第40話 アグレアスの奥義

田峯壮馬:女神から「命の実」を託された、スキル?「城郭知識」「攻城知識」

アグレアス:地2水2火2風2、スキル「知識(命の実とリンク)」、得物は鞭(鞭技)

マルファス:地5水0火0風0、スキル「土木工事」「土人形創造IVソロちゃん」「遠隔活動」、得物はモーニングスター

ビフロン:地1水2火1風2、スキル「陽光召喚」「宝石加工」「死霊傀儡」「栽培」、得物はサック

ロレイ:地0水1火0風1、スキル「遠隔活動」「狩猟」「偵察」、得物は弓(弓技)

ピュセル:地0水5火1風0、スキル「水流操作」、得物は刀(刀技)

ハルパス:地3水0火0風3、スキル「経理」「兵站」「建築」、得物はハンドアックス

フルフル:地0水0火0風5、スキル「栽培」「精霊召喚」、得物は杖

ザガム:地0水4火4風0、スキル「酒造」「金属加工」、得物は長柄の鎚(鎚技)

ウサグー:地2水2火2風2、スキル「治癒」、得物は鞭(鞭技)

梟のソラス:地4水4火4風4、スキル「予知」「軍師」「大魔導」、得物はタクト

「キィィィヤァァァァァァァァ」


 ウサグーの絶叫が洞窟の壁に反響。ビリビリという鋸刃のような音となって響き渡った。

 ボロボロの右腕を左手で抱えたウサグーが、激痛に耐えてゴロゴロと地面に転がっている。


「ウサグー、落ち着きなさい! 回復魔法を唱えなさい!」


 互いの武器をぶつけ合いながら、竜戦士と力比べをしているザガムがウサグーに命じる。


「う、ウサグー! お、お願い! お、落ち着いて!」


 刃の欠けた剣で女勇者とつばぜり合いをしながら、ピュセルがウサグーに向けて叫ぶ。だが、ウサグーはその腕の痛みに完全にパニックに陥り、ゴロゴロと地に転がったまま。


 ウサグーに向けて有翼の女が追撃となる魔法を唱える。それをフルフルの召喚した風の精霊が必死にバリアを作って防いでいる。だが有翼の女の方が優勢で、次々に魔法がバリアから漏れて飛んでくる。


 先ほどから、命の実が黒い霧をウサグーに向けて放ち続けてはいる。だがピュセルが翼を砕かれた時もそうだったが、命の実の回復の早さは、残念ながら非常に遅い。

 このままでは、有翼の女の魔法がウサグーの止めを刺してしまうのは時間の問題。


 そうは言っても、戦力になりそうなのはソロちゃんとアグレアスくらい。ソロちゃんは風魔法との相性が悪くてあの場所に近づけないし、アグレアスがここを離れた場合、もし有翼の女がここに踏み込んで来たらひとたまりもない。

 駒が無い。ここからどうしたら良いかは見当が付かない。


 そんな絶望的な顔をする俺の前にアグレアスが背を向けて立った。


「フルフル、ロレイ。今からわたしくが最近覚えた奥義をお見せします。五秒だけ。五秒だけあいつらの動きを止めます。ですけれど、もしかしたらあの勇者には効かないかもしれまん。それでも従者二人には効くでしょう。合図をしますから、二人で仕留めてしまってください」


 そう命じてから、アグレアスが梟のソラスをきっと睨みつける。ソラスがまん丸い目を閉じてうなだれる。


「アグレアス、いったいどうする気なんだ?」


 アグレアスの腕を掴んで、制するようにたずねる。


「残念ですけど、ここからでは彼らの時を止める事はできません。ですので、二の丸に降りて、あの女勇者と対峙しながら奥義を発動いたします。そうしないとこのままではウサグーが……」


 アグレアスの必死の目に気圧されてしまった。その長い睫毛が美しい瞳に。


 アグレアスが優秀な軍師だと言うからここまでソラスを中心に対策を練ってきた。だが、アグレアスを二の丸に降ろすなという進言には未だに疑問を抱いている。

 これまで、こういう場面で最終的になんとかしてきたのはアグレアスの鞭技であった。それを本丸の防備に充てろというのは、この城でもっとも強い駒を活かすなと言ってるのと同じなのではないかと。


