同性婚法案が成立しました
本作はフィクションです。
幻想新聞日本語版10月30日付
10月29日に、パーサノ共和国議会が開催され、「婚姻法改正法案」、通称「同性婚法案」が賛成多数で可決・成立した。
法案の成立により、来年4月から同姓同士の結婚が法的に認められることになった。
この法案については、議会最大派閥の民衆党が反対したものの、他の各派閥が賛成に回ったことにより成立となった。
今回の法案成立を受け、各派閥から出された声明については次のとおり。
○最大派閥で今回の法案に反対した民衆党 ナイカ・ヤラー党首
今回の法案については、十分な審議が尽くされないまま成立した。この結果は、早計であるとしか思わない。
いままで、この国の基幹となっていた、家族の考え方が変わることで、将来の国家存続が危機に陥ると懸念している。
今後、法改正後の影響や党を支援する市民からの意見をふまえ、法律の廃止を含めた対応を検討したい。
○モーホウ文化推進党 党首 ヌグー・ソーイ
我が国が、先進国に追いつくための法整備の一つが、可決された記念すべき日に、当事者の一人として立ち会えたことに歓喜するとともに、成立にむけて尽力された関係者に感謝したい。
○ニャンニャン同盟 盟主 ポチ・ウルブス
コケッ!
(以下、意訳内容)
今回の法案成立は、非常に喜ばしいこと。様々な派閥の協力が今回の成果につながったと考えている。
次回の議会に向けて、ニャンニャン同盟の悲願である、獣婚法案の成立に向けて、全力で議会対応にあたりたい。
○ハーレム推進会議 議長 イチズー
この法案は、私の婚約者達で構成する議員の献身的な力によるもの。
引き続き、多重婚姻法案が成立する日まで、婚約者達と一緒に取り組む。
○二次元友愛の会 会長 ジッシャー・バーン
今議会で、我が会から提案した、「婚姻法改正法案」いわゆる二次元婚法案が、審議未了廃案となったことは非常に残念ではあるが、同姓婚法が可決されたことにより、「結婚とは必ずしも子どもを為すためにするものではない」ことが認められたことで、我が会の悲願への一里塚となったと考えている。
引き続き、二次元婚法案の早期成立を目指して、協力できる勢力と連携を模索したい。
○さすおに連合 共同代表 チョー・ナン・ボー
この法案の成立は、私の妹たちの協力があって、はじめて成立できたことです。
これで、現在3親等間の結婚を禁止した法律を改正する事につながると期待しています。
○孤高の仲間グループ 筆頭主席 カーサン・ゴハンマーダ
黒龍の波動により、新たな世界が開かれようとしている。婚姻という名の契約は、己の魂の終着地を定める旅のようなもの。紅蓮の法の完成により、結婚が自己のみで完結する総合でもあり得ることが、ヴィフロの扉より明示された。
この、混迷を暗き炎を焼き尽くす、バァムの雷は、終焉の(以下略)
○パーサノ共和国
パーサノ共和国は、モーホウ大陸から大きく東に離れたジポング島にあり、その地域状況から、独特の文化が築かれている。
基本的に、一つの集落が一つの大家族として構成されていることから、氏族主義的な社会で形成されていた。
近年、大陸からの漂流者との交流をきっかけに、大陸との文化が流れ込んだことで、共和国内の進化派と呼ばれる人々が、同性婚等の自由を求め運動をはじめた。
当初は、同性婚に否定的だった、議会与党の民衆党により認められなかったが、昨年の選挙により過半数の議席を確保できなかったため、法案成立となった。
なお、パーサノ人はこの世界で唯一の単為生殖人類である。
<蛇足>
〇婚姻法
パーサノ人には女性しか存在しないことや氏族主義的な社会を構成していたことから、結婚の概念がなく、婚姻法も存在していなかった。
しかしながら、大陸から流れてきた漂流者夫婦の仲睦まじい姿を目の当たりにしたことにより、パーサノ人の中に、結婚を望む者が現れ始めた。
このことに危機感を覚えた、民衆党は同性の結婚を禁じる婚姻法を制定すること、パーサノ人結婚を防ぐことを試みた。