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【完結】あの山にダンジョンを築城しよう! ~命の実を守るために俺だけの城に引き篭もってやる~  作者: 敷知遠江守
第五章 小城(前篇)

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第22話 鳩のハルパス

田峯壮馬:女神から「命の実」を託された、スキル?「城郭知識」「攻城知識」

アグレアス:地2水2火2風2、スキル「知識(命の実とリンク)」、得物は鞭(鞭技)

マルファス:地5水0火0風0、スキル「土木工事」「土人形創造IIIソロちゃん」「遠隔活動」、得物はモーニングスター

ビフロン:地1水2火1風2、スキル「陽光召喚」「宝石加工」「死霊傀儡」「栽培」、得物はサック

ロレイ:地0水1火0風1、スキル「遠隔活動」「狩猟」「偵察」、得物は弓(弓技)

ハーピーのピュセル:地0水5火1風0、スキル「水流操作」、得物は刀(刀技)

 かろうじて退いてくれた。そんな印象だった。


 アグレアスは腹部に矢が刺さっており、さらに恐らく肋骨が何本か折れている。

 マルファスもどうやら敵兵に槍で突かれたようで右腕から血を流している。

 ビフロンは骸骨兵の作成と制御で疲労困憊。

 ロレイの矢傷は命の実からまだ黒い霧は放出しているところをみると、治療はしたのだが完全には回復していないのだろう。

 ハーピーのピュセルは片方の翼の骨が砕けだらりとさせている。さらに足の甲に刺さった小刀を抜いたせいで血が滴っている。


 大惨事。

 この世界に来てこんなにも被害を出した事は無かった。


 原因はわかっている。

 この城は住環境の快適さだけが突出していて、それっぽい作りというだけで、防御機構がおろそかになってしまっているのだ。


 少なくとも多聞櫓の上に身を隠せる塀くらい立てさせるべきであった。

 広間に木ぐらい植えて少しでも障害物を作るべきであった。

 ちゃんと門も付けて、(かんぬき)を差せば門を壊している間はロレイは撃ち放題だったはず。


 反省する事は山のようにある。


「今別の軍隊が来たら、ひとたまりもないな。まあ、その時は覚悟を決めるしかないか」


 多聞櫓のベッドで横になっているアグレアスたちを見ながら、一人ベッドに腰かけてうなだれる。


「壮馬様、ソロちゃんがいますから大丈夫ですよぅ。壮馬様はこのあたしとビフロンで守って見せますって」


 そう言ってマルファスは微笑んだ。

 だが、顔は青白いし、額には脂汗が滲んでいる。


 マルファスのベッドに行き頭を撫でると、にこっと微笑んで眠ってしまった。



 翌朝、さすがに誰も起きては来なかった。

 だが、ビフロンの光魔法はいつものように輝いており、ちゃんと朝である事を知らせてくれている。


 何となく二の丸へ向かう。

 骸骨兵がカランコロンと音をたてながら、せわしなく動物たちの世話をしている。何とも不気味な光景だ。


 二の丸を抜け、二の廊を越えて三の丸へ。ここはまだ奥に細い水路があるだけの備え。

 さらに三の廊を経て四の丸へ。


 流れている水で顔を洗う。

 気のせいだろうか、一の丸の水源より水が冷たい気がする。


「ここの多聞櫓を早め作ってもらおう。そうすれば安全な場所からマルファスはソロちゃんを修復できるし、ロレイは狙撃ができるだろうから」


 そう呟いて眼下の一の丸を崖の上から見下ろしていた。

 すると虎口の塀に一羽の鳩が止まっている事に気が付いた。


 鳩はこちらをじっと見て動かない。もしかしてと思い、急いで一の丸へと走った。


 命の実の色は四人の傷の回復でかなり色が褪せてしまって、焦茶色まで褪せている。

 昨日の侵攻でも敵兵を倒してはいるのだが、そこから得られる黒い霧よりも、彼女たちの回復で放出された量の方が遥かに多いという事だろう。

