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【完結】あの山にダンジョンを築城しよう! ~命の実を守るために俺だけの城に引き篭もってやる~  作者: 敷知遠江守
第六章 小城(後篇)

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第23話 商人来城

田峯壮馬:女神から「命の実」を託された、スキル?「城郭知識」「攻城知識」

アグレアス:地2水2火2風2、スキル「知識(命の実とリンク)」、得物は鞭(鞭技)

マルファス:地5水0火0風0、スキル「土木工事」「土人形創造IIIソロちゃん」「遠隔活動」、得物はモーニングスター

ビフロン:地1水2火1風2、スキル「陽光召喚」「宝石加工」「死霊傀儡」「栽培」、得物はサック

ロレイ:地0水1火0風1、スキル「遠隔活動」「狩猟」「偵察」、得物は弓(弓技)

ハーピーのピュセル:地0水5火1風0、スキル「水流操作」、得物は刀(刀技)

鳩のハルパス:門に止まってた

 髭の生えた酒樽がネグリジェを着ている。

 やって来た商人の第一印象がそれであった。


 青と白のストライプのトーガに紫紺のベスト。立派な口髭、立派な眉毛、そんな力強い顔につぶらな瞳が愛らしさを漂わせる。

 背には巨大なリュックサックを背負っている。恐らくは中身は行商の商品なのだろう。


「まずはお近づきの印いう事で、これをどうぞ。王都で話題の紅茶の茶葉です」


 そう言うと商人は手の平大の木箱を机の上に置いた。


「ご覧の通りここは単に山をくり抜いただけの洞穴。あなたの商売になるような品は何も無い気がするのですけど? 私たちといったいどのような取引をしようと言うのですか?」


 そうたずねると商人は櫓の外で覗き込んでいる女性たちを見て顔を緩ませた。


「まあまあ。そない結論を急ごうとすると損しますでぇ。わしは手紙に書いたはずです。お近づきの印やからお値打ちにするて」


 商人はこちらを見て、いかにも商売人という笑みを作った。

 だが反応が鈍いと見た商人は、黙々と商品の一部をリュックサックから取り出し机に並べ始めた。


「ここの山、よう侵略者が来るんとちゃいますか? そいつらの持ってた財布は溜め込んでるんでしょ。そしたらここいらのもんくらい買える金が溜まった頃やないかと考えたまでです」


 商人が並べた商品は絹布、綿布、香水、装飾品といった物。


 俺たちの全財産の入った革袋を行李から取り出して机の上に置く。

 そのずしりという音、そして膨らんだ革袋を見て商人は目を見開いた。


 その中から金貨と思われる硬貨を差し出した。

  

「先ほど『よく侵略者が来る』と言ってましたね。この山の外の状況をこれに見合うだけ教えていただけませんか?」


 商人は金貨一枚を受け取ると表裏を確認し、親指でピンと上に弾き、片手でつかみ取った。


「こらまた、ずいぶんと高額な情報になりますな。話だけいうわけにはいきまへんね。まずはこの地図をお売りしますよ」


 商人が地図の描かれた羊皮紙を広げ、四隅に大きめの分銅を置いていく。


「まずはこの山、『ディアボリ山』の位置はここになります。見てすぐにわかると思うんやけども、六つの大きな国のど真ん中にこの山は位置しています。昔からこの山は、この六つの国によって所有権を争っとったんですわ」



 ――この山には古い伝承がある。

 太古の昔、この山には一体の悪魔が住み着いていた。

 その悪魔は単なる石ころを宝石に、単なる土くれを貴金属に変える力を持っていた。

 ある時、いにしえの勇者の血を引く小国の王子が、国を追われて家臣二名に守られてこの山に落ち延びて来た。

 悪魔はこの王子の話に心を動かされ力を貸す事にした。


 悪魔はその力で大皿一杯の砂金を用意。王子はその砂金を軍資金にして軍隊を組織し、自分の国を簒奪した者たちを追い出す事に成功。

 国王に即位した後も悪魔の提供する貴金属で軍を増強し、周辺国を次々と征服していった。


 だが、悪魔はある日を境にまるで消滅したかの如く、山から消え去った。

 国王は悪魔の用意する貴金属や宝石で国内の揉め事を全てを解決しようとしていたので、突然資金力を断たれた王国は運営が完全に行き詰ってしまったのだった。


 実は国王は悪魔の力を借りる際、一つの約束をしていた。それは『私以外を本気で愛さない事』。


 だが国王はそのほとばしる情熱をあちこちの女性にふり注いでいるうちに、一人の女性に恋をしてしまったのだった。


 王国はあっという間に崩壊。

 その時に分裂した国がこの山を取り巻いている六つの王国である。


 その国王の伝説は吟遊詩人によって延々と語り継がれて来た。

 そのサーガの中でこの山は『覇王になれる山』と位置付けられてきた。


 現在この山は若草の兵の王国が所持しているのだが、それを白い兵の王国が奪おうと侵略行為を繰り返している――


「わしはあんさんが言うピンクの兵の国『闘技国』から来とるんですが、わしの王国は若草の兵の国『大地国』と同盟関係にある国なんです。そやけど、今その同盟も危うくなってきとるんです。原因はおそらく、この山の支配権を失うたから」


 商人はそう言うと両手で地図の中のディアボリ山を包み込むような仕草をした。


「つまり、この六か国はこの山が支配できれば他の五か国を傘下に置けると今でも思っているという事ですか。だから兵やら軍やらを差し向けて来ていると」


 商人がこくりと頷く。


「そして、その戦利品を商人であるわしが何か物に替えてあげたら、ちゃんと商売として成り立ついう風に思ったいうわけです。どうですか? 何でも良えですよ。言うてくれたら次回まで揃えておきます。売りたい物があったら買い取らせてもいただきましょ」


 商人はこちらをじっと見て、返答を待った。


「わかりました。あなたに敵意が無い間は取引させていただきましょう。差し当たって、色々な種類の野菜の種が欲しいです。それと塩ですね。それ以外のものも適当に見繕ってとりあえず持ってきていただければ」


 商人は土の椅子から立ち上がり、右手を差し出した。

 交渉成立。

 恐らくその手はそういう意味であろう。


 握手を交わすと商人は満足そうな顔で微笑んだ。


「せっかく遠路はるばる来てくれたのです。温泉にでも浸かってからお帰りになると良いでしょう」

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