「ウサグーを頼む。くれぐれも冷静にな」


 その言葉を聞いて、梟のソラスがまん丸の目をきゅっと閉じうなだれてしまった。


 不安そうな顔をする俺に、アグレアスはいつもの微笑みを向け、そっと唇を合わせてきた。いつものアグレアスの香りが、ふわっと鼻腔を襲う。


 目を開けた時には、もうアグレアスは天守閣から本丸の塀の上に飛び降りていた。

 ウサグーに止めを刺そうと魔法を発動していた有翼の女の手首に鞭を絡めるアグレアス。そのせいで発動した無数の氷の氷柱が勇者に向かって放たれる。


「新手!? くそっ、次から次へと!」


 剣の風圧で氷柱を砕いた女勇者が、忌々しいという目でアグレアスを見る。

 よそ見をした女勇者にピュセルが容赦なく斬りかかり、女勇者の胸鎧のベルトの片方が切れる。


「一つだけ聞かせてくださいませんか。どうしてここに来たのです? 神のお告げか何かですか?」


 有翼の女の動きを止めているアグレアスと、ピュセルと鍔迫り合いをしている女勇者が睨みあう。


「神のお告げ? そんなんじゃないわ。お前たちのせいで祖国が亡びたのよ! だからそのお返しをしに来たのよ!」


 女勇者が強引にピュセルに斬りかかり、ピュセルを後退させる。

「どういう事?」と聞き返すアグレアスに向け、女勇者が剣を振り、剣から発せられた風圧が風の刃となってアグレアスを襲う。

 その前にアグレアスは二の丸に飛び降りた。


「とぼけるな! お前たちがあんな呪われた宝石を渡したから、大地国の王弟の娘が石化してしまったんじゃないか! そのせいで私たち闘技国は大地国の報復を受けて……」


 女勇者は体をぷるぷると小刻みに震わせたかと思ったら、突然闇雲に剣をぶんぶんと振り出した。その都度、風の刃があちこちに乱れ飛ぶ。


「なんですの、それは。そんなの完全に逆恨みではありませんか。あなたの国の王女がここで乱暴狼藉を働いたのに、わたくしたちは手土産を持たせて帰したのですよ。感謝されるならわかりますけれど、恨まれる覚えなどありません」


 アグレアスの冷静な指摘に、女勇者はさらに激昂。「黙れ、黙れ」と連呼し、ぶんぶんと剣を振う。その都度、発生した風の刃があちこちに当たり、塀や石垣が崩れる。


「王は公開処刑となり、王妃と姫様も辱めを受けた上で殺された。村々も略奪され、多くの者が命を落とした! 私の村も焼かれて、友人たちは全員殺された! あの優しかった人たちが、お前たちのせいで全員殺されたんだよ!」


 わあわあと喚きながら無造作に剣を振る女勇者。それまで保っていた自我が、怒りによって崩壊してしまったらしい。「きぃぃぃぃ!」という発狂したかのような奇声をあげている。

 そんな女勇者の剣から、何やらとてつもない禍々しい気配が漂ってくる。


「フルフル! ロレイ! いきますわよ!」


 そう叫ぶと、アグレアスは鞭をくるくると踊らせながら自身も舞い始めた。ひと舞ごとに鞭から深紅の花弁が現れて、まるで降った雪が溶けるように、地に落ちて消える。


「咲き誇れ! 奥義『彼岸の舞』!」


 一瞬でアグレアスが深紅の花弁に包まれる。

 女勇者は相変わらず絶叫しながら剣を振るっているが、竜戦士と有翼の女が完全に動きを止めた。

 だが止まっているのは二人だけではない。ピュセルとザガム、ウサグー、風の精霊も動きを止めてしまっている。


 アグレアスの奥義の発動に合わせ、ロレイが有翼の女に矢を撃ち込む。さらにフルフルも風魔法を発動。だが、竜戦士たちに近づいた時点で矢も風魔法も動きを止めた。それを見てロレイは次々に矢を放ち、フルフルは風魔法を連続して放った。


 アグレアスを包む深紅の花弁がすうっと頭上から消えていく。最後の花弁が地で溶けると、時間停止も解け、竜戦士たちが動き出す。

 その瞬間、竜戦士は全身を無数の風魔法に切り裂かれ、有翼の女は全身を矢が貫いて針山のようになった。ザガムが鎚で竜戦士の頭を叩き潰し、風の精霊が風の刃を放ち有翼の女の首を跳ね飛ばす。


 これで残りは発狂している女勇者のみとなった。

よろしければ、下の☆で応援いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