 だが、これまでの感じからして、この色であれば契約してもまだ大丈夫であろう。


 命の実を持って櫓から外に出て、鳩のいる虎口へと向かう。

 やはりこの鳩は仲間になる者だったらしい。命の実から黒い霧が細く伸びて行く。


「ホロッ……クッ……ん……あっ……」


 黒い霧がぷつりと途切れると、鳩は気を失い塀から落ちそうになった。

 駆け寄ってそれを抱き抱え、そのまま櫓に戻った。


「あらぁ? 壮馬様ぁ、今日の朝食はそれですかぁ?」


 唯一怪我を負っていないビフロンが鳩を見てたずねる。

 ……そんな事よりも、お前は服を着ろ。


「何を寝ぼけてるんだよ! 仲間だよ、仲間。朝食なら後で作るから。まずは顔を洗ってこいよ。涎の垂れた跡が付いてるぞ」


 そう言って頬を指差すと、ビフロンは真っ赤な顔をして櫓から飛び出して行った。

 裸を見られるより涎の跡の方が恥ずかしいとか、こいつの羞恥心の基準はどうなっているんだろう。


 それから程なくして、鳩は目を覚ました。

 ビフロンと比較的軽傷だったマルファスが食卓に座っている。


「あ、うち、ハルパスいいます。実はとある商人一家に飼われていたんです。詳しい事はこの足の手紙に書いてある思うんで読んでみてください」


 そう言ってハルパスは手紙の結びつけられた右足を前に突き出した。

 その足に縛られた紙切れ、先ほどから気にはなっていたのだ。


”一週間後、そちらに行商に伺いたいと思います。まずはお近づきの印いう事で、商品はお値打ちにしておきますんで、ぜひご利用ください”


 何が書いてあるのかとたずねるマルファスに向かって首を傾げた。


「行商に来たいって言ってきてるんだけど、どうしたもんだろうね。仮に昨日の奴らの手先だとしたら、完全に目的は情報収取だろうから招き入れたくは無いよね」


 手紙に視線を移したまま言うと、マルファスとビフロンは賛同して首を縦に振ってくれた。


「それは大丈夫やないかと思いますよ。確かにお店は王国に構えてますけど、あの方は御用商人いうわけやないですから。そら、情報は貰うてるやろうけど、王国の意向とかは関係無く、純粋に商いに来るんやと思います」


 そうハルパスは言う。

 だが、この時点では結論を先延ばしにして、アグレアスたちが回復してから改めて結論を出そうという事になった。



 三日後、アグレアスの体調が戻ったところで、この件を真っ先に相談した。

 すると、アグレアスは全く悩む事無く即答であった。


「良ろしいんじゃありませんこと。確かにこちらの窮乏が外にバレるのは、あまり良いとは思えません。ですけれど、侵略者が来ない事には命の実の状態を保持できないのですから、宣伝だと思えば良いのではと思うのです」


 ここに良い加工品が眠っていると思えば、それ目当てに侵略者がやってくる。そうした者たちは我々にとっては糧であり、レベルを上げるための養分でもある。

 ここは良い方に捉えて、交易で不足する物を補うんだと考えてはどうだろうというのがアグレアスの意見であった。


 確かにこのお城には足りないものが山のようにある。

 逆に、ビフロンが栽培スキルを手に入れた事で、農作物が驚異的な速さで収穫ができ、蔵が穀物で溢れている。


「そうだな。確かに生活の安定の為には交易は不可欠だもんな。わかった。商人を受け入れる事にしよう」



 こうして、洞窟に商人がやってくる事になったのだった。

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― 新着の感想 ―
普通は城って住む物ではありませんからね。四国の松山城みたいに床の間があって畳敷きに出来る例外もありますが(幕末なので外国人観光客を泊めるつもりだったのでしょうか?)。 彼らはたぶんまた攻めてきますから…
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