第33話 闘技国の内情
田峯壮馬:女神から「命の実」を託された、スキル?「城郭知識」「攻城知識」
アグレアス:地2水2火2風2、スキル「知識(命の実とリンク)」、得物は鞭(鞭技)
マルファス:地5水0火0風0、スキル「土木工事」「土人形創造III」「遠隔活動」、得物はモーニングスター
ビフロン:地1水2火1風2、スキル「陽光召喚」「宝石加工」「死霊傀儡」「栽培」、得物はサック
ロレイ:地0水1火0風1、スキル「遠隔活動」「狩猟」「偵察」、得物は弓(弓技)
ピュセル:地0水5火1風0、スキル「水流操作」、得物は刀(刀技)
鳩のハルパス:地3水0火0風3、スキル「経理」「兵站」「建築」、得物はハンドアックス
鹿のフルフル:地0水0火0風5、スキル「栽培」「精霊召喚」、得物は杖
牛のザガム:地0水4火4風0、スキル「酒造」、得物は長柄の鎚(鎚技)
――かつてこの地には『芥子国』という王国があった。
ある時、国王がクーデターにより殺害され、王子の一人がこの山に逃げ込んだ。王子はこの山の悪魔の力を借り、兵を集めて宰相のいる大地の宮殿に攻め込んだ。
宰相を攻め殺した王子は宮殿で即位し、芥子国を再興した。
だが王は悪魔に逃げられ、王と共に宰相の討伐に尽力した五人の腹心は、それぞれの領地で独立。
芥子国では王が亡くなり、王子が後を継いだのだが、今度はその弟が反乱。弟は兄である王を攻め滅ぼし、大地国を樹立しその初代国王となった。
そこからしばらくは、大地国が他の五か国を従えるという関係が続いた。
ある時、四連国と尖塔国が大地国の盟から離反。
四連国を討伐しようと大地国は兵を送ったのだが、大地国はその戦いに敗れてしまった。
以降、六国の外交関係は崩れ、大地国は盟主の座から引きずり降ろされ、闘技国、生命国と微妙な同盟関係を築くだけの状態となった。
大地国の王宮である大地の宮殿には、芥子国時代の宝物が収められている宝物庫というものがある。基本的に宝物庫の宝物は全てリスト化され徹底管理されているのだが、掃除をしていた時に壁の一部が抜け落ち、そこから新たな宝箱が見つかった。
そこには一緒に手紙が添えられており、その手紙によるとその宝箱は『芥子国を再興した王子が、どうしようもなくなった時に開けよと言って悪魔から授かった物』と書かれていた。
話を聞いた王妃は、きっとこの中から財宝が沸き出てくるに違いないと、迷わず財宝の鍵を開けた。蓋を開けると中から白いガスが噴き出てきて王妃を包み込んだ。
ガスはすぐに霧散したのだが、王妃は大理石像に変えられてしまっていたのだった。
変わり果てた王妃を元に戻す為、若き王は幼い我が子を連れて、ディアポリ山の悪魔を探す旅に出た。
それから数年以上の歳月が過ぎたのだが、未だに国王は国に戻らない――
あくまでそういう噂だと商人は説明した。
「でも、なんでわざわざ王が自ら? そんなの部下にでも探らせれば良いじゃないですか」
その俺の疑問に商人じゃなくアグレアスが回答した。
「探し出した者が悪魔の力を借りて攻めて来る事を恐れたんじゃありませんこと? その芥子国の王子とやらも身一つでこの山に来て、王城を攻め落としたというお話でしたわよね」
自分もそう思うと商人も賛同した。
「恐らくですが、弟はもう兄が戻らない事を見越して、他の国にここを攻めさせて疲弊させ、武力によって六国を統一しようと目論んでいるのではないかと」
つまりは芥子国の復活。
「で、その弟というのが、あの髭のおじさんか」
これまでに二度ここに襲撃に来た事を伝えると、商人は首を傾げた。
「王弟はそない武闘派な人と違いますよ。どちらかいうと陰謀家いう感じの人ですから。今の話ぶりやと、それは騎士団長くさいですね」
元は王の執事をしていた男らしい。
国王の師範ができるほどの腕前で、王弟が権力を握った際に騎士団長に任命されたのだとか。
「陰謀家か……そういえば、姫がここにさらわれたと言ってやって来た尖塔国の奴は、そういう情報を生命国の王室から貰ったと言っていたな。という事は、それもその王弟という人物が……」
そこまで言うと、外から何やら姫様の悲鳴が聞こえてきた。
三人は顔を見合わせ、四の丸の多聞櫓へ向かい、窓から下の一の丸を覗き込んだ。
すると、下着一枚で柵に縛り付けられた姫様が真っ赤な顔できゃあきゃあと金切声をあげていたのだった。
聖職者風の男も魔術師風の老人も同じく下着一枚。その前で骸骨兵がカランコロンと音を立てて剣の稽古をしている。
どうやら従者二人より先に姫様が目が覚ましたらしい。
「やかましいですわね。もう一度黙らせてやろうかしら」
鞭を手に一の丸の姫様を睨みつけるアグレアス。
そんなアグレアスに商人が待ってくれと拝みこんだ。
「姫様は説得いたします。そやから、なにとぞ手荒な事だけは! この埋め合わせは必ずさせてもらいますから!」
「どうしますか?」と、アグレアスがこちらに判断を仰いだ。
「まだ大事な事が聞けてないんだよな。なぜあの姫様がここに来る事になったのか、その理由だよ。それを聞かない事には判断ができない」
そう言って商人の顔を見ると、商人はわかりましたと言って頷いた。
少なくとも交渉に応じてくれる気にはなってくれたと感じたらしく、少し安堵した顔をしている。
三人で歩いて一の丸へと向かった。
その間、商人は今の闘技国の置かれた状況について説明をした。
――闘技国は今、危機に瀕しているらしい。
その原因は大地国からの供託金の引上げ。
闘技国と大地国の関係は対等ではなく、大地国に競技国が従属しているという状況らしい。そのため、春と秋、二回大地国に対し供託金というものを支払っている。
ようは同盟を金で買っているという状況。
供託金はどんどん値を吊り上げられ、ついには財政ぎりぎりまで要求される事になった。
供託金を支払うために王国は税率をどんどん上げていった。際限なく上がる税率に、ついに領民が国を捨てて始めてしまっている。だが供託金が払えなければ、当然大地国は容赦無く軍隊を差し向けてくるだろう。
「もう闘技国は国として詰んでもうてるんですよ」
商人は暗い表情でそう呟いた。
「私に対してこんな恥辱、絶対に許さないんだから!」
どうやらこちらの姿が視界に入ったようで、下着一枚の姫様が真っ赤な顔でこちらを睨んだ。
「にゃあにゃあと、まったく小うるさい子猫ですこと。下着一枚が何ですの。その一枚も剥ぎ取って差し上げてもよろしいんですのよ。それともそれ以上を望まれますの?」
アグレアスの恫喝に、骸骨兵たちが剣を掲げで顎をカタカタ鳴らして喜んでいる。
姫様は顔を青ざめさせ、目を見開いて黙ってしまった。
「何の目的でここに来た? 返答次第では話を聞いてやらん事も無い」
俺の問いかけに最初は威圧的な目で睨んでいた姫様だったが、ふっと何かを諦めたように下を向いてしまった。
「この山から財宝を奪って来いって言われたのよ。そうしたら一年間供出金の支払いは免除してやるって……」
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