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【完結】あの山にダンジョンを築城しよう! ~命の実を守るために俺だけの城に引き篭もってやる~  作者: 敷知遠江守
第七章 平山城(前篇)

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第27話 襲撃からの回復

田峯壮馬:女神から「命の実」を託された、スキル?「城郭知識」「攻城知識」

アグレアス:地2水2火2風2、スキル「知識(命の実とリンク)」、得物は鞭(鞭技)

マルファス:地5水0火0風0、スキル「土木工事」「土人形創造IIIソロちゃん」「遠隔活動」、得物はモーニングスター

ビフロン:地1水2火1風2、スキル「陽光召喚」「宝石加工」「死霊傀儡」「栽培」、得物はサック

ロレイ:地0水1火0風1、スキル「遠隔活動」「狩猟」「偵察」、得物は弓(弓技)

ハーピーのピュセル:地0水5火1風0、スキル「水流操作」、得物は刀(刀技)

鳩のハルパス:地3水0火0風3、スキル「経理」「兵站」、得物はハンドアックス

「あ、気が付いたようですわ。良かった……」


 アグレアスのいつもの透き通るような優しい声が聞こえてきた。

 どうやらベッドに寝かされているらしい。

 身を起こそうとするも全身に激痛が走り、思わず顔が歪んでしまった。


「いけませんわ。まだ寝ていないと。わたくしたちと異なり、壮馬様は命の実で回復はできないのですから、ゆっくりとお休みになってくださいまし」


 アグレアスは右耳に勿忘草色の長い髪を引っかけて優しく微笑んだ。


「二つ教えてくれないかな。一つは皆の姿が見えないけど、どうなったのか。もう一つは侵略者の三人はどうなったのか」


 そうたずねてすぐに、一人の女性がやってきた。


「あ、あの、また、や、薬湯をお持ちしました。あ! そ、壮馬様! よ、良かった。お、お目覚めになられたみたいで」


 「これを飲んでください」と言って、ハーピーのピュセルが素焼きのコップに入った薬湯を両翼で挟んで差し出した。


 何が入っているのかわからないが、酷く青臭い匂いがする。

 色も深緑、若干粘度がある。

 

 うげっ、苦っ!


「お薬なのですから、苦いのは当たり前ですわ。さあ、ぐっと飲み干してくださいまし」


 まるでわがままな子に言い聞かせるようにアグレアスは言った。


 中身は何なのかとピュセルにたずねると、『ロレイが集めてきたよくわからない何かの葉』という何とも恐ろしい回答が返ってきた。

 どうやらロレイはこれまで狩りの途中で薬草を摘んでは集めていたらしい。ピュセルには知識が無いからそれが何に効くとかはわからないらしいのだが、目を覚ましたロレイが急いでこれを飲ませるようにと言ったのだとか。


「さっき、またって言ってたけど、もしかして、俺の意識が無い時にも無理やりこれを飲ませてたの?」


 その指摘にアグレアスは照れてすまし顔、ピュセルは真っ赤に顔を染めた。

 この反応、アグレアスが口移しで飲ませてくれてたのだろう。


「ところで、あの後、襲って来た三人組はどうしたんだ?」


 その問いに、アグレアスがふっと笑った。その笑い方はどこか妖艶で、少し背筋をぞくりとさせる。


「まだ生きていましてよ。壮馬様を傷つけた痴れ者をそう簡単に殺してなるものですか。それ相応の苦痛を受けていただかねば」


 ふふふと笑うアグレアスにピュセルが目を細めた。


「いたぶりすぎて、生きているのか死んでいるのかわからないような状況ですけどね」


 「え?」と声を発した俺に、二人はクスクスと笑った。


 男の方はピュセルが水の刃で穴だらけにしたらしい。

 薄着の女性の方はアグレアスの鞭で足止めを受けた所にマルファスのモーニングスターの一撃を下腹に受け、股から血を流して失神したまま。

 最後に残ったローブを着た方の女性は、鞭に絡め取られ、素っ裸にされて鞭でめった打ちにしたらしい。


 三人とも三の丸に生えている木に吊るされているのだそうだ。

 しかもあれから三日が経っているそうで、その間ずっとそのままなのだとか。


「壮馬様をそんな目に遭わせたのですから当然の報いですわ」


 アグレアスが冷たい眼で言い放つと、ピュセルも「その通りです」と賛同。


 彼女たちが残忍なのか、それとも自分がただ単に気が弱いのかはわからない。


 相手の命を奪うという事はこれまでも何度も行ってきた。それに関して何かを思った事は無かった。

 だがどういうわけか、いたぶって生かしてあるという話には何故か嫌悪感を抱いてしまう。


「すまないけど、ここで命の実を掲げてるからさ。止めを刺してやってくれないか」


 暗い顔で言う俺に、アグレアスたちは顔を見合わせ、困惑した表情で一言「わかりました」と言って部屋を出て行った。



 それからしばらくして黒い雲のようなものが窓から漂ってきて命の実に吸われていった。

 一つ目の雲を命の実が吸っている途中で次の雲がやってきて、吸い終わった頃に三つ目の雲がやってきた。


 どうやらアグレアスとピュセル、二人で何か思うところがあったのだろう。少しバツの悪そうな顔をして戻って来た。


「あの、壮馬様、その、申し訳ありませんでした。壮馬様の目が覚めないと黒い霧が消えてしまい勿体無いですから、今回はやむを得なかったという事でご納得いただけませんでしょうか?」


 そう言ってアグレアスは細い眉を八の字にして無理に笑顔を作った。

 そんなアグレアスの頭に手を乗せ優しく撫でた。


「わかってるよ。俺もそうだと思ってた。それより、侵略者を撃退してくれてありがとう」


 アグレアスは安堵して微笑んだのだが、無理やりの作り笑顔に見えた。



 翌朝、どうにもあの薬湯の苦さが口内にへばりついている気がしてならない、

 なんとか体が動くようになっており、ベッドから出て、外に水を飲みに向かった。


「お、おはようございます、壮馬様。も、もう動いても、だ、大丈夫なんですか?」


 ピュセルの少し甘い声が聞こえて振り返ると、そこには凛とした佇まいの女性が立っていた。

 着物に袴という何とも古風ないで立ち、それに全く合っていない丸顔、そして長い銀髪。


「おはよう、ピュセル。皆はまだ寝てるのかな?」


 そう声をかけてすぐに、ピュセルの後ろから、アグレアス、マルファス、ビフロン、ロレイと続々と顔を洗いにやってきたのだった。

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