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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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武王祭 騒動 34 帝国領事館 5

「ま、本国から次の命令いらいが無いから、領事館の客間、食堂、売店に...応接間とか、娯楽用のクラブハウスへ自由に移動することが出来るけど。とりま、飲み食いしたらお金は払ってね?!」

 まあ、当然、あたしからは『えー!!!』って叫んでみた。

 ヒルダのこれまた“面倒だなあ”って表情が、あたしには恐怖に見えた。

「ま、そういう反応は推測してた」


「は、はあ」


「なんで、こっちの予想通りに振舞ってくれるんかねえ? もう少し捻りの利いた反応が見たかったよ。だったらば、だ! セルコットを壁まで突き飛ばして、壁ドン...はい、チビらして耳でも噛みながら、さ...俺の()()に成れば好きなだけ喰わせてやるぜとか、言えるんだが?」

 ヒルダさんの目がマジだ。

 ミロムに対しての挑発だってことは百も承知。

 あたしを背にかくして、ミロムが威嚇してる。

「まあ、そういう遊びもできる...ミロムもそっちの気があるとはねえ。おっと、私は残念ながら()()じゃない。ち〇こは太さと長さ、これが大事! まあ、多少の柔らかさには目を瞑るけども...短いのは物足りないから、初めから却下なんだわ」

 ミロムの警戒心は解かれてないけど。

 ヒルダが歩み寄って、

「大丈夫、自分でも持ってる穴に興味なし!!」

 ってことで決着する。



「まあ、なんだ...お前の指、しょっぱいな?」

 ミロムの指先を

 ヒルダが舐めてた。

「領事館の客間を占領しててもいいけど、ベッドの上で()()にしてくれよ。ハウスキーパーを困らせないでくれ。どこぞの獣のように、トイレや浴室で処かまわずに貝合わせに、潮吹き、放水は迷惑だから」

 って傍から、

 あたしの噴いた水たまりに、ヒルダがはまってた。

 別にやることが無いと、

 ミロムと目が合っただけで、こうムラムラ来る。

 欲求とは、突然に来るものだ!!

「そんな哲学的でもないだろ」


「じゃ、おしっこと同じで生理現象!!」

 飽きられながらも、

「ま、それでもいいよ。爪の先が短くなってる時点で...ああ、こいつらお盛んだなとは思ってた。けしかけるような事は言ったけども。この部屋を磯臭くしろとは言ってない!! ()()もうちょい健康的に換気もこまめにしてくれよって話だ」

 あたしの指も、ヒルダが舐めた。

 納得したように――うん、しょっぱい。



 コンバートル王国は薄氷の上を、かろうじてという絶妙なバランスで踏ん張ってた。

 お飾りでも玉座に就くことが許された、第二王子の存在がこのバランスをわずかに支えていたのだ。

 こんなにも脆弱な体制になるとは、先の国王でさえ考えなかっただろう。

「戴冠式だけは...逃げ回ることはできない」

 王妃の父、第二王子の祖父となるナジク伯爵と、近衛騎士団長が雁首揃えた部屋には体を震わせる小男がある。

 兄と弟を一瞬で失った者だ。

 自らの手で下していれば、多少の度胸も付いてただろう。

 が、彼は対人恐怖症のどん底にあった。

「どうにか、身内で内々に...」


「そんな戴冠式があるものか! 百歩譲っても国民の主人となるものが、国人を恐れるというのは滑稽すぎる。お前は座ってるだけでいい、その頭上に王冠を載せるだけが仕事だ!!!」

 項垂れた男も頷いた。

 と同時に、鬱になる。

「やっぱり」


「それでもヤレ!!」

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