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【完結】あの山にダンジョンを築城しよう! ~命の実を守るために俺だけの城に引き篭もってやる~  作者: 敷知遠江守
第四章 大砦

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第15話 攻城戦

田峯壮馬:女神から「命の実」を託された、スキル?「城郭知識」

アグレアス:地2水2火2風2、スキル「知識(命の実とリンク)」、得物は鞭(鞭技)

マルファス:地5水0火0風0、スキル「土木工事」「土人形創造IIソロちゃん」「遠隔活動」、得物はモーニングスター

スライムのビフロン:地1水2火1風2、スキル「陽光召喚」「宝石加工」、得物はサック

インプのロレイ:地0水1火0風1、スキル「遠隔活動」「狩猟」、得物は弓(弓技)

「あ、あの、その、朝食の後で、その、外に狩猟に……」


 朝、マルファスと二人で顔を洗っていると、お腹の前で指をもじもじさせながら、恥ずかしそうにインプのロレイが報告をしてきた。

 俯いた状態で上目遣いでこちらをちらりちらりと見ている。


「わかった。気を付けて行ってきてね。少しでも危ないと思ったら無理せず帰ってくるんだよ」


 そう優しく言うと、ロレイは俯いたまま頷いた。

 そんなロレイを見ていると、何となくまた一人妹ができたような不思議な気分になる。

 そのせいか洗面場がどこか淡い水色の空気に包まれているように感じる。

 マルファスはそれが気に入らないようで、ロレイを蹴る真似をして牽制している。だがそれもなんだか、妹二人が甘噛みしているようで微笑ましく感じる。


 ところが、そんな朝のほんわかした淡い雰囲気は突然ぶち壊される事になった。


「ほわぁぁ。壮馬様おはようございますぅ」


 相変わらずのビフロンの間の抜けた声だった。寝起きのせいでさらに間が抜けている。


「おはよう、ビフロン……んんん?! うわぁあ!!」


 声のする方を見て、思わず腰を抜かしそうになった。

 そもそもビフロンなのだから、背後からじゃなく、足下から声がするはずなのだ。

 いやいや、そんな事じゃない。そこにいたのはちょっと波かかった金髪の派手な女性だったのだ。

 いや、それもそうなのだが、そこでも無い。

 その派手な女性が一糸まとわぬ姿だったのだ。


「おい、ビフロン、そんな恰好して寝ると風邪ひくぞ」


 ごく日常の会話のように忠告するマルファス。

 いや、忠告する内容はそれじゃねえだろ!


「ん? 壮馬様ぁ、どうかしたんですかぁ? 顔がぁ、赤いですよぅ?」


 あわあわと言葉にならない声を発して驚いている俺を、ビフロンは不思議そうな目で見る。

 そんなビフロンの豊かな二つの胸の膨らみをマルファスがむんずと掴む。


「なんだよビフロン、これは! あたしに対する当てつけ? そんなに見せびらかしたいの? むしり取ってやろうか?」


 そう言ってビフロンの乳を揉みしだくマルファス。にこにこ笑いながら「やめてよぉ」と言うだけのビフロン。

 目の前でマルファスの手の平大のビフロンのビフロンがぷるぷると揺れている。


「あの、ビフロン。さっさと服を着てもらえないかな? そういうの、目のやり場に困るんだよ」


 必至に理性を保とうとする俺を、マルファスが少し冷ややかな目で見る。

 一方でビフロンは首を傾げている。


「これまでだってぇ、あたしは裸でしたけどぉ、何もぉ言わなかったじゃないですかぁ。なんでぇ、今さらぁ、そんな事をぉ、言うんですかぁ?」


 確かに。なんでなんだろな?

 ……いやいや。違う違う。単なるスライムと素っ裸の女性では、インパクトが全然違うんだよ。


 ちらりと見えるマルファスの視線がちょっと痛い。

 できればそんな目をする前に服を着るようにビフロンに言って欲しいのだが。


 とりあえず逃げるか。

 そう思ってビフロンに背を向けると、視線の先にオーガが!

