フォークはご入用ですか?
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
大抵、私の舐めた態度で失敗を招くという良い一例。
突然だが、ポテサラをパンで挟んだ物が食べたくなった。パンが焼いてあるかどうかはこの際どうでも良い。つまりサンドでもトーストでもどちらでも良かった。
本日、焼きポテサラを食べる事は立地的に叶わないので、生ポテサラを食べる事にした。電車の行き先を僅かに変えて、喫茶店へとお邪魔する。
頼む物を決まっていたので、注文を済ませ、薄ぼんやりと窓の外を眺める。
本日は夏日と言って差し支え無いほど暑い日だった。直射日光ガン当たりの外は、ただ立ちんぼしているだけでも、温い通り越して暑い。
よくこんな中で猫は日向ぼっこ出来んなぁ!! とアイドル猫を思い出して、高見の見物をする。
そうこうしているうちに、店員さんがトレーの様な皿を私の前に置く。ずっと食べたかったポテサラサンドイッチが目の前を陣取る。横幅約十五センチ越え。、噂の通りポテサラギチギチ。絶対に腹ぺこで帰さない。という店側の意地が見て取れる。
そんな心情が表に出そうになるのを我慢していた時のこと、店員さんが一言私に質問を投げ掛ける。
「フォークはご入用ですか?」
……サンドイッチになんでフォーク? 確かにボリュームあるけれど、手で食べられると思いますよ。ご心配には及びません。
「大丈夫ですよ。有難う御座います」
なお、このご好意を断った事を後々後悔する事になる。
触ってみるとパンはふわふわ。手で抑え付けたところが凹んで戻らない。この不可逆性が柔らかさを表す。え、低反発枕の比じゃないんだけど。枕か布団にしたい。
大口を開けて、まずは一口。入れ方が下手くそで、ポテサラまで辿り着かなかった。代わりにジャグジャグしたレタスと、甘いトマトが口に広がる。
もう二口。よくやくポテサラが口に入ると思ったその時だった。パンの隅の方からじゃがいもの塊が数個、雫の様にボタボタとタレ落ちた。
……何があった?
理解が及ばず行動が止まる。皿の上に零れたポテサラの大粒達が、なんとも寂しげに寄り添っていた。
――フォークはご入用ですか?
店員さんの優しい質問が頭の中で反芻する。恐らく『具を掬うのに、フォーク必要ですか?』と問い掛けていたのだと今気が付いた。
なんでもその道に深く携わっている方々の好意は無碍にしてはいけないのだと知った。
神社で日向ぼっこしている猫っているじゃないですか。
雨の日や風の日はまぁ止めといて、天気の良い日は外に出て日向ぼっこしてるような。
人間がやると暑くて、(´△`)な顔になります。
本日は夏日ですか?
そんなこんなでポテサラ食べに行きました。
焼きポテサラは立地的に難しいので、生ポテサラです。
量が多いことは知っていた。
でも横から見たら、口に入りそうだった。
なんかイケる気がする!!
という私の怠慢が、『フォーク大丈夫です』に繋がりました。
長らく務めているならば、なんか具がボトボト落としているお客なんて沢山見てきたベテランなんだから、
『経験者の好意と助言は黙って受け取れ( ¯-¯ )』
と思ってお焚き火しました。
良いところのポテサラでした。