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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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恐怖!? ゴーレムの怪 1

 匂いの痕跡を追う。

 皮脂とか汗腺の成分とか。

 ゼロから百までのあらゆる分野の分析が一通り行われた結果。

 後輩の肌着から、標的たりえるものが()()()敵認定された。

 効果範囲、数百メートル。



 数千、数万、数百万でなくて良かった。

 国の境を越えて捜索されてたら――きっとぞっとしたに違いない。

 聖王都だけでなく、数多かずあまたの都市や、街が灰塵に帰した可能性。

 あります、あります...


 なんか偶然にも起動して大暴れしてるトコで、(他力本願にも)誰かが壊してくれたら。

 起動実験の街以外は平和をつかみ取ることができるかもしれない。

 なんて淡い期待をもったことに。

 残ながら換気口の先と、元で視線が合っちゃったんだな。

 あたしは今、非常に絶望を抱いている。

「うわっ!! セルが漏らした!!!!」

 妹柱が『セル姉さま、ばっちいです』ってセリフなんて聞こえないし。

 パンツの神さまもビビった。




 ご~りぃ、ぞぉ~りぃって何か金属が擦れる音が気になった。

 地下都市はかつて作られた発掘用の換気口で、空気の採集が行われ――缶に詰めて売っているくらいだ。

 それだけ新鮮な空気は貴重だって話。

 あ、あたしらかい?

 魔法使いを舐めなさんな。

 ()()()風の精霊に声を掛けて、さわやかな空気をいただいてた。

 やっぱ後輩に魔法使いがいると助かるねえ。

「どうしたの!?」

 ミロムさんも天井を仰ぎ見た。

 血走ったゴーレムの目がこちらを瞬きもしないでぎょろぎょろ動いてた。

 うわっ、キモい。

「どうしたん」

 後輩くれないが換気口へ。

 ミロムさんの伸ばした腕で乳房を掴んで、突き放した。

 おぅ...

 揉んだわけじゃないが。

 この子から変な声が漏れる。

「今の声で起動鍵トリガーが入った!! 散開ーぃ!!」



 街の路地には残骸となったゴーレムが多数、転がってた。

 調査のために後輩がひとつひとつお触りしてたせいでもある。

 紅の修道女と関わった者、

 あるいは肌着に付着した別の匂いも対象になって――

 白の信徒はミンチにされてた。

 メンテナンスに訪れてた黒の信徒は大口径の弾丸を3本向こうの通りまで逃走したところで。

 壁ごと撃ち抜かれて木っ端みじんに爆散してた。


 市庁舎に飛び込むレンジャー。

 立ち寄ったギルドは血の海だと聞かされて。

 起動した理由と、対処に頭を抱える市長があった。

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