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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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戴冠式 内乱 2

 魔法詠唱者協会でもひとつ騒動があったようで。

 まあ、それが()()()()()だ。

 王宮侍医団の方々が不審がっちゃった見たいで、近衛騎士団の()も盗んで持ち出してきた。

 しかも、バレたっぽいってことで、一触即発になりかけた。

「さあ、大人しく返していただこうか?」

 ご遺体の話だ。

 侍医団長は、協会宗主の背中越しに――

「ダメです!! ここで魔法のアドバイス貰います!!!!」

 と、宣った。

「いや、そのやり取りはワシ抜きで」

 間に立ってる宗主も困りものだ。

 肩越しから覗き見る、侍医団長のウルウルとした瞳に――段ボールの箱の中でうずくまる小動物のような...愛らしさはないけども、どっちも似た年齢の爺さんであったり、婆さんであったりするんで。ただ、まあ放ると後が面倒なような、気もする雰囲気があった。

「まあ、まあ、ここはちょっと肩の力を抜きませんか?!」

 中間の提示。

 騎士団からは“一切関りが無いであろう”なんて、強く言われたけども。

 協会宗主としても、まあ引けなかった。

 コンバートル王国への進出に、ドーセット帝国が骨を折ってくれたわけで。

 ここで引っ込むと...

 皇帝に笑われそうな気がした。


 ドーセット帝国とは妙な、関わり方がある為だ。

「そう邪険にせんでください。こちらとしても()()()()()()()()帝国の顔を立てなきゃならん身なのです。よって、どうでしょう? 今、この場にある皆さんとご一緒に、検分なさるというのは...」

 公開検査の提案。

 騎士団のざわつきが気にはなったけど。

 宗主の口にした...

 ドーセット帝国の方に遠慮がちなような雰囲気となって、たぶん渋々。

 いや、間違いなく脅されたと思ってる。

「了解した! ただし、結果はいずれであっても()()()とする!!!!」

 って言ったもんで。

 推測が確信へと変わった瞬間。

 これは十中八九で真っ黒だと。



 大型の帆掛け船で航海わたって3週間余り。

 近いような、遠いような地にもう一つの大陸がある。

 その地の玄関口が“カブル”。

 旧い時代の地図によれば、その地は内陸にあった都市だったという――天候異変や、地殻変動さまざまな天災が重なって、星は叫びながら砕けたという。まあ、大地が引き裂かれたとか...そういうのだとは思うけど。

 ひとつの大陸だったところに、ふたつ、みっつと島大陸が増えたんじゃないかと考えられる。

 そのうちの一つが、コンバートル王国を載せた()()なのだ。


 さて、交易都市“カブル”の統治国が、ドーセット帝国だって話。

 勇者の庇護国としても知られ。

 ただいま波に乗っている大国の一つでもあるという。


 ま、そんな帝国に嚙みついたのが、コンバートル王国。

 私掠船を用いて、狡くくも帝国の民間船を襲いまくった――結果、海上決戦で大敗を喫したというのだから目も当てられない。王国にしてみれば、帝国旗を掲げてる船が“民間”か“軍艦”かの区別もついてい無かったというのだから、お粗末すぎる。

 多額の賠償金と、返済監視のために領事館が置かれたという。

 あそこは、そういうものだった。

 ああ、道理で市民の人たちも、恨めしそうに見るわけだ。


 いや、負ける戦をした王国を恨めよ。

 あ、でも...

 為政者って、自分の責任はちゃんと取らないからなあ。

 で、帝国のは禁忌となる。

 いやいや、でもね。

 そこはそれ、建前じゃあメシが食えない。

 民間交流はあって...

 帝国とは線が細いけど、交易はしてるんだよね。

 大陸北方の“シュメール公国”を経由したものだけどね。

 王都から馬の脚で、20日あたりかな。

 馬車になると、30日はかかるかも。


 ま、嗜好品でも“ナマモノ”は無理だけど。

 それなりに実入りは良いらしい。

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