表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
71/538

武王祭 騒動 27 あたしとヒルダと... 2

 ヒルダも行き先に察しが付くと、

 跳躍で...あたしの目の前に先回りしてきた。

 彼女の背後にミロムと後輩、その前方には王子を抱えたあたしが居る。

「その荷物を置けば見逃す」

 って観客席の中で言えば、

 まあ、当然、パニックが起きる。

 競技者と客っていう関係ならば、威勢のいい罵声も浴びせられるけど。

 競技者が自分たちと同じ場所に立つとなると、話は別になる。

 手前勝手もいいんだけど...

 客は真っ先に逃げて行って、3:1の構図。


 いや、


 1:1:2の構図だろうか。

「殺しはダメだ!」

 ――は届かない。

 じゃあ、どうする。



「この少年が...何を」


「したかって? いや...何もだ」

 暗殺者の流儀からすると、対象者の背景を知る必要はない。

 逆に知ってしまうと、その後の影響まで考えを巡らしてしまうからだけど。

 それは、あたしにとっても...

 たぶん同じ。


 あたしも、今がどんだけ最悪かは分かってる。

 持ってきちゃった時点でだ。

 でも、

 でもねえ。

 知人が暗殺使用している現場に居合わせたら...

 やっぱ、こういう行動に出ると思うんだ。

「で、尻を触ってる男を担いでくるのか?」

 ああ、うん。

 さっきからもぞもぞ動いてらっしゃるのは、一目瞭然です。

 あたしの肩に担がれてる癖に、あたしの尻を撫でまわしてる――そんな、プレイじゃないですよって言いたいんだけど。

「これはこれ、触った分だけ“金は貰うから”」

 身体の振動と、耳からで届いた少年の手が止まった。

 いささか静かになった...

 と、思ったら。

 あたしの尻の肉を掴みやがったよ、コイツ!!!


 思わず、放り投げてた。

 あ、やべ?!

「あだ!!」

 腰と背を打った少年は、

「こら、雑種!! 尖った耳をしているからと言って、王族の者を投げ捨てるとは如何なる領分か!!!」

 だって...さんざん他人の尻を撫でまわしたのも、王族だからチャラにする気かって、の。

「雑種は余計だっての! こっちは由緒正しきエルフ族の娘だ!!! ま、4分の1くらいは...ダークエルフ族の族長さまってのが...入ってるらしいけど。2~300年前のどっから紛れ込んできたか分からない、ダークエルフなんて知らないけど、さ。あたしの下着と、尻揉んで、掴んで、穴に指入れようとした分、その代金はちゃんと貰うからね!!」

 放り投げた少年が持ってるようには、見えないけど。

 ま、衛兵とかに身柄を預ければ...慰謝料くらいは、払ってくれるでしょう。

 そんな甘い考えを...

 抱いていた時が、

 あたしにも...ありましたよ。


 そんな、幻想的な。


 ヒルダは放り投げた、少年の首を刎ねてた。

 ま、まあ、あっさりと...。

「え?!!!!」

 あたしは、慰謝料を取りっぱぐれる事に成る。

 いや、いやいや...

 そうじゃない。

 そうじゃない、そうじゃない。

「ま、今、脳を駆け巡ってる()()電気信号は正しい反応だ。ここまで、いやさ、王族警護隊の目を盗んで、ここまで運んできたのは少年かれを守るため...いや、暗殺者の私に人を殺めさせない為、だっけか? ふふふ、だけどなあ...結果的には私と、あんたが共謀して第三王子の身柄を制御しやすいテリトリーに持ってきた、まあ...誰もが思うだろう!」

 で、ぐいっと視界が揺らぐ。

 いや、腕を引かれたんだわ。

 ヒルダに。

 ヒルダがあたしを庇うように彼女の傍へ引き込んだ。

 元いたところへ矢が走る。

「まったくいつまで惚けてる?!!」

 うぶ...

 ヒルダの胸に飛び込むとは思っても見ませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