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探偵と妖怪  作者: 相模曹壱
第2章 立野山の三年
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エピローグ 八重島鷹

日本国が異世界に転移して4年後。

5月10日 0900 奈良県立立野高校

 「お久しぶりです。先生。」「有馬君。いや今は龍田君か。

ここに来るとは、何かあったのかい。」僕は久しぶりに、母校である奈良県立立野高校に来ていた。目の前にいるのは、お世話になった佐川京子先生だった。今は教頭として、この学校に勤めている。目じりの皴が見られるが、それでも相当若く見られることがあるらしい。

2035年、日本国は異世界に転移し、その後の政治の混乱などで、日本の治安は一気に悪化した。

しかし、それを収めたのは龍田の同胞である付喪神や、目の前にいる佐川京子の同胞たちだった。

時代の異なる10の日本国も転移し、混乱も生じた。

だが、これも妖怪や付喪神が仲裁に入り、平穏な関係を構築している。

「いえ、先生に少し報告があって。」「何かな。」「僕ももうそろそろ、3児目を授かる事に成りそうです。」「そうか、君なら父親を立派に成し遂げる事が出来るだろう。」「そういえば、先生の方は。」「ああ、孫が可愛くてな。見るか。」

 最近の日本は治安も安定し、転移先の新発見、かつどこの国家も保有していない大陸の実効支配を進めている。それに伴い、日本の食糧事情の改善ももう少しで達成されると試算されている。

 かくいう僕は大学卒業と同時に龍田七海と入籍、僕は”龍田忠義”という名前になっている。

その理由は、龍田七海が付喪神であり、その名前を変えた場合の影響が不明である為だった。

彼女は軽巡洋艦”龍田”が生み出した人造人間であり、その生み出した存在の道具が使える。

彼女の場合だとソナーやレーダー、大砲や魚雷などだった。

 しかし、それは彼女が軽巡洋艦龍田の生み出した人造人間であるという自認があってこそできる事なのである。この為、その自認が失われないように姓の変更は行わなかったというわけだ。

「そういえば、ここに入学した生徒の中に、八重島鷹という人物はいませんでしたか。」「いたけど、ついこの間卒業したよ。」「…そう、ですか。」「やっぱり、彼の可能性が高いのかい。」「はい。」

 そして、今はあの時出会った青年の行方を追っている。彼は、間違いなく存在している。

 その後は、他愛もない会話をして学校を後にした。そして、駅のホーム。僕は、彼と邂逅した。「君、八重島鷹君かい。」「…、貴方は。随分老けたように見えますが。」少し驚いてこちらを見たのは、あの時に見た青年だった。

「僕からすれば、君と出会って16年が経っているからね。君からしてみれば、2か月ぶりかな。」「なるほど、それであれば納得です。」

 その後は、そう大して会話をしなかった。だが、僕は彼の事を知っておけばよかったと後悔した。

彼が、後に救世の戦闘機乗りと呼ばれる事に成ったのだから。

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