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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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武王祭 騒動 16 あたしと賢者の試合 4

 吹き飛ばされた。

 会場の大地に何か仕掛けてある。

 お爺ちゃんの意図は其処にあった――分かり易い挑発に、会場を敵に回す為のジェスチャー。

 対剣士用の絡めて法...つまり機動性封殺の魔法地雷。


 本来ならば、この地雷で。

 剣士は、身動きも取れずに詰むって寸法だけど、あたしにはダメージ相殺の高い耐久力がある。

 ちょっと前に試したけど...

 ドラゴンブレスを喰らっても、さ。

 マッパに成るだけで、ダメージ無かったんだわ。


 ひとりで挑んで良かった、あ。


 パーティだったら、戦友にタダ見せさせてたわ。

 いかん、いかん...結婚前の乙女の裸体は、貴重やぞ!!


 で、分かったことは!

 ドラゴンブレスは魔法だった。

『そこじゃない!!』

 控室で、ヒルダのツッコミが入る。

 びっくりしたのはミロムだ。

 差し入れの菓子パンに、手を伸ばしたとこにだ。

 突然、大声で叫ぶのだから、指を架け掛けそうになってたのを、急に引っ込めもしてる。

「な、なに?!」


「あ、いや...何となくツッコミたく...」

 めんご、めんごと謝る、子。

 おいおい。

 そいつは、あたしんのだぞ。



 いやあ、盛大に吹き飛ばされるんだわ。

 何処に埋まってるのかなんて、マジック・サーチのような魔法でも使えたらいいんだけど。

 あたしはそっちの魔法もからっきし、なんだわ。


 で、ここから直感!

 逆を読む。

 魔法使いの爺さん的には、組み付かれる事が困るのだから...

 ない頭で考える~ 考える~


 閃いた!

 あたしの頭の上に豆電球が灯ったのだ。

 あたしがそう感じたから、ジジイも観客も、控室の仲間たちも...それが見えた。

 見えたんだろうねえ。

 あたしバカだから、ポーカーフェイスが出来ない。


 大技を出すぞって時も、ニヤニヤしてるらしい。

 キモッ

「ここだあ!!」

 飛び出して、氷柱により阻まれた。

 アホだった。

 会場から『っうわ、痛そう』って声が聞こえる。

 うん、鼻から貰いに行ったから、豪快に出血中。

「ぢくじょー」


「アホか、獣か?! 警戒しておるのはお前の全属性への対応能力じゃ!!!」

 利き腕に持ってた剣を太腿で挟み、

 両手で顔を覆う。

 くぅー泣きたくなってきた。

「しっかし、直撃喰らって...鼻血で済むとはラッキーな体質じゃなあ」

 もう感心しかでない。

 戦い難い事は、戦い難いけど。

 地雷みたいなMPの消費量が少ないパッシブ・マジックは、罠が起動しなくても、消費されたMPは。自然と回復してくれるという優れもの。

 とはいえ、これらには熟練した経験がないと、なかなかうまくいかないものだ。

 素人は便利さゆえに、自分が詰む未来が見えなくなる。

 それじゃあだめだ。

 玄人は、逃げ場も用意しておくもの...



 控室で寛ぐ神殿騎士と、聖国の女戦士たち。

 公国や王国の他に傭兵あがりだとか言う暗殺者なんかも、胡坐をかいてケツも掻く。

 女ばかりだと素が出るのも、面白い話――てか、おっさん化するんだよなあ...こいつら。

「あのシェシーっての、真っ向から相手してっけど...ナイフでも投げればいいんじゃね?」

 ってのが傭兵と暗殺者から。

 各々で賢者と相対したら、っていう思考実験をしてた。

 それはミロムだって同じだけど。

「いや、単なる物理攻撃なら、魔法使いの十八番だよ。パーティが普段、何と戦ってるかで...魔法使いの性格が分かるいや、性能だな!」


「あん?!」

 喧嘩売ってんのか、買うぜぇーって流れは男女に差はない。

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