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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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武王祭 騒動 14 あたしと賢者の試合 2

 あたしは走ってた。

 お爺ちゃんとの間合いは、双方の立ち位置からざっと、5~6メートルはある。

 審判さんの居ない武術大会の場合『双方に礼!』なんて、形式ばったものはない。

 互いの()()で幕を開けるものだ。

 だから、あたしも...


 “リーズ王国式抜刀術・焔閃ほむら


 刀身に圧縮させた火炎球の炎を、纏わせる。

 あたしの場合、剣が鞘の中にある状態では刀身に、魔法の()を纏わす事は出来ない。

 師匠やミロムみたいなのは、別。

 ...かな。

 あいつは、紹介したらぬるぬる成長して、気持ち悪いほどに化け物になった。

 ヒルダの帝国式と同じで、

 戦場では絶対に相対したくはない。



 お爺ちゃんは、幾重にも張り巡らせたマジックシールドで、たぶん...

 あたしの一撃を凌いだんだと、思う。

 でって、手応えはあったんだ。

 でも肝心の肉が灼ける匂いがしなかった。

《ぐぅ、初撃はマジックシールドで受け止めたものの。なんちゅう重たい剣戟じゃ...一撃で全面に展開した、六重増しの魔法盾が使い物に成らんようになった...いや、その重さだけではない、うむ》

 目端でを利用して、己の後方へ気を回す。

 闘技場エリアには、如何なる魔法でも殆ど無効化できるという、魔法城壁マジック・ランパートが張られてある。しかし、あたしの“焔閃ほむら”の前では、その壁は土壁にも等しかった。

 要するに、

 お爺ちゃんの魔法盾の方が強度が上という訳だ。

《アホじゃ...こやつ、何も考えておらぬ!!》

「若いのぅ~ や、やり居るわ!! やりお、おるが...手加減も覚えろ、会場の客まで殺す気か!」

 お爺ちゃんは、お冠だ。

 いや、こうやってあたしの気を別の方へ散らす作戦なのだろう。


 うん、

 そして、それは効果覿面だった。

 あたしはブーイングの上がる方々へと謝罪して回る。

 めんご、めんご...



《仕切り直しじゃ...が、技のひとつであの大振り。...っ思わず見入ってしまったが、逆に考えれば動きがいちいち大袈裟すぎるゆえに、こちらも迎撃...はムリとしても、防御には十分に間に合う。いや、間に合う?》

 賢者の頭脳がぴくぴく動き回る。

 経験上、賢者とよばれたお爺ちゃんには対剣士用攻撃法があった。

 ちょっと狡いけど...

 それが年の功ってやつ。


《うむ、やってみるかのう...》

 思案したお爺ちゃんは、謝罪行脚中のあたしに“火炎球”をぶつけてきた。

 同属性への対処にはぬかりはない。

 まあ、せいぜい飛んできたボールにクリーンヒットした感じか。

 炎症ダメージはゼロだし、爆発によるダメージも相殺される。

 ボールが当たったという事実のみがあった。


 で、変な角度に転がって......

 首が痛い。


「え? そ、それだけ!!」

 お爺ちゃんが、驚く。

 やられたあたしも、

「ボール直撃、痛ぃん!!」

 身を捩って、甘い声で啼く。

 控室では、興奮したヒルダの遠吠えが響いたという。

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