8 後日譚 階段から突き落としたと証言した令嬢のその後
てめえの所のクソガキと結婚なんてしたらこっちの評判が下がるわ!
届いた手紙の内容を要約するとそんな感じだった
何度も許しを請う手紙を出し、息子との婚約を継続するように頼んだのだが結論は毎回同じであった
曰く、お断りだ!(意訳)
まあ仕方がないのかもしれない
なにせ婚約者の妹がこともあろうに学園の卒業式の夜会で騒動を起こしたのだ
学園は王立である
つまりは王家の看板に泥を塗ったも同然
そんな家と繋がりを持ちたい貴族はいない
今後100年はことあるごとに噂され揶揄されることだろう厄介事から逃げない貴族はいないということである
それでも可愛い息子のことである
謝罪をして懇願してなんとか婚約を継続して貰えるように何度も手紙を出した
会おうとしたのだが毎回断りの手紙がくるのだ
それゆえ手紙で婚約の継続を懇願するしか手がなかった
ところが返事は毎回『否』である
そして返事の回数が増えるごとに丁寧さが消えて行った
最初は貴族特有の遠回しな拒絶だった
でも今では貴族としてはあるまじき直接的な表現で拒絶の返事がくるようだった
・・・そのうち手紙の返事も来なくなることだろう(汗)
娘の婚約者の方はというとやらかした夜会の翌日の早朝に婚約破棄の手紙が来た
どうやら一族の誰かが夜会に出ていたらしい
そしてその日のうちに詳細が伝わり、翌日一番で婚約破棄するとの連絡が来た
息子も娘も婚約破棄をされてしまった
新しい婚約者を見つけられる目途はたっていない
いや婚約者になろうとする貴族はいないことだろう
一体どうしたものか
男爵は頭を掛けるだけだった