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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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恐怖!? ゴーレムの怪 2

「――市民の犠牲は?!!」

 実験場だってのは、錬金教室から説明を受けていた。

 ただし武装しているとは聞かされていない。

 市長の手元には小型の“遠見の鏡”が用意されて。

 対面に黒の枢機卿があった。

 とても深刻そうな雰囲気はない。

「それがギルドに近寄ろうとすると、つぶてのようなものが飛んできます」

 冒険者ギルドの下階は受付嬢たちと、冒険者しかいないはずだし。

 その上階は事務所だろう。

 敷地の奥には訓練場などがあるし。

つぶてか』


「何かご存じで!!」

 回避の仕方か、あるいは防ぎ方について問い質すつもりだった。

『なに、遺跡で発掘された旧文明の遺物を仕込んでみたものよ』

 市長曰く。

 なんてもん仕込んで糞野郎って叫びをぐっと堪え。

「対処、ありますか?」

 遠見の鏡向こうの枢機卿は冷めた眼差しをしている。

 まるで興味がないように。

『ふむ、まともな戦力が無ければ返り討ちになると思うが。アレの気が引ければいいのだが、仮にやり過ぎれば抹殺対象になりかねないし。仮にタゲを取れても飽きっぽい者であるからなあ』

 他に優先すべき命令オーダーがあるから飽きっぽく見えるだけで。

 殲滅対象になれば執拗に追ってくることになる。

 えっと、弱点らしい弱点は?






 聖櫃騎士団がお土産として、彼らに与えた結果なので。

 聖堂騎士団のライオネルからゴーレムについての簡単なレクチャーを受ける予定だった。

 いや、今はとにかく逃げの一手しかない。



 ゴーレムの新情報。

 ひとつ、アレの機動性は馬並みである。

「それ、要る? 要る情報なの!!?」

 パンツがびちょびちょだよーって嘆くあたしは後方から泣きながら走ってるけど。

 ライオネルに噛みついているのは蒼の魔女。

 ローブの裾をたくし上げて、生足のたるんだ肉をぷるぷるさせて走ってた。

 お!? これは眼福なのかもしれんな。

 普段はローブで見えないんだし。

「先輩はこっち見んな!」


「じゃ、蒼の足は紅が見ててやろう」

 観測者の違いだな、それ。

「本気で走れば馬以上の機動性だから、心しておけという戒めになる。もっとも、アレの錬金武器が解放されてたら、射程の概念無視で狙撃してくるから迂闊に外にも出られないんだ!!!」

 射程の概念無視?

「そのままだよ」

 怪物じゃんよ。

 なんてもんを騎士団テンプルは彼らに与えたんだ。

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