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【完結】あの山にダンジョンを築城しよう! ~命の実を守るために俺だけの城に引き篭もってやる~  作者: 敷知遠江守
第七章 平山城(前篇)

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第29話 姫を返せ!

田峯壮馬:女神から「命の実」を託された、スキル?「城郭知識」「攻城知識」

アグレアス:地2水2火2風2、スキル「知識(命の実とリンク)」、得物は鞭(鞭技)

マルファス:地5水0火0風0、スキル「土木工事」「土人形創造IIIソロちゃん」「遠隔活動」、得物はモーニングスター

ビフロン:地1水2火1風2、スキル「陽光召喚」「宝石加工」「死霊傀儡」「栽培」、得物はサック

ロレイ:地0水1火0風1、スキル「遠隔活動」「狩猟」「偵察」、得物は弓(弓技)

ピュセル:地0水5火1風0、スキル「水流操作」、得物は刀(刀技)

鳩のハルパス:地3水0火0風3、スキル「経理」「兵站」「建築」、得物はハンドアックス

鹿のフルフル:地0水0火0風5、スキル「栽培」「精霊召喚」、得物は杖

「姫を返せ! この洞窟にさらわれたのはわかっているんだ!」


 突然の出来事だった。

 いつものようにロレイが引っ張り込んで来たわけでもなく、迷い込んだ動物を追って来たわけでもない。


 男は勇敢にも一人で現れた。しかも正々堂々と大手門から。


 四の丸の屋敷ができてから、ピュセルが一の丸の番人となっている。

 この時もピュセルが応対したのだが……


「な、何の事ですか? ひ、姫とは?」


 大手門の門扉越しにピュセルはたずねた。


「女、その口調、何か隠しておる口調だな。大人しく姫を返せ! さもなくば無理やりにでも返して貰う!」


 洞窟内はガランとしている。

 その関係で大声で叫ぶと洞窟の壁に反射する。


 何やら大手門で揉め事らしいと、アグレアスと一緒に屋敷から四の丸の多聞櫓へ向かった。

 その時であった。ドゴンという破壊音が洞窟内に轟いた。


 大慌てで多聞櫓の窓から覗き込むと、大手門は男の攻撃で大きな風穴が開けられていたのだった。

 そこにいたのは銀色の全身鎧に身を包み、かなり重量のありそうな馬上槍を抱えた騎士であった。

 上げられた面当てから見える顔は、かなり豊かな薄茶の口髭。


「もう一度言う。大人しく姫様を返せ!」


 馬上槍を軽々と片手で持って騎士はピュセルにじりじりと詰め寄っている。

 一方のピュセルは刀を両手で持って正眼に構えている。


「あ、あなたが、な、何を言っているのか、よ、よくわかりませんが、こ、ここには、だ、誰も、き、来ていません」


 騎士が眉をひそめる。


「ならば、何故、かように何か隠しているような物言いをするのだ?」


 騎士の指摘に、ピュセルが顔を真っ赤に染める。


「こ、この喋りは……う、生まれつきです」


 ピュセルの剣先が下がったのを見て、騎士は大きく踏み込んで槍を繰り出した。


「問答無用!」


 その槍をピュセルが半身身を捻ってかわす。


「この洞窟に姫様がさらわれたととある者が教えてくれたのだ! 姫を返せ!」


 騎士は避けられた槍を強引に横薙ぎにした。

 たまらずピュセルは三歩後ろに退く。

 だが、着物に槍が当たったらしく、片手で胸の部分を隠している。

 片手を封じられ、圧倒的不利な体勢のピュセル。


 すると、そこにアグレアスが現れた。

 ……いつの間に塀を飛び降りたのやら。


「あなた、どこからそんな情報を聞いたんですの?」


 騎士が言った王国の名「大地国」、それは以前兵を率いてやってきた冒険者風のおじさんの国だ。

 もしかして、この騎士が言っているのは先日アグレアスたちが半殺しの状態で放置したあの二人の女性のどちらかだろうか?


 アグレアスももしやと思ったらしく、鞭を小刻みに動かしながらたずねた。


「褐色の肌? 我らが姫君はそれそれは美しい透き通るような白い肌だ。髪色は確かに菫色だがな」


 恐らくは別人。

 騎士の返答でアグレアスもそう判断したらしい。鞭を揺らし騎士に向けて蛇が威嚇するように動かす。


「あなた、騙されたんですわ。あなたの国が私たちのところに攻め込んで私たちの戦力を少しでも削ごうとして。それに利用されたんですわ。間抜けな方ですわね」


 アグレアスの言い方は、丁寧なのだが棘がある。

 騎士はわなわなと震え、腰の短剣をアグレアスに投げつけた。


 アグレアスがそれを鞭で払い落とすと、鞭が伸びたのを見て、馬上槍をアグレアスの胸に向けて突き出した。

 一歩アグレアスが下がった事でギリギリ槍は届かなかった。アグレアスの胸の大きさが控えめだったというのもあるかもしれないが。


 騎士は歩を進め、その伸ばした槍に体の位置を合わせてもう一度槍で突こうとする。

 だが、アグレアスが騎士の鎧の隙間に鞭を叩きつける。

 すると、鎧の留め具が壊れ、胴に付けていた甲冑がコロンと地に落ちた。


 手足の具足と兜、そして何故か苺が散りばめられた柄の可愛い下着。

 騎士はそんな自分の恰好に気にも留めず槍を伸ばした。

 身軽になった分槍を突き出す速度が早い。


「ちょっと、あなた、その恰好、いくらなんでも見苦しいですわよ……」


 するりと槍をかわしたアグレアスが顔をしかめる。


「み、醜い……」


 ピュセルが思わず顔を背ける。

 それを見た騎士は好機とばかりにピュセルの方に槍を伸ばした。


 ピュセルが少し小ぶりな胸を抑えながら、数歩下がって槍を避ける。

 そこに更に槍を突き付ける騎士。


「ほら、ほら、どうした! 逃げてばかりか!」


 変質者の恰好になった騎士が、胸を抑えたうら若き乙女を槍で刺そうとするその姿は、かなり犯罪臭漂うものがある。


 アグレアスが完全に戦意を失い憐みの目でピュセルを見ている。


「へ、変な物を、み、見せないでください!」


 悲鳴のような声をあげて逃げるピュセル。


 ……あのおっさん、ちょっと楽しくなってきちゃってるだろ。

 完全に変な趣向に目覚めちゃってる気がする。


 徐々にピュセルは後ろに下がっていく。そしてついに虎口の角に追い詰められてしまった。


「がはは! 止めだ!」


 そう言って騎士が槍を伸ばした。


 だがその槍は少しだけ伸び、そこから勢いを失って、カランと音を立てて地面に落ちた。

 見ると、騎士の胸部を一本の矢が貫いていたのだった。


「この、変態めっ!」


 声のした方を見ると、鬼の形相のロレイが窓枠に片足を乗せて弓を構えていた。

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