 もとい。怒髪天を突いているアグレアスの姿が。


「皆さん。ずいぶんとお楽しそうに顔を洗っているようですけれど、朝食ができてますわよ。冷めてしまうので早く食事にいたしませこと?」


 なんとなくこそこそと櫓へ向かう俺。そんな俺を冷ややかな目で追うアグレアス。

 さっさと服を着ろよと注意するマルファス。無言のロレイ。


 手をパンと合わせて一瞬で服を着るビフロン。ところが着た服もなんだか胸元ががっつり開いていたり、フレアスカートも非常に短かったりで何とも扇情的。


 席に着いてからもどうしても視線がビフロンに引っ張られる。

 アグレアスとマルファスの視線が突き刺さって痛い。

 ……なぜだろう。今日は全然朝食の味がしない。


 食事を終えると、すぐにロレイは行ってきますと言って狩りに出掛けてしまった。

 マルファスはビフロンと何やかやと言い合いをし、アグレアスは乾燥したタンポポの根を乳鉢でゴリゴリとすっている。

 何とも平和なひと時だ。


 そんな俺に、アグレアスが乳棒を動かす手を止めて微笑みかけた。


「わたくし、そろそろお城を大きく拡張してはどうかと思うんですの。備えというものを増やして……あら?」


 そこまでアグレアスが言ったところで、門の方から何やら複数の声が聞こえてきた。


「こっちに逃げたぞ!」

「追え! あの魔物を逃がすな!」


 どうやら外でロレイが何かやらかしたらしい。

 窓から大手門の方を見ると、必死に走って一人で逃げて来るロレイの姿が見える。


「王を狙撃した不届き者を逃すな!」

「この洞窟だ! この洞窟に逃げたぞ!」


 え? 王を狙撃した?

 ロレイのやつそんな事したの?


 慌てて櫓に逃げ込んで来るロレイ。どうやら全力で走って来たようで息が切れている。


「はあ、はあ、す、すみません……し、鹿のはずが……」


 櫓の窓から見える大手門までの通路に大勢の兵が見える。

 前方には兵卒と思しき軽装の兵、その後ろに騎士と思しき重装の兵、全員青で統一されている。最後部には金色の派手な装飾を施した純白の全身鎧に身をまとった王と思しき者がいる。


「ずいぶんと数が多いな……かなり多勢に無勢だな。とりあえず、ソロちゃんを虎口の出口に配置して、その細い通路で迎撃させよう」


 マルファスがこくっと頷いて、櫓から飛び出していく。


「ロレイはここから門前のやつらを狙撃。アグレアスとビフロンはソロちゃんを支援してくれ!」


 アグレアスとビフロン、ロレイも頷いて、それぞれの持ち場に付いた。


 ソロちゃんは敵の攻撃をそこら中に受けながらも敵を一体、また一体と槍に貫いていく。

 呪文を唱えてマルファスが必至に崩れた部位を修理していく。

 奮戦しているソロちゃんの隙間にアグレアスは鞭を伸ばして兵を殴打していく。


 だが、あまりにも兵が多くキリが無い。

 このままではこちらの疲労が蓄積して数で押し切られてしまいかねない。


 そんな時だった。普段おっとりした喋りのビフロンが急に強い口調で叫んだ。


「アグレアスぅ! 死んだ兵をこちらにぃ!」


 それまで前方を凝視していたアグレアスがびっくりしてビフロンの方を向く。


「何をするのかわからないですけれど……」


 ソロちゃんの足下に倒れていた兵の足をアグレアスが鞭に絡めて思いっきり引っ張り、さらに後方に投げ飛ばした。

 命の実に近づいた事で兵が急速に黒い霧となっていく。


 そんな兵の抜け殻に向かい、ビフロンはなにやら呪文を唱える。


「汝、黒き魂よ! 我に従え! 死霊傀儡(くぐつ)!」


 単なる鎧だけだった敵兵の下の土が灰色の骨の形にまとまっていく。

 立ち上がった骸骨が鎧を身にまとってゆらゆらと揺れる。生前着ていた鎧がカチカチと不気味な音を立てる。


 ビフロンがソロちゃんと対峙している兵を指差すと、骸骨はカチャカチャ音を立てて自分の幅広剣と丸盾を拾い、果敢にも敵兵に向かって行った。


「ビフロン、次、行きますわよ!」


 アグレアスは倒れた兵を次々に後方のビフロンの元へと鞭で引きずり出して行く。

それを次々に骸骨兵に変えていくビフロン。


 狭い通路は、徐々に敵兵と骸骨兵によって乱戦となっていったのだった。

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