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【完結】あの山にダンジョンを築城しよう! ~命の実を守るために俺だけの城に引き篭もってやる~  作者: 敷知遠江守
第八章 平山城(中篇)

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第32話 商人の交渉

田峯壮馬:女神から「命の実」を託された、スキル?「城郭知識」「攻城知識」

アグレアス:地2水2火2風2、スキル「知識(命の実とリンク)」、得物は鞭(鞭技)

マルファス:地5水0火0風0、スキル「土木工事」「土人形創造IIIソロちゃん」「遠隔活動」、得物はモーニングスター

ビフロン:地1水2火1風2、スキル「陽光召喚」「宝石加工」「死霊傀儡」「栽培」、得物はサック

ロレイ:地0水1火0風1、スキル「遠隔活動」「狩猟」「偵察」、得物は弓(弓技)

ピュセル:地0水5火1風0、スキル「水流操作」、得物は刀(刀技)

鳩のハルパス:地3水0火0風3、スキル「経理」「兵站」「建築」、得物はハンドアックス

鹿のフルフル:地0水0火0風5、スキル「栽培」「精霊召喚」、得物は杖

牛のザガム:地0水4火4風0、スキル「酒造」、得物は長柄の鎚(鎚技)

「遅かったか……」


 洞窟に二人の荷物持ちを従えて商人が焦り切った顔でやってきて、地に倒れた三人を見てそう呟いた。


「そやから言うたんですわ。穏便な交渉を心掛けんと、冗談は通じへん人らでっせって」


 そんな商人にもアグレアスたちは戦闘態勢を崩さない。

 となりのロレイも弓を構えて、商人をロックオンしている。


「壮馬様と話をさせてもらえまへんでしょうか?」


 それでもなおアグレアスたちは戦闘態勢を崩さない。

 骸骨兵たちはカランコロンと音を立てながら地に倒れた三人を縛り上げている。

 骸骨兵の一人が姫様の首筋に剣を当てており、いつ首が落とされるか、商人は冷や冷やした顔でちらちらと見ている。


「壮馬様なら――」


「そ、そう思うのなら、ぶ、武器を捨てたら、ど、どうですか」


 ピュセルの恫喝にはっとして、商人はすぐに持っていた特殊な形状の槍をその場に置いた。さらに背負い鞄も置き、身に着けているものを次々に脱いでいった。服も脱ぎ、縞々の下着一枚になった。


 荷物持ちの従者にも同じようにしろと命じる。


「壮馬様と交渉をさせていただけまへんでしょうか?」


 商人はしゃがみ込んで頭を地に擦り付けた。


「よろしいですわ。ただし、商人、あなただけ。他の二人はここで拘束させていただきます」


 荷物持ちの二人は不安そうな顔をしながらも、商人から「大人しくしていれば大丈夫」と言われ、渋々承諾した。



 こうして骸骨兵が荷物を持ち、その後ろからトーガに下着一枚というまるで就寝スタイルの商人が、アグレアスの案内で四の丸の屋敷まで護送されてきた。


「単刀直入に言います。姫様たちを解放してはいただけませんでしょうか。もちろん無料とは言いません。それなりの物をご用意させていただきます」


 そう言って商人は見事な装飾品、見事な模様の布を鞄から取り出した。

 そんな商人をじっと観察する。

 笑顔を作ってはいるものの、口の端が引きつっている。恐らくは誰かに命じられて来たか、祖国が致命的なやらかしをしたと感じて駆けつけたか。


「商人。確かあなたは以前、王国とは無関係だと言ってませんでしたか? それが何故、姫様の解放を申し出てきているんです?」


 言われると思った。いかにもバツが悪いという感じに商人は口元を歪めた。


「あの頃から、この山を取り巻く情勢が変わってもうたんですわ。あの頃からしたら、えらい緊迫してもうてて、無関係を貫けなくなってもうたんです」


 そう言って商人は鞄から地図を取り出した。



 ――この山の周囲には六つの王国がある。

 六国は元は一つの王国だったのだが、ある時に分裂し、その時に六国は特徴的な建物のある都市を王都に定めた。


 生命の大樹を王都にした『生命国』

 尖塔を王都にした『尖塔国』

 王立闘技場を王都にした『闘技国』

 四連砦を王都にした『四連国』

 旧王都である大地の王城を王都にした『大地国』

 高原の砦を王都にした『高原国』


 商人はその中の『闘技国』という国に店を構えている。この国の第一王女が今一の丸で伸びている女性で、他の二人はその教育係と従者。

 ある日、『闘技国』の国王は王家専属の占い師からディアポリ山に何やら住み着いた者がいるという話を聞いた。

 元々ディアポリ山は例の悪魔の伝説のある山である。それで国王は近衛兵の一人を派遣した。

 だが、残念ながら近衛兵は帰っては来なかった。


 商人がディアポリ山に『四連国』が兵を差し向けたという情報を得たのは、近衛兵が帰らないという情報を聞いたすぐ後くらいの話であった。

 しかも敵わず撤退したという。

 六国の中でも最も精強な軍隊を有する四連国の敗退は、かなり衝撃的であった。


 そこで商人は交易を通じてこの山の情報を得ようと考えた。

 もちろん、最大の目的はここの情報を売ってお金にする事。


 だがその売った情報の正確さから商人は有名になってしまい、他の国から狙われる事になってしまった。

 そこで商人は渋々王家に庇護を求める事になったのだった――



 つまりは、この商人は危ない橋を渡って大儲けするはずが、欲の皮がつっ張りすぎて足を踏み外してしまったという事なのだろう。


「まあ、正直あなたが最初にここに来た時に、目的はここの情報だろうという気はしていたよ。どのみち俺たちにとってはその方が都合が良いかもしれないって思って、あなたを受け入れたんだ」


 とくに驚いた反応を示さないところを見ると、商人も薄々そうだろうと感じていたといったところだろうか。

 そんな商人に地図の中の一か所を指差した。


「じゃあ次に、この国の事を喋ってくれ。ここに来たやつがこの国の事でおかしな事を言ってたんだ。ここの国に姫がさらわれたってね」


 商人は大きく頷き、その国『大地国』の内情を話し始めた。


「この国は長く王がおらへんのです。そこで王の弟が摂政として統治しとるんですが、この男が実に好戦的な男で、軍団長に命じて隣の高原国に侵攻を繰り返しとるんですわ」


 これで、前回来た狩人の言っていた事と話の整合が取れた事になる。


「何故王が長期不在なんていう事に? 不在なら普通は行方不明という事にして、その弟が戴冠してしまうものなのでは?」


 商人は初めて驚いた顔をして、こくっと頷いた。


「あくまで噂なんですがね、実はその国の王が王子を連れて旅に出てもうてるいう話があるんですよ」

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